『やりがいの行く先~教員の働き方改革の現在地~』

2024.09.12更新

報道・情報

第33回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品(制作:さくらんぼテレビ)

佐藤裕恒校長

『やりがいの行く先~教員の働き方改革の現在地~』

<9月19日(木) 26時25分~27時25分>

変わる学校の在り方と変わらない教員の思い

“ブラック”と言われる教員の仕事。教科指導、進路指導、部活動など、時間を惜しまず児童・生徒に向き合ってくれるのは当たり前だと、私たちは思ってしまう。その上、公立学校の教員には残業代もなく、日本の公教育は“カネには代えられないやりがい”に支えられてきたと言わざるを得ない。
教員の働き方改革が始まり10年。時間外勤務を大幅に削減し、国も処遇改善へ動きだす中、教員のやりがいは守られるのだろうか。

学校の“特色”は部活動 特色を伸ばすか労働環境の改善か 突き付けられた課題に潜むジレンマ

学習指導要領には部活動について“学校教育の一環”と記されている。
しかしこの部活動が、教員の働き方改革を進める中で、残業の大きな要因と指摘されているのだ。改革の大ナタは部活動の地域移行で、国は中学校での早期実現を目指している。その一方で、高校は後まわし。“部活動は学校の特色”でもあるとして、対応を高校ごとに判断するよう求めている。

バレーボール部の練習を見守る佐藤裕恒校長

山形県立山形中央高校は、県内で唯一、スポーツ科を有する公立高校。もちろん全国レベルにある部活動が学校の特色だ。
部活動指導に情熱を注ぐ教員も多く、佐藤裕恒校長(取材時)もその1人。同校の出身で、指導者としてもバレーボール部を何度も全国大会に導くなど実績を積んできた。そのため、教員の働き方改革が進められる中で、“部活動”の活動時間短縮を前提とする方向性に戸惑いを感じている。部活動で成長する生徒の姿を何度も目にしてきた佐藤校長。時間を考えることなく生徒と向き合ったことが教員生活の糧となってきたが、今の時代は“やりがい”ばかりを追い求めるべきではないとわかっているつもりだ。日々葛藤しながら、学校の旗振り役として、ゆとりを確保し教員が働きたくなる学校を目指している。

選手に声をかける半田亘先生

駅伝チームを指導する半田亘先生

陸上部で駅伝チームを指導する半田亘先生も部活動の指導がしたいと教員を志した。毎朝欠かさず顔を出す朝練習に土日の遠征。負担は感じつつ、生徒と同じ目標に向かう楽しさを感じている。授業に目を向けると、ICTの活用が進み、テストで使うのはデジタル採点システム。しかし、効率化の反面“生徒1人1人の顔が見えない”と思う場面もある。教員として“ゆとり”と“やりがい”どちらを選ぶべきなのだろうか。
他にも同校では、定期テスト廃止の検討や、教員の負担軽減策として地域と連携を始めるなど、学習の在り方は転換点を迎えている。
あの手この手でゆとりを生み出そうとする教育の現場。働き方改革が推し進められるなかで、それでも教員を突き動かすものとは。

ディレクター・髙橋信太郎(さくらんぼテレビ 報道部)

「“まるで部活動ばかりが悪者にされているようだ”
佐藤校長のこの一言が取材を始めるきっかけです。指導したチームを春の高校バレー全国大会に何度も導いてきた名監督が、校長という職で“やりがい”と“労働環境の改善”との狭間でもがいていました。
部活動改革で話題に上るのは中学校ばかり。高校は改革の蚊帳の外で、学校ごとにどう対応していくのか判断を求められており、校長としての悩みは深いものがありました。プライベートを投げうって生徒と向き合い、生徒の成長を見つめてきた経験。しかし今の教員に“時間を考えずどんどんやれ”とは言えません。それでも取材を進めると、教員のやる気をくすぐり、学校の向かう道を切り開こうとする佐藤校長の力強さを感じました。これからも教員の処遇や労働時間などさまざまな改善が進んでいくでしょう。それでも教員の“やりがい”を守ることができるのか、この番組が考えるきっかけになればと思います」

【番組概要】

第33回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『やりがいの行く先~教員の働き方改革の現在地~』(制作:さくらんぼテレビ)
≪放送日時≫
9月19日(木) 26時25分~27時25分 ※関東ローカル


≪スタッフ≫
プロデューサー:佐藤武司
ディレクター:髙橋信太郎
構成:佐藤武司
取材:髙橋信太郎
撮影:鈴木 相・髙橋慎太郎・大友信之
編集:髙橋信太郎
音効:相田恵美子(サウンドリング)
MA:金 材泫(アートプラザ虎ノ門)
CG:佐藤哲哉
ナレーション:小松由佳(青二プロダクション)
制作:さくらんぼテレビジョン

掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。