『自分らしく生き抜けるまちに~一関を駆ける在宅医の日々~』

2023.07.12更新

報道・情報

第32回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品(制作:岩手めんこいテレビ)

在宅診療に日々奔走する杉山賢明医師

『自分らしく生き抜けるまちに~一関を駆ける在宅医の日々~』

<7月19日(水)26時55分~27時55分>

在宅医療を“当たり前”に 43歳医師の奮闘

高齢化率38%の岩手県一関市に2021年に開設された「やまと在宅診療所一関」。市町村の面積で全国12位と広大なこのまちを、医師や看護師を乗せた軽自動車が駆け回り、通院困難な患者約160人を診療している。院長の杉山賢明医師はアメリカ生まれ、現在もテニスの県代表選手を務めるユニークな経歴を持つ。命の危険が迫る病状でも在宅療養を続ける80歳男性や、1人暮らしの70歳男性など、患者それぞれの人生に深く寄り添う杉山医師の日々を追った。

誰もが最期まで自分らしく生きられるまちに 患者たちの人生に寄り添い岩手を奔走する在宅医の日々

岩手県最南端に位置する一関市。面積は全国の市町村で12位と広大で、高齢化率は38%に達している。このまちに2021年4月に開設された「やまと在宅診療所一関」は、通院困難な高齢者などの自宅に出向く「在宅診療」に特化した医療機関だ。現在、市内やその周辺に住む約160人を対象に診療していて、24時間対応できる態勢を整えている。
院長はアメリカ生まれ東京育ちの杉山賢明医師(43歳)。日本スポーツマスターズに県代表で出場しているテニスプレーヤーでもあり、仕事の合間に農業に勤しむ一面も持っている。
診療では看護師、アシスタントとともに軽自動車で東奔西走。老々介護の世帯や、1人暮らしの高齢者、命に危険が迫る病状でも在宅療養を選択した患者など、それぞれの人生、それぞれの思いに深く寄り添いながら、“患者ファースト”の医療を展開している。

訪問先は老々介護の世帯が多いのが現状
左から)患者の家族、アシスタント、杉山賢明医師

現在、国内では7割の人が病院で亡くなっている一方、高齢者の6割は自宅で最期を迎えることを望んでいるとの調査結果もある。在宅療養のニーズが今後さらに高まることが予想される中、杉山医師は患者を地域全体で支えられるようにするため、地域のケアマネージャーや訪問看護師との連携強化にも力を注いでいる。さらに自身の父親に余命を宣告した体験が元となり、あらかじめ家族などと最期の迎え方について話し合う「人生会議」の普及にも取り組んでいる。
“どのように最期を迎えるべきか”は誰にとっても身近なテーマだ。「在宅診療を当たり前の選択肢にしたい」「誰もが自分らしく生き抜けるまちをつくりたい」と奮闘する杉山医師の姿を通して、今後の超高齢社会について考える。

最期の迎え方について話し合う「人生会議」の普及活動も
右奥)杉山医師、周囲は一関市民

ディレクター:佐々木雄祐(岩手めんこいテレビ 報道部)コメント

「“次もまた会えるように、今頑張らなければと常に思う”杉山医師は高齢患者の診療にあたる際の心境をこう明かしてくれました。今回は実際に番組でご紹介した96歳の男性患者が岩手での放送前日に亡くなったり、取材予定だった女性患者がその前に亡くなったりというケースがありました。在宅療養の現場は多くの場合、常に“死”という現実と隣り合わせである厳しさを知りました。その一方、今回は亡くなった患者について、家族と医療・介護のスタッフがエピソードを語り合う『しのぶ会』にも伺いました。スタッフたちの言葉からは真摯(しんし)な姿勢や思いの深さがよく伝わってきて、本当に胸が熱くなりました。こうした人々が地域を支えてくれていること、私たちはもっと知るべきだと率直に思います。常に最善を尽くす杉山さんたちの姿を見ていただく中で、多くの人に自分や家族の最期の迎え方について、そして生きる素晴らしさについて考えてもらえたらと願っています」

【番組概要】

第32回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『自分らしく生き抜けるまちに~一関を駆ける在宅医の日々~』(制作:岩手めんこいテレビ)
≪放送日時≫
7月19日(水)26時55分~27時55分 ※関東ローカル
≪スタッフ≫
ナレーション:森尾絵美里(岩手めんこいテレビアナウンサー)
プロデューサー:櫻 克宏(岩手めんこいテレビ報道部)
ディレクター・構成:佐々木雄祐(岩手めんこいテレビ報道部)
撮影・編集:佐々木 潤(岩手めんこいテレビ報道部) 

掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。