2022.10.19更新
報道・情報
ミヤサカカズヒデ氏
10月26日(水) 27時25分~28時25分
富山県魚津市に住むアニメクリエイター、ミヤサカカズヒデさんは2020年夏に、左あごにがんがみつかった。口腔がん、5年生存率は最悪50%と告げられた。ところが告知から1週間、自らのがんの治療体験を漫画にしてSNSで発信し始める。タイトルは『キャンサーパンサー』、登場するのは医者も患者もみんな動物。なぜ、描いたのか…。がんをきっかけに、アニメクリエイターとして岐路に立っていた男の人生が、再び動き出す。
ある日、ギャグアニメばかりを描いていた男のTwitterに、かわいいキャラクターのイラストが投稿された。「告白です~“癌になりました”」。衝撃的な言葉は続く。「せっかく貴重な体験なので退院するまでを漫画にします」。
富山県魚津市に住むアニメクリエイター、ミヤサカカズヒデさんは、2020年夏に口腔がんが見つかった。5年生存率は最悪50%と宣告された。その1週間後、このツイートが投稿された。
ミヤサカカズヒデ氏によるSNS投稿
グレーのモジャモジャの生き物…キャラクターは何をモチーフにしているかわからなかったが、話を聞いてみたくなった。なぜ、自らのがんを描こうと思ったのか―。
ミヤサカさんがアニメづくりを始めたのは30歳を過ぎた頃。イラストを思い通りに動かせる面白さに魅せられ、脱サラしてのめり込んだ。手掛けた作品はほとんどがギャグアニメで、やたら中年男が登場する作風が特徴だ。若い才能が次々に見いだされているアニメクリエイターの世界で、活躍し続けられる人材はほんの一握り。50代ならではの、年齢にあった新たなものを表現したいと考えていた時、出会ったネタが、「がん」だったという。
ミヤサカさんはがんになって、それまでの仕事の依頼をすべて失っていた。生涯に2人に1人ががんにかかるという今の時代。これだけ身近な病気にも関わらず、果たして正しく理解されているのだろうか。
がんを経験したアニメクリエイターにできることは何か…。これは、再発や転移の不安を抱えながらも、日本人の2人に1人という現実に向き合った、中年男の1年の記録である。
診察を受けるミヤサカカズヒデ氏(右端)
「私たちは、大切な人から“がん”であることを告げられる時、なんと言葉を返すのでしょうか。こうした状況には、いつ向き合うことになるかわかりませんし、自分がそう伝える立場になることも想定しておくべきでしょう。がんと診断される人は年間約100万人に上り、日本人の2人に1人が生涯がんにかかると言われています。これだけ身近な病気であるにも関わらず、私たちはこれまでがんのことを正しく理解しようとしてきたか、考えなおす必要があると感じました。
ミヤサカさんはがんと告げられた後、すぐに制作意欲が湧き、『キャンサーパンサー』を描いてみたそうです。彼を良く知る人の言葉を借りれば、ある意味ネジが外れてしまっているのかもしれません。ですが、がんを経験したからこそ伝えられることはあるはずです。そして、私たちはそのメッセージをどう受け取るか、問われている気がします。本番組が、がんへの理解の一助になることを切に願います」
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