『人生常緑 ~茶山の一心家族~』

2023.09.20更新

報道・情報

第32回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品(制作:テレビ宮崎)

宮崎県日之影町にある有機釜炒り茶を生産する茶園「一心園」

『人生常緑 ~茶山の一心家族~』

<9月27日(水) 27時20分~28時20分>

絶景斜面で紡がれる伝統の釜炒り茶づくり

宮崎県日之影町にある茶園「一心園」に新茶の季節がやってきた。茶業に専念すると決め山を切り開いて以来、50年に渡って幻の「釜炒り茶」をつくり続けてきた甲斐一心さん。妻と息子と従業員と、いつまでも大好きなお茶づくりが続けられると思っていた…。2022年、一心さんの身を悲劇が襲う。小さな町の、小さなお茶屋さんで紡がれる物語。今年も無事においしい新茶を届けることができるのか。

日本茶生産量の約0.02%!希少な釜炒り茶をつくり続ける家族の20日間

宮崎市から車で2時間。人口約3500人の山深く小さい町・日之影町。この町を訪れた瞬間、目に入ってくるのが山の斜面を覆いつくすような茶畑だろう。その茶畑こそ、日之影町唯一の有機釜炒り茶を生産する茶園「一心園」だ。一心園を立ち上げたのは甲斐一心さん。80歳を迎えた今も、従業員を率いて急斜面での茶摘みを毎日行っている。一心さんと共に歩んできたのが、妻のクニ子さん。言葉が通じない海外からのお客さんが来ても何のその!持ち前の明るさで強烈な日之影弁を貫き通す、元気な看板おばあちゃんだ。2人は、お金の工面に苦労しながらも、何とか釜炒り茶をつくり続け、4人の子どもを育て上げた。一心さんが摘んできた生葉を加工する茶工場を動かしているのが、長男の鉄也さん。福岡の大学で農業機械について学んだ後、故郷日之影に帰ってきた。農薬に頼らない有機農業に強いこだわりを持ち、口下手な一心さんと従業員の仲を取り持つフォロー役にも余念がない。というのも、1枚1枚手で茶葉を摘んでいた時代に比べて、現代の茶摘み機は調整が難しいという。経験の浅い従業員は葉を残してしまったり、枝まで刈り込んでしまうことも少なくない。一心園は、茶摘みの先頭に立ち続ける一心さんと、その思いを受け継ぐ鉄也さんのあうんの呼吸で毎年新茶の季節を乗り越えてきた。しかし、2022年6月に一心さんを悲劇が襲った。茶摘みをしていた最中、茶摘み機ごと崖下に転落したのだ。2023年の茶摘みはどうなってしまうのか。これまで通りおいしい新茶を届けることができるのか。ありのままの姿で笑い、時に怒り、お茶づくりに一心に働く家族の新茶の季節を追った。

ディレクター・結城 葵(テレビ宮崎 制作部)コメント

「“いつかこの家族と一緒に新茶の季節を過ごしたい”初めて甲斐家の皆さんと会って以来そう思ってきたので、今回は念願の取材でした。久しぶりに会いに行って知った、一心さんの生死をさまようほどの大けが。思うように手を動かせないながらも、お茶づくりに一心に働く姿に心を打たれました。“この仕事がなくなったら自分には何も残らない”という言葉が強く私の心に残っています。そう言い切れるほど…人生を懸けて挑める仕事に出会えていることへ羨望(せんぼう)の念を抱くとともに、自分の人生にとって一番大切なのは何かを考える機会にもなりました。そして…カメラが回っている中であんなに親子げんかをする人たちもいないのではないかと思います。家族にでさえ本音が言いづらい現代だからこそ、“家族ってこうだよなぁ”と本物の絆を見た気がします」

茶園「一心園」創業者の甲斐一心さんと妻・クニ子さん

【番組概要】

第32回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『人生常緑 ~茶山の一心家族~』(制作:テレビ宮崎)
≪放送日時≫
<9月27日(水) 27時20分~28時20分>
≪スタッフ≫
プロデューサー:藤並秀行
ディレクター:結城 葵
撮影・編集:西田博文
ナレーター:貴島あゆ美
撮影助手:岩﨑 鴻
題字:黒木美希

掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。