2025.07.01更新
報道・情報
現役時代の山田大記さん
<7月8日(火) 26時45分~27時45分>
サッカー元日本代表でジュビロ磐田の元主将・山田大記(やまだひろき)さん。現役時代、児童養護施設の少年との出会いをきっかけにNPO法人を設立し、2024年に引退してからも子供たちの社会課題解決に向けた支援に尽力している。ダウン症の長男を育てる2児の父でもあり、地域や家族の支えの大切さを感じているからこそ目指すのは、子供たちやその支援に関わる大勢の人の思いが報われる社会。第二の人生で抱く思いに迫った。
「僕はここにいるから、プロサッカー選手になる夢は諦めた」児童養護施設の少年の言葉に、ジュビロ磐田の元主将・山田大記(やまだひろき)は強く胸を締め付けられたという。「夢に向かって努力することすら許されない環境は変えていきたい」その思いを胸に、彼は現役時代からNPO法人「ReFrame(リフレイム)」を設立し、子供たちの支援に尽力している。2024年に引退するまで、プロ生活14年、国内では磐田一筋12年。サッカー元日本代表でドイツでもプレーし、Jリーグ通算300試合以上に出場してきた選手だけに、サッカーとの両立は難しいのではないか?なぜ子供たちのためにそこまでするのか?その理由を知りたいと思ったことが番組制作のきっかけだった。
2023年の国の調査では9人に1人の子供が貧困を抱えている。それだけではなく、いじめや障がい、不登校など、子供たちを取り巻く社会課題はさまざまだ。彼はその現状に触れることで、家族や地域、仲間に支えられながら、全力で打ち込むことができた自らのサッカー人生が、とても恵まれていたことを知る。そして、サッカー選手という立場も「勝ち取ったものではなく与えられたもの」という考えに変わっていく。
彼のNPO法人の大きな目標は2つある。1つは現役時代から掲げてきた、食事だけでなくさまざまな体験や学びを提供できる「多機能型の子ども食堂の常設」だ。そして引退後のもう1つの柱が、子供たちの未来をみんなで支え合う「浜松こども基金」。子供たちを支援する団体に助成する事業で、寄付を募る「発起人」の目標は1000人。2026年中の設立を目指している。
振り返れば、彼のサッカー人生は山あり谷ありだった。中学時代の挫折に加え、プロ入り後は磐田で4度のJ2降格を経験した唯一の選手となってしまった。それでも彼は、多くの出会いや仲間の支えに恵まれてきたと感謝の思いを語る。現役最後のPKもスタジアムの全ての人が彼を後押ししてくれた。
さらに彼はダウン症の長男を持つ2児の父として、家族みんなで、地域全体で子供を育てること、支え合うことへの感謝と大切さを実感している。「子供たちが夢を追いかけられる明るい未来は、一人一人が特別な存在だと感じられる社会」。そう話す彼がいま大切にしている価値観「You're the SPECIAL」を広め、自分や周りの人を大切にできる社会になっていってほしいと願い、この番組を制作した。
左から)山田大記さん、長男、父・善久さん、次男
浜松まつりに参加する山田大記さんと長男
「山田さんと私は、藤枝東高校時代ともにサッカーに明け暮れた同級生です。大学を経てジュビロ磐田に進み、1年目から伝統の背番号10を背負う姿に刺激を受けながら、いつか彼の活躍に負けない番組を作りたいと思っていました。キャリアの晩年、彼は主将としてクラブを引っ張るだけでなく“ReFrame(リフレイム)”の活動を本格化させていきます。プロとして何となく良いことをするのではなく、1人でもいいから子供の未来に確実に貢献したい。その思いを胸に、子供たちを取り巻く課題と本気で向き合う彼からは、サッカーだけでは発せられない大きなエネルギーを感じました。と同時に、私生活ではダウン症の息子を育てる2児の父。自身も語るように、支えや気づきを与えてくれる家族や地域、仲間があってこその彼なんだとも、取材を通して感じました。まだ始まったばかりの第二の人生。サッカーで結んだ力を信じて進む、彼の未来への思いをぜひ感じて下さい」
掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。