2025.08.08更新
報道・情報
「一ノ関時計店」で働く一ノ関さん親子
<8月15日(金) 27時15分~28時15分>
企業経営者の平均年齢が全国最高となっている秋田県。担い手がおらず、事業の継続が困難な状態に直面している企業は少なくない。こうした中、能代市の老舗洋菓子店「カスミ」の店主、伊藤寿哉さんは還暦を迎えたのに合わせて後継ぎ探しを始めた。一方、にかほ市で洋食店を営む渡辺真さんは、後継ぎが見つからず店ののれんを下すことを決めた。後継ぎ問題が深刻な秋田を舞台に、この問題と向き合う人々の姿を追う。
高齢化率が全国で最も高い秋田県では、これに比例して企業経営者である社長の平均年齢も、2024年の時点で66.07歳と全国最高となっている。社長の高齢化に伴い企業経営の課題となっているのが「後継ぎ問題」だ。後継者が見つからず事業承継が進まなかった場合、廃業や倒産の可能性が高まり、地域経済の衰退にも直結するとされている。2023年時点における、秋田県の企業の、経営者がいない割合「不在率」は72.3%と全国で最も高くなっていて、深刻な問題となっている。
こうした中、秋田市で時計店を営む一ノ関勝義さんは、息子の正明さんに事業を譲渡することを決めた。引き継ぎをするなかで、経営方針の違いなどで問題が生じて時間はかかったものの、互いの考えの溝を埋め、何とか親から子へと円満な事業の引き継ぎができた。
洋菓子店「カスミ」店主・伊藤さんの特別教室
洋菓子店「カスミ」で調理中の店主・伊藤さん
一方、能代市で1957年から営業する老舗の洋菓子「カスミ」の店主、伊藤寿哉さんは、2024年に後継ぎ探しを始めることを決断した。伊藤さん自身も、1992年にオーナーから事業を引き継いだ経験をもつ。それから約30年。伊藤さんは60代となったが、体力的にも事業を続けることはできると話す。しかし、事業譲渡を希望する思いは持ち続けていて、積極的にセミナーに参加して担い手探しに奔走する。
洋食店「セルクル」で調理中の店主・渡辺さん
洋食店「セルクル」で接客する店主・渡辺さん
また伊藤さんとは対照的に、にかほ市で洋食店「セルクル」を営む渡辺真さんは、事業承継を考えた時期もあったが、コロナ禍の後も経営不振が続いたことも影響し、後継ぎ探しを断念する形で店を閉めた。
2人の行動と決断には、それぞれ地域などに対する思いがあった。本作品では、事業承継問題の先進県となっている秋田を舞台に、さまざまな立場で後継者問題と向き合う人々の姿を追う。
「人口減少と少子高齢化が深刻な秋田県。これらのキーワードに関連して問題となっているのが社長の高齢化で、後継者が見つからずに廃業を決断する経営者があとを絶ちません。高齢の社長たちは現状にどういった思いを抱いているのか、好奇心から取材がスタートしました。能代市の洋菓子店カスミの伊藤さんは“店を残すことが地域貢献”を合言葉に、長期的な後継者探しを視野に経営されていました。後継ぎは最後まで見つかりませんでしたが、伊藤さんのように前向きな経営者がいることを伝えたく、追い続けました。一方で、洋食店経営の渡辺さんのように、後継者探しを断念しなければならない社長がいることも事実です。閉店時に客にかけられた“またな”の声を、渡辺さんはどのように受け止めたのか。考察を楽しんで視聴していただけたら幸いです」
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