『水どぅ宝』

2022.11.18更新

報道・情報

第31回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品(制作:沖縄テレビ放送)

人々の命を支えてきた湧水・喜友名泉

『水どぅ宝』

<11月21日(月) 27時25分~28時25分>

沖縄の水に起きてきた異変を追う

島国の沖縄では水は宝、“水どぅ宝”だ。しかし、その水に異変が起きている。一体何が起きているのか!?汚染源はどこなのか!?調べていくと、本土復帰50年、未だに現実の痛みが続く沖縄の姿があぶり出される。そして、この水汚染は沖縄だけの問題ではなく、全国の米軍基地を抱える場所で起きてきたことがわかった。
子どもたちの命を守るために立ち上がった人々の姿を追った。

水先案内人の津嘉山正種が本土復帰50年を迎えた「沖縄の現在地」を照らし出す

2016年、沖縄県は45万人に供給される北谷浄水場の水道水に有機フッ素化合物・PFOSが含まれていたと発表。それは発がん性が指摘され、国際条約で使用が原則禁止とされた化学物質だった。
2021年、沖縄ではこの汚染物質による水汚染が次々と吹き出した。
米軍は日米で協議中にも関わらず、汚染物質を含む汚染水を公共下水道へと放出。金武町では水道水に国の基準値を超える汚染物質が含まれていたことが発覚。
県民は不安を募らせる一方だが、「日米地位協定」が壁となり、汚染源とみられる米軍基地内への立ち入り調査すらできない…、それが復帰50年を迎える沖縄の姿だ。

この物質の医学的評価は定まっていないが、胎児や子どもの成長に悪影響を与えるとして研究者が警鐘を鳴らす。
「子どもたちの健康に影響はないのか、調べてほしい―」。
県民の声は日増しに大きくなり、2022年春、汚染に抗議する初の県民集会が開かれた。子どもたちを守るために立ち上がった人々の姿を追う。
沖縄の水汚染は、見て見ぬ振りが出来ないところまで来ている。

県民集会で訴える仲宗根由美さん

「子どもたちに安全な水を!」

番組の水先案内人は、沖縄県出身の名優・津嘉山正種さん(78歳)。戦後の収容所暮らしから立ち上がった津嘉山さんは、そのまま本土復帰50年の生き証人。その目に映る本土復帰50年の「沖縄の現在地」を照らし出す。

水先案内人・津嘉山正種さん

ディレクター・平良いずみ(沖縄テレビ放送報道部)コメント

「乳児に与えるミルクには、水道水を使うことが推奨されるのをご存じでしょうか。ミネラルウォーターのミネラルが乳児の内臓に負担になるとされるためです。ディレクターである私自身、この問題が発覚した時、一歳になる息子にせっせと水道水を煮沸してミルクを与えていました。そんな矢先、水道水に胎児や子どもの成長への悪影響があるとされる汚染物質が含まれていたと知り、怒りと不安でいっぱいになり、取材を始めました。
そして、見えてきたのは、人々の健康や命に関わることなのに汚染源の調査すら出来ない、この国の現実でした。米軍基地周辺で汚染が広がっていることが確認されていて、基地が汚染源とみられていますが、“日米地位協定”が壁となり調査が出来ないのです。さらに、これは沖縄だけで起きている問題ではないことも判明。青森県三沢や東京都でも同じ水汚染が起きています。地位協定に蔑ろにされているのは決して沖縄だけではありません。その現実に目を向けてほしいと切に願っています」

【番組概要】

第31回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『水どぅ宝』(制作:沖縄テレビ放送)
≪放送日時≫
11月21日(月) 27時25分~28時25分
≪スタッフ≫
プロデューサー:末吉教彦、山里孫存
ディレクター:松本早織、平良いずみ
撮影・編集:大城茂昭
構成:渡邊修一
ナレーター:津嘉山正種

掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。