『第35回フジテレビヤングシナリオ大賞』

2023.11.21更新

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第35回ヤングシナリオ大賞、受賞者決定!大賞は阿部凌大さん『高額当選しちゃいました』

阿部凌大さん

『第35回フジテレビヤングシナリオ大賞』

来年地上波放送、配信が決定!

第35回ヤングシナリオ大賞、受賞者決定!

坂元裕二、野島伸司、橋部敦子、浅野妙子、野木亜紀子といった数々の人気脚本家を輩出し、第33回の大賞受賞者、生方美久が大ヒットドラマ『silent』や、現在放送中の木曜劇場『いちばんすきな花』、第34回大賞受賞者、市東さやかが『真夏のシンデレラ』の脚本を担当したことでも話題の「フジテレビヤングシナリオ大賞」。11月20日(月)、第35回の受賞者が決定し、授賞式が行われた。授賞式では、フジテレビ代表取締役社長・港浩一より、大賞受賞者の阿部凌大(あべ・りょうた)さん、佳作受賞者の片岡陸(かたおか・りく)さん、島崎杜香(しまざき・もにか)さん、内山哲生(うちやま・てつお)さんに賞状と賞金目録が授与された。なお、大賞作品『高額当選しちゃいました』は映像化され、来年放送、配信予定だ。

大賞は阿部凌大さんの『高額当選しちゃいました』

今回1,679件に上る応募の中から大賞に選ばれたのは、阿部凌大さんの『高額当選しちゃいました』だ。それぞれに夢を追う児童養護施設育ちの小野寺彰(23)、今川俊(23)、春日司(23)、川上潤(23)の幼なじみ4人は、バイトに明け暮れる日々を送りながら、毎年年末になると、宝くじを共同購入していた。その年にバラで買った10枚の宝くじの1枚がなんと1等に当選!しかし突如当たりくじが姿を消したことで、4人は疑心暗鬼になり4人の中から犯人を捜し始め…。行方不明の宝くじを巡って試される、幼なじみたちの友情が描かれている。予想を裏切って二転三転するストーリーと、雰囲気に逃げることなくギミックをしっかり作り込んで面白いストーリーを作ろうとする姿勢が高く評価され、見事大賞に選出された。

佳作にも個性あふれる3作品が選ばれる

また、佳作には3作品。片岡陸さんの『イージーライフ』、島崎杜香さんの『クロスロード』、内山哲生さんの『わたしたちの失恋』が選ばれた。

『イージーライフ』は、ストレスがたまると人のいない公園でひとりギターを片手に歌を歌う、コールセンターに勤める藤井拓也(25)と、若い頃に音楽の道を諦めた細野茂(41)の物語。長く無気力な日々に沈んでいた茂は突如出会った拓也の歌声に感動し、本気で音楽をやるように拓也に勧める。拓也はそれをあっさりと断るも、茂の賞賛を受けた拓也の心中には妙な“わだかまり”が残るのだった。拓也が歌いに街へ出ることもなくなってしまった一方、拓也との出会いを経て生活への意欲を取り戻し始めた茂のもとにある日、1通のメールが送られてくる。そこには1つの動画が添付されており、その暗い画面の中からは聞き覚えのある“あの歌声”が聞こえてくるのであった。
クレーム電話を通しての出会いとそれを“歌声”につなげていくセンスを感じさせる設定、人生で初めて書いたものとは思えないレベルの脚本に大きな可能性を感じ、佳作に選出された。

『クロスロード』は、無力感を抱えながら生きてきた会社員の小林寿葉(25)が、ひょんなことから縁もゆかりもない田舎の町に行くことになり、そこである夫婦と出会うところから始まる。寿葉のことを優しく迎え入れてくれた2人だったが、10年前に自分たちの帰りが数分遅れたせいで愛する一人娘を失うという悲しい過去を抱えていた。なんでもないような小さな出来事は、自分にとって、誰かにとって、人生を左右する大きな分岐点になるかもしれない。ときに世界から奪われ、ときに世界に残されながら、後悔や幸せを背負ってこの世界を生きている人々の、人生の分岐点と、その交わりを描いた作品だ。何種類かの「人生につまずいた人たち」を、計算された設定のもとで描き、昨今の世界的な風潮を取り入れるセンスが評価され、佳作に選出された。

そして、『わたしたちの失恋』は、大学生カップルの“ひとつの失恋の話”を描いた作品。大学3年生の達規(21)は、恋人の百合奈(21)と良い関係を築けていると思っていたが、突然、百合奈から別れを告げられてしまう。距離を置いていた期間、2人はそれぞれ違う気持ちで過ごしていて…。愛おしく切ないがどこか滑稽で気恥ずかしい、大学生の心を丁寧に描こうとする姿勢と好感の持てる視点が評価され、佳作に選出された。

今回受賞した4人の次世代の脚本家たちが、これからどのような作品をテレビドラマ界に送り出していくのか。新たな才能にぜひご期待いただきたい!

左から)内山哲生さん、島崎杜香さん、阿部凌大さん、片岡 陸さん

左から)島崎杜香さん、阿部凌大さん、港浩一社長(フジテレビ)、片岡陸さん、内山哲生さん

【大賞概要】

<ヤングシナリオ大賞とは>
1987年に創設された、テレビドラマで活躍する若手脚本家を募集・育成するためのシナリオ公募。ドラマ・映画制作の現場に携わるフジテレビ関係者メンバーで厳正に審査される。受賞作品は特典としてフジテレビにてドラマ化されるため、作品を選んで終わりではなく、一緒にドラマを作っていくことにより、即戦力となる脚本家として活躍する人材を育成することを目的としている。将来性のある脚本家を発掘・育成する若手脚本家の登竜門と言われ、2020年、一般社団法人「放送人の会」が主催する「放送人グランプリ2020」を受賞した。
主な受賞者
坂元裕二(第1回大賞・『東京ラブストーリー』『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』『大豆田とわ子と三人の元夫』他)
野島伸司(第2回大賞・『愛という名のもとに』『101回目のプロポーズ』『ひとつ屋根の下』他)
橋部敦子(第6回佳作・『僕の生きる道』『フリーター、家を買う』『知ってるワイフ』他)
浅野妙子(第7回佳作・『大奥』シリーズ『ラスト・フレンズ』『純情きらり』(NHK)他)
安達奈緒子(第15回大賞・『コード・ブルー 3rd season』『リッチマン、プアウーマン』『透明なゆりかご』『おかえりモネ』<NHK>他)
黒岩 勉(第20回佳作・『謎解きはディナーのあとで』『アンサング・シンデレラ』『TOKYO MER』<TBS>『ONE PIECE FILM RED』他)
野木亜紀子(第22回大賞・『逃げるは恥だが役に立つ』『アンナチュラル』『MIU404』<TBS>他)
生方美久(第33回大賞・『silent』『いちばんすきな花』他)
市東さやか(第34回大賞・『真夏のシンデレラ』他)
次回、第36回は12月中旬より募集を開始する予定。詳しい応募要項や今回の受賞作品などは下記URLで紹介される。

掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。