2024.10.25更新
報道・情報
慈恵病院に設置されている「こうのとりの」ゆりかご
<11月1日(金) 26時35分~27時35分>
「こうのとりのゆりかご」は、親が育てられない赤ちゃんを匿名でも預かる、いわゆる赤ちゃんポストだ。全国の病院で唯一、熊本市の慈恵病院が設置している。ゆりかごは設置から17年が経過し、初期に預け入れられた赤ちゃんは思春期を迎えている。ゆりかごに預け入れられ成長した10代の少年は、自分の出自や生みの親の事情を「知りたい」と語る。子どもの出自を知る権利、そしてゆりかごの奥に見える女性たちの現実を追った。
熊本市にある慈恵病院は、年間約1500人の赤ちゃんが誕生する産婦人科を中心とした医療機関だ。慈恵病院には、日本国内の病院の中で唯一存在するものがある。親が育てられない赤ちゃんを匿名でも預かる「こうのとりのゆりかご」、いわゆる赤ちゃんポストである。慈恵病院が「赤ちゃんの遺棄・殺人を防ぎたい」と開設を表明し、熊本市が設置を許可して2007年5月に開設された。
「ゆりかご」を定期的に検証している熊本市の専門部会の発表によると、2020年度までの預け入れは155人。多くの命が救われたとする評価の一方で、親の身元が分からない子どもは31人となっており、開設当初から指摘されていた「母親の匿名性」と「子どもの出自を知る権利」の両立は可能か、という課題は立ちはだかったままだ。こうした中、開設から17年が経過し、初期に預け入れられた赤ちゃんは思春期を迎えており、救われた命が自らの生い立ちと向き合い始めている。また、これまでの「ゆりかご」の運用の中では、母親の多くが、危険を冒し一人で出産して預け入れに来る現状も見えている。慈恵病院は母子の安全な出産を確保したいと、2021年に「内密出産」も導入した。慈恵病院が24時間365日対応し、予期せぬ妊娠に苦悩する女性に寄り添う中から生まれた新たな取り組みである。
蓮田健 慈恵病院理事長
「ゆりかご」当事者の少年と家族、預け入れ時を知る田尻由貴子さん
番組では「ゆりかご」「内密出産」に取り組む慈恵病院の蓮田健理事長、慈恵病院で内密出産を行った女性、そして「ゆりかご」に預け入れられ成長した10代の少年を取材。少年は「自分の生い立ちを知りたい」と、育ての親とともに、この春、熊本を訪れた。人が生きていくうえで「生い立ち」や「出自」というものがどのような影響を与えるのか、それぞれの当事者の話から解き明かしていくとともに「ゆりかご」の扉の先にある、子どもたちの未来を考える人々の姿に迫る。
「慈恵病院の“こうのとりのゆりかご”開設から17年、その後に始まった内密出産を含め、命がつながれた赤ちゃんの成長とともに、今大きな課題となっているのが“子どもの出自を知る権利”です。”出自”や“生い立ち”が子どもの人生にどういう影響を与えるのか、視聴者の皆さんに考えていただけるきっかけになるような番組を目指し制作しました。“扉の先に”というタイトルは、“こうのとりのゆりかご”が実際に扉を開けて赤ちゃんを預け入れる仕組みであること、そして慈恵病院が“ゆりかご”に取り組む中で新たに始めた“内密出産”、そして扉の先に託された、赤ちゃんの新しい人生に思いを馳せ決めました。救われた赤ちゃんの人生に幸多からんことを願いながら番組の制作にあたりました」
掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。