『「生きる」を伝える』

2024.06.29更新

報道・情報

第33回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品(制作:テレビ西日本)

野球に打ち込む寺林秀真くん

『「生きる」を伝える』

<7月7日(日) 26時55分~27時55分>

“1型糖尿病”の少年 夢追う成長の軌跡

子供など、若い世代に多いとされる「1型糖尿病」。いわゆる“生活習慣病”ではなく、自分で血糖値をコントロールできなくなる原因不明の難病で、完治する治療法は今も見つかっていない。血糖値が不安定な状態が続くと、手足の切断や失明などの合併症、最悪の場合は死につながるリスクもある。福岡県筑紫野市に住む寺林秀真くん(15)が1型糖尿病を発症したのは小学4年生のときだった。将来の夢は、プロ野球選手になること。入退院を繰り返す日々、秀真くんは憧れの人物とある約束を交わす。そして彼がとった選択とは―

原因不明の難病“1型糖尿病”の少年 夢追う成長の軌跡密着

年間10万人に1人の確率で発症するとされる1型糖尿病―。いわゆる“生活習慣病”と言われる2型糖尿病ではなく、なんらかの理由で血糖値をコントロールできなくなる、原因不明の難病だ。福岡県筑紫野市に住む寺林秀真くん(15)が発症したのは、大好きなソフトボールに打ち込む小学4年生のときだった。将来の夢は、プロ野球選手になること。しかし血糖値が不安定な状態が続くと、手足の切断や失明などの合併症、最悪の場合、死につながるリスクもある。実は秀真くんが1型糖尿病を発症する3カ月前、母親の真弓さんも、「クローン病」という難病を発症していた。常に体調不良が続く中、病気の我が子をサポートすることは並大抵のことではない。しかし、「私たちにあすは来ないかもしれない。ならば後悔しない選択を」。悩んだ末、ソフトボールを続けさせることを決意した。秀真くんが1型糖尿病を発症して5年―。こまめにインスリン注射を打つなど血糖コントロールをしながら野球に打ち込み、中学3年生の夏には、県内すべての中学生選手から精鋭20人で構成される福岡選抜チームに選ばれ、全国優勝を果たした。その一方で、血糖値がなかなか安定せず、意識を失い救急搬送されることも。多感な時期、認知度の低い病気ゆえに「お菓子を食べ過ぎたんじゃないか」と言われるなど心無い言葉に傷つくこともあり、秀真くんは病気のことを隠すようになった。そんな中で支えとなったのは、同じ1型糖尿病を患う、元阪神タイガースの岩田稔投手の存在(2021年に引退)。「1型糖尿病患者の希望の星に」という思いで16年もの間、プロ野球選手として活躍した岩田さん。福岡で活躍する秀真くんの存在を知り、福岡へと駆けつけた。「1型糖尿病を発信する立場になっていってほしい」。幼い頃から憧れ続けてきた岩田さんの言葉を受け、秀真くんは少しずつ変化していく。心配する母親の反対を押し切り、県内でも強豪の沖学園高校に進学。そして最初のホームルーム、彼は初めて自らの口で自身の病気のことを伝える。すべては高校生活と野球に打ち込むための、彼の選択だった。命の危険と隣り合わせの状況でも夢を追う、秀真くんの成長の軌跡に密着した。

インスリン注射を打つ寺林秀真くん

元阪神タイガースの岩田稔さんと対面する寺林秀真くん

ディレクター:日高真実(テレビ西日本 報道部)コメント

「取材した寺林秀真くんとは、偶然ニュースの取材現場で出会いました。そのときに立ち話した母親の真弓さんから、彼が患う1型糖尿病について聞き、認知度が低く見た目でわかりづらい病気だからこそ、周囲から“お菓子を食べ過ぎたんじゃないか”“サボりではないか”など、心無い言葉をかけられるという現状を知りました。取材のきっかけは、1型糖尿病の正しい知識を広めることで、少しでも彼が生きやすい社会になってほしいという思いからでしたが、秀真くんが悩みながらも彼自身の選択を重ねていく姿を通して、私も改めて“生きる”ということを考えさせてもらいました。彼の生き方や人生の選択は、同じ1型糖尿病患者の方々にはもちろん、病気ではなくても悩みや生きづらさを抱えている人たちに寄り添い、背中を押してくれるものだと感じています」

【番組概要】

第33回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『「生きる」を伝える』(制作:テレビ西日本)
≪放送日時≫
7月7日(日) 26時55分~27時55分 ※関東ローカル
≪スタッフ≫
ナレーション:三田友梨佳
取材・構成:日高真実
撮影:畠中佳秀、佐々木大輔、小原 卓、上塩未姫
CA:棚町碧海、内田晴斗、山口陽海
編集:利光英樹
CG:東筑印刷
MA:新甫 宙
プロデューサー:永松裕二郎
制作・著作:テレビ西日本

掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。