2023.08.21更新
報道・情報
高齢者を介護するインド人介護士
<8月28日(月) 27時20分~28時20分>
少子高齢化が進む中、労働人口の減少が大きな問題となっている。特に介護業界の人手不足は深刻だ。そんな中、福井県勝山市の高齢者施設では介護士不足を解消するためインド人女性15人を一度に採用した。看護師資格を持ち、日本語も流ちょう。生き生きと働く彼女たちだが、故郷・インドを取材すると日本の外国人労働者の受け入れに大きな課題が見えてきた。
介護士不足が続いていた福井県勝山市の特別養護老人ホーム「さくら荘」。人材探しに試行錯誤する中、新たにインド人女性15人を一度に採用した。インドは人口が14億を超え、まもなく世界一に。平均年齢28歳で人材も豊富なこの国に光明を見出したのだ。彼女たちはみなインドの看護師資格を持ち、日本語も使いこなす才女ばかり。3交代制で朝6時から夜9時まで忙しく働き、プライベートでは日本の文化も楽しんでいる。
そんな彼女たちだが、みな故郷の家族の生活を支えるために遠く日本までやってきている。中には幼い子供を残して日本に来た人たちもいる。「特定技能」の労働者として働く彼女たちは、日本の国家資格「介護福祉士」を取得しなければ、家族とともに暮らすことができないのだ。今の日本の制度では、在留期限の5年を超えて働くこともかなわない。
今回、子供がいる2人のインド人介護士の里帰りに密着。1人は子供が生まれてまもなく日本語を学ぶために家を離れたため、再会を果たすものの子供は母親に対し、うまく甘えることができない。もう1人は、久しぶりの再会を喜ぶが、日本に帰国する際は、子供が「一緒に行く」と泣き叫び、つらい別れとなった。
また、インド取材では、かつて愛知県の介護施設で働いていた女性にも話を聞くことができた。日本語を学び、介護の仕事も身に付けた彼女だが、夫とともに暮らしたいと日本で働くことをあきらめた。ドイツ語を覚えて、ドイツで働くという。
労働人口が減少する中、経済的にも魅力が薄れた日本で働く外国人は今後減少していくことが予想される。外国人労働者に対する高いハードルを設ける日本。このままでよいのか、インド人介護士の姿を通して改めて考えたい。
「“インド人女性が働くんだけど、取材に来ない?” 長年ボランティアとして付き合いがあった高齢者施設から電話があり、普段耳にすることがない“インド人”というワードに思わず“行きます!”と答えたのがこの取材の始まりでした。
長引くコロナ禍で、肉親ですら面会制限されていた時期でしたが、施設内は笑い声であふれていました。インド人の彼女たちがお年寄りに流ちょうな日本語で話しかけ、笑顔で献身的に介護していたのです。彼女たちの中には幼い子供を残して来日している人もいます。インドには彼女たちからの仕送りに支えられて暮らす家族の姿がありました。家族を背負い、大きな決断をして日本に来ている彼女たち。優秀で貴重な人材は、これからも日本に働きに来てくれるとは限りません。日本の労働力が不足する中、外国人労働者との向き合い方を今一度、考える時期に来ているとの思いで番組を制作しました」
インド人の介護士たち。来日直後、特別養護老人ホーム「さくら荘」の屋上で記念撮影
幼い子を残して日本へ
掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。