『警察官の告白～鹿児島県警情報漏洩事件を問う～』

『警察官の告白～鹿児島県警情報漏洩事件を問う～』

＜10月８日（水） 26時05分～27時05分＞

本部長隠ぺい疑惑で揺れる鹿児島県警問題

鹿児島県警の元生活安全部長が逮捕された。ジャーナリストに捜査情報を漏らした疑いだった。元幹部の逮捕、その犯行動機にさらに衝撃が走った。「警察職員が行った犯罪行為を本部長が隠ぺいしようとしたことが許せなかった」。情報漏えいではなく公益通報だったと訴える。本部長は「隠ぺいの指示はなく、捜査は適正に行われた」と主張するも、その後、次々と対応の拙さが浮き彫りとなっていく。

本部長の隠ぺい疑惑で揺れる鹿児島県警。 問題を検証しながら、公権力の在り方を問う。

2024年５月、鹿児島県警の元幹部が逮捕された。本田尚志・元生活安全部長。退職直後、札幌のジャーナリストに捜査情報を漏えいした疑いだった。生活安全部長は“たたき上げの最高ポスト”。なぜ、その主要ポストを経験した県警幹部が捜査情報を漏らしたのか。逮捕から５日後に行われた勾留理由開示手続き。そこで本田元生活安全部長が口にした犯行動機に衝撃が走った。「鹿児島県警職員が行った犯罪行為を、野川本部長が隠ぺいしようとしたことがどうしても許せなかった。だから、不祥事をまとめた文書を記者に送った」。情報漏えいではなく、公益通報を訴えたのだ。
隠ぺい疑惑の目が向けられたのは、野川明輝本部長（当時）。2022年、東京・警察庁から鹿児島に出向してきたキャリアで、警察庁では警護室長などを歴任し、当時、国体を控えていた鹿児島での活躍が期待されていた。そんなさなかに浮上した“不祥事の隠ぺい疑惑”。野川本部長は「隠ぺいの指示はなく、捜査は適正に行われた」と主張し、本田元生活安全部長の公益通報を否定したものの、その後“警察官の盗撮事件で捜査が一時中断”“ストーカー事案の捜査中、防犯カメラ映像を破棄”など、鹿児島県警の対応の拙さが明らかになっていく。

2024年４月、札幌在住のジャーナリストに、差出人の書かれていない封筒が届いた。中にはＡ４の用紙10枚。１枚目には「闇をあばいてください」と書かれ、２枚目以降には、当時、鹿児島県警が公表していなかった３件の警察官の不祥事案などが書かれていた。この文書を書いたのが、本田元生活安全部長だった。なぜ、元生活安全部長は逮捕されるに至ったのか。札幌のジャーナリストは、自らが寄稿する福岡のウェブメディア「ハンター」に、その文書のデータを送っていた。その後「ハンター」に鹿児島県警の家宅捜索が入り、元生活安全部長は逮捕される事態となった。

そしてまた１人、メディアへの情報漏えいの疑いで警察官が逮捕された。藤井光樹巡査長（当時）。カメラの前で思いを吐露した。
2024年11月、野川本部長（当時）は退任し新しい本部長がやってきた。しかし、さらに驚くべき警察官の不祥事が発覚することに･･･。近代警察の始まりから150年。情報漏えいで揺れる鹿児島県警問題を改めて検証し、公権力の在り方を問う。

コメント

ディレクター 前田慎伍（鹿児島テレビ制作部）

「私は鹿児島テレビに入社してからの６年間、社会部記者として警察取材にあたっていました。さまざまな現場で警察官たちに会い、多くのことを教えてもらいました。そして、担当を離れて10年、今回の鹿児島県警の情報漏えい問題が飛び込んできました。元生活安全部長が“本部長による隠ぺい”を口にした時、さらに、元生活安全部長が文書を送った先が地元マスコミでなく、札幌のジャーナリストだったと聞いた時、内心ショックでした。“鹿児島のマスコミは、報道機関の役割である『権力の監視』を果たせてない”そんな声が取材中、聞こえてきました。鹿児島は、かつて自白の強要や長期に渡る勾留など、警察の違法な取り調べが発覚した志布志事件があった県であり“過去から何も学んでいない”と話す元警察官の言葉が、捜査の腐敗を伺わせました。その一方で、報道の水準が保てているのか、取材の腐敗は進んでいないのか、突きつけられた番組制作となりました」

【番組概要】

第34回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『警察官の告白～鹿児島県警情報漏洩事件を問う～』（制作：KTS鹿児島テレビ）

≪放送日時≫

10月８日（水） 26時05分～27時05分　※関東ローカル

≪スタッフ≫

語り：山田孝之
取材：坂口 輝 （KTS鹿児島テレビ）
池田政昭（KTS鹿児島テレビ）
撮影：鈴木哉雄（KTS鹿児島テレビ）
　　 小松将也（KTS児島テレビ）
編集：赤井修二
ディレクター：前田慎伍（KTS鹿児島テレビ）
プロデューサー：四元良隆（KTS鹿児島テレビ）

≪“ドキュ大”公式サイト≫