『それでも前へ~大船渡 平成以降最大の山林火災~』

2025.08.04更新

報道・情報

第34回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品(制作:岩手めんこいテレビ)

大船渡市 住宅の焼け跡に差す朝日

『それでも前へ~大船渡 平成以降最大の山林火災~』

<8月11日(月) 25時45分~26時45分>

山火事と震災 二重被災の大船渡 それでも前へ

2月26日に岩手県大船渡市で発生した平成以降最大の山林火災。焼失面積は約3370ヘクタールに達し、1人が死亡、住宅など226棟の建物が被災した。大船渡市は2011年の東日本大震災でも甚大な被害を受けていて“二重被災”に苦しむ人も少なくない。番組では、犠牲者の遺族や住宅が全焼した一家、それに二重被災に直面する漁師とアワビの養殖会社、それぞれの3カ月を取材。苦悩や葛藤、そして今後どう生きていこうとしているのかを伝える。

平成以降最大の山林火災と東日本大震災 2度の災害に苦悩しながらも「それでも前を向くしかない」

岩手県沿岸南部に位置する人口約3万2000人の町、大船渡市。ワカメ養殖発祥の地とされ、サンマの水揚げ量本州一を誇る水産業が盛んな町だ。その大船渡は、2011年3月に発生した東日本大震災で被災。津波で502人が犠牲となる甚大な被害が出た。その復興が進んだ矢先、今度は2025年2月26日、山林火災が発生。焼失面積は3370ヘクタールと平成以降最大規模に達し、男性1人が死亡、住宅を含む建物226棟が被災した。14年で2度も起きた大災害、人々は言い知れぬ悲しみや悔しさを抱えている。しかし生きていくためには否が応でも前を向くしかない…。それもまた、紛れもない現実だ。

山林火災犠牲者の遺族 癒えない悲しみ

二重被災に苦しむ漁師 ワカメの水揚げ

火災で犠牲となった90歳男性の遺族は「もっと早く助けに行けたら」と自責の念にかられていた。住宅が全焼した一家は、悲しみを押し殺す子どもたちの姿を母親が案じている。震災と山林火災で二重被災した漁師は、道具を失った中でも「生活のために」と、ワカメの収穫を開始。震災で負った借金を返し切れていないアワビの養殖会社では、火災の被害で今後の収入が見込めない中、会社再興への道を模索していた。
番組では厳しい状況にありながらも、何とか前を向こうとする被災者たちの3カ月を取材。今後どう生きていこうとしているのかに迫った。また山林火災の専門家や消防隊にも取材。今回の火災がなぜ平成以降最大規模に達したのか、それに対峙(たいじ)する消火活動は、どのように展開されていたのかを振り返ることで、山林火災の恐ろしさを視聴者に改めて伝えるとともに再発防止を訴えていく。

コメント
ディレクター・佐々木雄祐(岩手めんこいテレビ報道部)

「“がっかりしたね…本当に” 東日本大震災と今回の山林火災で2度も漁業用倉庫を失った、漁師の三浦秀悦さんはそう無念さを語りました。また父を亡くした松川悦子さんは“突然どん底に突き落とされた気持ち。前触れもなく肉親を奪われる喪失感は津波に似ている”と語りました。私自身、2011年の発生直後から震災の取材を数多くしてきましたが、なぜその被災地でまたこんなことが起きてしまうのかと、本当にやるせない思いがしました。しかし被災した方々も、私たちも、その現実から目を背けるわけにはいきません。当事者の皆さんの復興を少しでも後押しできるように、そしてこの災害がもたらしたものを社会全体で共有し、再発防止につなげられるようにと今回の番組制作に取り組みました。全国的には“過去”の出来事のようになっているかもしれませんが、この番組を通して“現在進行形”で事態が動き続けている大船渡に、思いをはせていただけたらと願っています」

【番組概要】

第34回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『それでも前へ~大船渡 平成以降最大の山林火災~』(制作:岩手めんこいテレビ)
≪放送日時≫
8月11日(月) 25時45分~26時45分 ※関東ローカル
≪スタッフ≫
ナレーター:中條 奈菜花(岩手めんこいテレビアナウンサー)
プロデューサー:藤堂光隆(岩手めんこいテレビ報道部)
ディレクター・構成:佐々木雄祐(岩手めんこいテレビ報道部)
撮影・編集:宮田康幸(岩手めんこいテレビ報道部) 

掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。