『決定!第34回FNSドキュメンタリー大賞』

2025.12.10更新

報道・情報

富山テレビ放送制作 『雲上の除雪隊 ~アルペンルートの春~』が大賞に決定

立山・室堂平を進むブルドーザー

『決定!第34回FNSドキュメンタリー大賞』

2026年1月3日(土) 4時55分~5時55分

フジテレビ系列各局の番組制作能力向上とその蓄積を図る趣旨から1992年に創設された「FNSドキュメンタリー大賞」。第34回を迎えた今回、系列28局が制作し今年放送されたノミネート作品の中から、審査の結果、富山テレビ放送制作の『雲上の除雪隊 ~アルペンルートの春~』が大賞に決定した。富山テレビ放送が大賞を受賞するのは、2010年(第19回)の受賞以来、15年ぶり3回目となる。


現場をリードするベテラン作業員の瀬戸進さん(右)と唯一の20代作業員・古栃遼さん(左)

巨大な雪の壁「雪の大谷」に代表される、立山黒部アルペンルート。除雪作業は、大雪原に道筋を付け、それをもとに進む。 “先輩を見て覚える” 唯一の20代。除雪隊の高齢化、人手不足、そして世代交代を過度な説明をせずに伝えた。厳しくも美しい銀世界で働く除雪作業を真正面から描き、過酷な撮影環境で圧倒的に美しい映像を撮ったことは称賛に値し、表からは見えない、誰かがやっている仕事が社会を支えていることを考えさせられる作品と、高く評価され大賞受賞となった。

フジテレビでは、2026年1月3日(土)午前4時55分から『決定!第34回FNSドキュメンタリー大賞』にて、大賞作品『雲上の除雪隊 ~アルペンルートの春~』を放送する。

<第34回FNSドキュメンタリー大賞 受賞作品紹介>

◆大賞

富山テレビ放送 制作『雲上の除雪隊 ~アルペンルートの春~』

「雪の大谷」除雪作業

受賞理由

誰もが一度は写真で見たことがあるだろう北アルプスの山岳観光ルート「立山黒部アルペンルート」。高さが20メートルにも及ぶ雪の壁に挟まれた道を毎年4月のルートオープンに向けて、雪にまみれながら除雪する総勢11人の作業員がいる。泊まり込みでの作業は50日。厳寒の山岳地帯。氷結したドアをバーナーで溶かして乗り込む重機を、まるで手足のように操り、分厚い雪面を切り開く。観光客の目を楽しませる、白銀の世界にうねる一本道の雪壁の美的バランスは、アートのそれと変わらない。この道40年の大ベテラン、そしてその職人魂を背中に見ながら20代の新人は思い通りにならない重機と格闘する。立山の透き通った青空に大雪原が浮かび上がる。山岳地帯は天候の変化が激しく、一変して前が見えない猛吹雪に。そんな美しくもあり、厳しくもある大自然の映像と共に、カメラが入らなければ誰も知ることがないだろう、アルペンルートの陰の立役者たちの奮闘ぶりが伝わってくる。ローカル局ならではの地に足の着いた密着取材が結実し、空からの美しい大雪原とかじかむ手で重機を操る作業員という、文字通り「鳥の目と虫の目」でアルペンルートの裏舞台を見事に描き出した。

ディレクター・矢野美沙(富山テレビ放送 報道制作部)コメント

「世界屈指の豪雪地帯・立山で、春、多くの人が魅了される“雪の大谷”。最も美しく輝くようすを見られるのは、ほんの数週間に限られています。そのわずかな時のため、冬のあいだ、自然の厳しさと向き合いながら黙々と作業を続けるのが除雪隊の皆さんです。一面の銀世界で働く姿を通して改めて痛感したのは、表からは見えない“誰かの仕事”が、確かにこの社会を支えているという事実。ともすると、自らの働きぶりをいかにうまくアピールするかが重視される昨今ですが、そうした時代の価値観すべてが正しいのか自問自答する中で制作したのが今回の番組でした。地域の宝物である風景、そこに根付く人々を見つめた番組を評価していただき大変うれしく思っております。そして何よりも、取材を快く受け入れてくださった皆さま、本当にありがとうございました」

番組概要

3月、白銀の世界が広がる北アルプス・立山連峰。無垢(むく)な雪原に、春の訪れとともに一本の道が開かれる。立山黒部アルペンルートの全線開通に向けた、バス道路の除雪作業だ。アルペンルートの営業期間は毎年4~11月まで。冬の間は雪に閉ざされ山に入ることはできない。そんな中、高い技術力を買われ長年除雪作業を委託されているのが、富山県滑川市にある建設会社。作業を行う除雪隊は総勢11人、泊まり込みで作業を行う。アルペンルートの春を開く除雪隊に密着した。

スタッフ

プロデューサー : 堀田能州
ディレクター・ナレーター : 矢野美沙
撮影・構成・編集 : 小島崇義 (フリー)
撮影 : 村井一弘 宮田博之 (フリー)
音響効果・MA : 宿野 祐 (東海サウンド)
テロップ : 宮崎里歩 (ビジョン21)
音声 : 小林千紘
タイトル : 太田萌乃香
制作著作 : 富山テレビ放送

◆優秀賞

鹿児島テレビ放送 制作 『警察官の告白 鹿児島県警 情報漏洩事件を問う』

鹿児島県警の元生活安全部長が逮捕された。ジャーナリストに捜査情報を漏らした疑いだった。元幹部の逮捕、その犯行動機にさらに衝撃が走った。「警察職員が行った犯罪行為を本部長が隠ぺいしようとしたことが許せなかった」。情報漏えいではなく公益通報だったと訴える。本部長は「隠ぺいの指示はなく、捜査は適正に行われた」と主張するも、その後、次々と対応の拙さが浮き彫りとなっていく。

◆特別賞

関西テレビ放送 制作 『出口なき部屋 介護離職 救いはどこに-』

高齢化が急速に進む中、家族などの介護を理由に仕事を辞める介護離職が社会問題となっている。政府は「介護離職ゼロ」を掲げたが、年間約10万人の介護離職者が減る兆しは見えていない。認知症の妻の介護のため退職を余儀なくされた男性を約3年にわたり取材。妻と2人きり、終わりなき介護という現実を映し出すとともに、家族が背負わざるを得ない日本の介護、そしてその象徴とも言える介護離職の実像を探る。

フジテレビジョン 制作 『当事者たち。 フジテレビ入社4年目の記録』 

今年1月、フジテレビは一連の問題により社会からの信頼を失った。当時入社4年目だったディレクターは、大きく揺れるフジテレビ社内に向けカメラを回しはじめた。自社の内側を取材して見えてきたのは、会社が直面した厳しい現実、そしてそれでもフジテレビで働き続ける社員一人一人の苦悩と葛藤だった。それらを目の当たりにしたディレクターが選ぶ道は・・・「フジテレビ問題」の当事者となった社員を描くセルフドキュメンタリー。

【番組概要】

『決定!第34回FNSドキュメンタリー大賞』
<放送日時>
2026年1月3日(土) 4時55分~5時55分 ※一部地域では放送日時が異なります

掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。