『逆転裁判官の真意』

2024.06.28更新

報道・情報

第33回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品(制作:カンテレ)

「逆転裁判官」福崎伸一郎裁判長

『逆転裁判官の真意』

<7月4日(木) 26時10分~27時10分>

法曹界のミステリーに“弁護士記者”が挑む

退官前に逆転無罪を連発した福崎伸一郎裁判長。彼の真意は何だったのか。法曹界に残された謎を解き明かそうと“弁護士記者”が立ち上がる。判決文を読み込み関係者に話を聞いた上で、一つの仮説に辿り着く。福崎に仮説をぶつけるも即座に否定され、過去の判決に手がかりを求めていく。すると、2つの判決が浮かび上がる。一つは、有名な“ロス疑惑”銃撃事件の逆転無罪判決。もう一つは、ある電車内痴漢事件の有罪判決だった。

告発か、それとも偶然か。退官前に逆転無罪を連発した裁判長の真意は何だったのか

2017年7月、一人の刑事裁判官が定年退官を迎える。その名は、福崎伸一郎。最高裁判所の調査官を務めたこともある“エリート裁判官”である。
福崎は、2015年12月、最後の職場として大阪高裁に赴任。退官までの約1年半、裁判長として一審を破棄した判決が35件、そのうち7件が逆転無罪だった。
有罪率が99%を超える日本の刑事裁判。一審での無罪は珍しいが、二審での「逆転無罪」はもっと珍しい。そのため、退官直前に週刊誌でも取り上げられるなど一時話題となるが、福崎自身は何も語らず、その真意は今も謎のままである。
福崎の真意を明らかにしようと挑んだのは、企業内弁護士として関西テレビに入社後、記者に転身したディレクター。これまで二度にわたって取材を申し込むも福崎から返事はもらえなかった。

ロス疑惑2審裁判長 秋山規雄さん
(左)秋山さん、(右)上田ディレクター

福崎の大阪高裁時代の判決文を集めて読み込んだうえで、30件以上の無罪判決を確定させた“伝説の裁判官”木谷明氏や映画『それでもボクはやってない』(2007年)の周防正行監督など関係者を訪ね歩く。
すると、数年ストップしていた重大事件の審理を果敢に進めたかと思えば、別の事件では被告人の言い分を最後まで聞こうと審理に時間をかける姿。さらには、軽微な事件で独自の法解釈にこだわりを見せるなど、福崎のさまざまな側面が見えてくる。
退官直前の告発だったのか、それとも、偶然の巡り合わせに過ぎないのか。

映画『それでもボクはやってない』周防正行監督

“3度目の正直”でついに福崎へのインタビュー取材にこぎつけたディレクターは、判決文を持ち込んで質問を始めた矢先、福崎から返ってきたのは「個別の事件については触れられない」というものだった。このままでは真意にたどり着けないと感じたディレクターは、福崎の過去の判決に手がかりを求めていく。福崎が過去に関与した判決で浮かび上がってきたものが、“ロス疑惑”銃撃事件2審の逆転無罪判決だった。法曹界に残っているミステリーに“弁護士記者”が挑んだ異色のドキュメンタリー。

伝説の裁判官・木谷明さん
(左)上田ディレクター、(右)木谷さん

コメント
ディレクター・上田大輔(関西テレビ 報道センター) 

「“裁判官は弁明せず”という言葉があります。判決文に書いていることが全てで、それ以上のことを語るべきでないという伝統的な倫理規範です。でも、裁判官も人です。裁判官によって有罪か無罪かの結論が変わるように思えて仕方がありませんでした。なので、刑事裁判を検証するために、裁判官個人に語ってもらいたいと思ってきました。中でも私が一番話を聞いてみたかったのが福崎さんでした。退官前に逆転無罪を連発した背景に、福崎さん個人の思想や経験が少なからず投影されているはずだと考えたからです。しかし福崎さんも“弁明しない”裁判官でした。それでも、カメラを前に一対一で向き合えば、その表情や口調から福崎さんの真意を推し量るヒントが得られるかもしれないと、まさに手に汗を握りながら質問をぶつけました。画面からその緊張感を感じ取っていただければうれしいです」

【番組概要】

第33回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『逆転裁判官の真意』(制作:カンテレ)
≪放送日時≫
7月4日(木) 26時10分~27時10分 ※関東ローカル
≪スタッフ≫
プロデューサー:宮田輝美(関西テレビ報道センター)
ディレクター・構成:上田大輔(関西テレビ報道センター)
ナレーター:上田大輔(関西テレビ報道センター)、豊田康雄(関西テレビアナウンス部)
撮影:小松和平(関西テレビ報道映像部)
編集:高澤 宏(遊写)
MA:中嶋泰成(シャガデリック)
効果:萩原隆之(シャガデリック)

掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。