『ゲンさんのハンドサイン』

2024.06.28更新

報道・情報

第33回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品(制作:東海テレビ)

世界大会で打席に立つゲンさん

『ゲンさんのハンドサイン』

<7月5日(金) 27時10分~28時10分>

我々は、何を伝えられるのか?

名古屋鉄道で整備士として働く松元剛(50)は、結婚して間もない26歳の時、作業中の感電事故で左腕と右手の人差し指、中指を切断し、左足も不自由になった。失意のどん底から立ち直るきっかけは、子供の頃から続けてきた野球。利き手の指は、3本になってしまったが“もうひとつのWBC”と呼ばれる障害者野球の国際大会で日の丸を背負う事を目標に努力を重ね、2023年、名古屋で開催された第5回ワールドドリームベースボールでキャプテンとして、日本代表をけん引した。
手指を失った当時は、神様を恨み、鏡に映る自分の姿を気持ち悪いと、ふさぎ込んだ。しかし、今は違う。3本の指でも幸せをつかめることを自らの人生で証明する。

テンション次第で、世界が変わる!

障害の「害」の字は、なぜ「障がい」と平仮名で表記されるんだ?
「害」を変えるより、「障」の字を変えた方がいいよね!
そう、我々は害に勝つ者という意味で「障」を勝利の「勝」に変え“勝害者”の方がいいね!
飲み会で、そんな話題で盛り上がるのは、名古屋の障害者野球チームのメンバーたち。その輪の中心に構えるのは、隻腕のベテラン選手。松元剛、50歳。
松元の元は元気の元。だから愛称は「ゲンさん」。ゲンさんは、自身の障害を自虐ネタにするほど超ポジティブ。
「感電した男が電気風呂に入って、ビリビリ、ビリビリって、俺、バカなんじゃないの(笑)」
ゲンさんは、障害者になって、再認識した事があるという。それは、自分の姿に相手が戸惑った時、暗く受け答えをすれば、相手も暗くなる。しかし、明るく接すれば、相手との距離も縮まるということを。
すなわち、自分の「テンション次第」で、人生は変えられるということ。そう悟ってからは、義手を身に着けるのをやめた。
そして“ゲンさんのハンドサイン”とは?
最後に明かされる、3本の指に込められた思い。

ゲンさんの右手

「ポジティブな気持ちに」ドキュメンタリー×ラップ

ナレーションは、名古屋を拠点に活躍するラッパーの呂布カルマ。
「くよくよしたって、はじまらねぇ」「困難に打ち勝て!」「残った指で希望つかみとれ!」松元の思いを、番組内のラップパートで表現した。

世界大会でグラウンド入りするゲンさん

松元剛、長男・魁星、長女・一華、妻・真弓

【コメント】
ナレーション・呂布カルマ

Q.収録を終えていかがでしたか?
「ゲンさんが、追ったハンディは大きいと思うんですけど、でも、そのきっかけで、すごい人生が広がっているし、本人の周りにも、いい影響を与えているなって思ったんで、凄いポジティブな気持ちになりましたね」

Q.印象に残ったシーンは?
「息子さんが、そのまま野球の道に進んでいったり、娘さんが障害者の勉強をはじめたりと、ポジティブな広がりを見せているところが、僕も子育てをしている身としてグっときました」

Q.見所は?
「ハンディを本人がどう受け止めて、それをどう使っていくか次第なんだなと思いました。みんな環境も違うんですけど、コンプレックスだったり、本当に目に見えるハンディを背負っている人たちもいると思うんですけど、名古屋ビクトリーのメンバーが、負けずに強く生きていくっていう姿勢を示してくれているので、勇気が出ると思うし、向かっている壁とかへの対処の仕方とかにもすごく参考になると思うので、ぜひ見てみてください。最後に、つたないナレーションですけど、そこはご容赦ください(笑)」

ディレクター:吉野健(東海テレビ スポーツ部)

「取材を通して一番強く感じたのは、障害者野球のメンバーたちは、自分たちの野球を知ってもらい、多くの人に何かを感じて欲しいと願っているという事だ。だから、野球に取り組む姿勢は真剣そのもの。片腕だろうが義足だろうが、お構いなしにボールに食らいつく。ゲンさんは、世界大会の選手宣誓で“我々、障害者でも人々の心を動かすプレーが出来ることを証明したい”と宣言した。“もうひとつのWBC”を通して、絶望を希望に変えようと戦う彼らの姿は、きっと誰かの心を動かし、何かを伝えているはずだ」

【番組概要】

第33回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『ゲンさんのハンドサイン』(制作:東海テレビ)
≪放送日時≫
7月5日(金) 27時10分~28時10分 ※関東ローカル
≪スタッフ≫
プロデューサー・ディレクター:吉野 健
構成:阿武野勝彦(オフィスむらびと)
撮影:田中聖介
音響効果:久保田吉根
編集:坪内拓磨
ナレーション:呂布カルマ
音楽:伊藤ゴロー

掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。