『ようこそ!ちいさな留学生たち~世界遺産 石見銀山の保育園で~』

2024.10.01更新

報道・情報

第33回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品(制作:TSKさんいん中央テレビ)

大森さくら保育園の園舎

『ようこそ!ちいさな留学生たち~世界遺産 石見銀山の保育園で~』

<10月8日(火) 27時20分~28時20分>

旅行でも、移住でもない。保育園留学。

待機児童に保育士不足。少子化対策や女性の社会進出のため無くてはならない保育園だが、現場は課題が山積している。その解決の糸口になるかもしれない取り組みが始まった。1~2週間、都市部の子どもたちが地方の保育園へ通い、保護者はリモートワークで仕事をこなしながら、家族で地方の暮らしを体験するという「保育園留学」だ。既存の一時預かり保育制度と宿泊をパッケージにしたプログラムとして提供される。都市部と地方の新たな交流の形だ。

石見銀山のまちの地域ぐるみの子育てが、保育園留学で全国とつながる。まちの未来が変わる。

島根県大田市大森町。世界遺産・石見銀山があり、町並みには江戸時代の面影が色濃く残る。昔から変わらない、ゆるやかな時間の流れるこのまちで、ある変化が今起きていた。全国的に少子高齢化が叫ばれるなか、震災やリモートワークの普及の影響もあって、この地域では子どもの数が増えているのだ。子育て家庭を支えるのが、まち唯一の保育園・大森さくら保育園。一時は園児が2人と存続の危機に直面したが、今では26人に増えた。こうしたなか、園を運営する社会福祉法人の理事・松場奈緒子さんが2023年に導入を決めたのが、全国で展開され始めた新たな取り組み「保育園留学」だ。

東京からの留学園児・げんくん(3歳)

世界遺産のまち・大森町に、都会からちいさな留学生たちが次々とやってくる。聞くと、普段過ごしている保育園は高層ビルの一室で園庭がないという子も多かった。ここ大森さくら保育園は、園庭はもちろんのこと、いわば地域全体が保育の場で、あるがままの町並みも豊かな自然も子どもたちの遊び場だ。

自然のなかで遊ぶ地元の園児たち

歴史あるまちなみを散歩する園児たち

大森町では戦国時代から江戸時代にかけて、銀の採掘、運搬などのため人が行き交っていた名残りか、外からやってくる人々を受け入れる風土が根付いているという。「ずっと前から住んでいたような感覚」「おかえりと迎えてもらえた」と、保育園留学で訪れる家族たちは居心地の良さを口にした。石見銀山は時代を超えて、今度は子どもたちを受け入れる場所へと変わろうとしていた。

なかよく同じポーズを取る、地元のうめちゃん(4歳)と東京のかほちゃん(4歳)

やってくるちいさな留学生たちは最初、緊張もするけれど、すぐに打ち解け、まるでずっと前からここの住人だったかのように馴染んでいく。そして大森町の子どもたちと都会地の子どもたちに今まで無かった交流が生まれ、無意識のうちにお互いが刺激となり成長していく。この出会いが、子どもたちやまちの未来をどのように変えていくのか。ちいさな留学生たちが秘めている、大きな可能性とは。

ディレクター・山下桃(TSKさんいん中央テレビ 地域創造ビジネス部)

「“子どもは宝”。私自身2人の子を産み育てるなかで、親としてその意味を実感してきました。我が子に対する何ものにも代えがたい愛しさは、遥か昔から不変のものとして語られてきましたが、深刻な少子化が問題となる昨今、この言葉の持つ意味は広がりつつあるかもしれません。自身の子であるかどうかに関わらず、地域の、国の未来を担う貴重な人材としての”宝”であるためです。
石見銀山のおひざ元・大森町は、人口400人ほどの小さなまちで、住民たちはお互いに名前で呼び合います。自然体で相手を受け入れ、大切にする空気感。それがちいさな留学生たちにも伝わっている様子が、取材を通して見えてきました。日本全体で抱える保育の課題を一挙に解決することは難しくとも、島根県の山間のまちからヒントを示すことはできます。希望と可能性にあふれた保育園が、ここにはありました」

【番組概要】

第33回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『ようこそ!ちいさな留学生たち~世界遺産 石見銀山の保育園で~』(制作:TSKさんいん中央テレビ)
≪放送日時≫
10月8日(火) 27時20分~28時20分 ※関東ローカル
≪スタッフ≫
プロデューサー:奥村亜希 (TSKさんいん中央テレビ)
ディレクター・ナレーター:山下 桃(TSKさんいん中央テレビ)
構成:関 盛秀
撮影:柳瀬友美(TSKエンタープライズDC)、野田 貴、秋國 勝
MA:森川享祐(スタジオヴェルト)
音効:金子寛史(フローレス)

掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。