2022.08.19更新
報道・情報
ワイビズでの相談風景
8月26日(金) 26時55分~27時55分
創業100年超の「老舗企業割合」が京都についで全国2番目に多い山形県だが、企業の新規開業率は全国44位。コロナ禍の影響もあり多くの企業が倒産の危機にさらされている。そんな山形だが、少しずつ変化が表れている。その秘密は行列ができる経営相談所の存在。その方針は「お金をかけず、知恵を使う」こと。中小企業はいかにして再び力を得たのか?気づかなかった「強み」を武器に立ち上がる姿を通し、現代を生き抜くヒントを考える。
コロナ禍の影響で疲弊する地方経済を日々報道する中で、弊社ではもがきながらもその先にある明るい未来を信じ奮闘する山形県民を見てきた。今回の番組では地方都市の実態と乗り越えようとする中小企業の姿、そしてアドバイスする経営相談所に密着しウィズコロナ時代を生き残る経営のヒントを山形から発信したいと考えた。
人口約104万人の山形県。人口は年々右肩下がりで経済活動にも影響が出てきている。県都山形市ではこの20年で製造業の企業数が半数にまで激減するなど中小企業は厳しい現実と向き合っている。そんななか経営者たちが足を運ぶ話題の施設がある。行列ができる経営相談所とも呼ばれる山形市売上増進支援センター、Y-biz(ワイビズ)だ。モットーはお金のかからない知恵を使うこと。中小企業が元々持っていた強みを見つけ新たな知恵を出し新商品誕生の後押しをしている。
山形市でお酒のおつまみなどを卸す東北珍味。長引く景気の低迷が社員7人の小さな会社を苦しめてきた。自前の独自商品を製造してこなかった東北珍味では値下げ競争に打ち勝つ手段が見つからず荒波に飲まれてきた。
さらにコロナ禍という荒波も彼らを飲み込み始めていた。
上山市にある丹野こんにゃく。創業63年のこんにゃく専門店だ。県内外に6店舗を構えているが創業時からターゲットにしてきたのは観光客。行動制限などにより観光客が激減し、悩んだ末にたどり着いたのは地元客相手の商売だった。しかしこんにゃくの消費量が全国1位の山形県では新たな商品を開発しない限り売り上げを伸ばすことは簡単ではない。そこで救いの手を求め社長が訪れたのがワイビズだった。
中小企業の経営者が行列をつくるワイビズの原点を探るため我々は大阪府岸和田市に向かった。
ワイビズのコンセプトや運営方法(ビズモデル)は、岸和田ビジネスサポートセンター、Kishi-Biz(キシビズ)にいる人物が考案したモデルをならったもので、今では全国24の自治体が導入している。ビズモデルの創始者はこれまで約7000社の支援を行い、実にその7割で売り上げアップを実現してきた。
これまでの中小企業支援よりも、具体的な結果を追求するビズモデル。創始者は「コロナ禍でも国が積極的支援を行い今は倒産件数だけをみれば史上まれに見るほど低い水準に抑えられている。しかしそれを裏付ける補助金がいつまで続くか分からない。国家財政が破綻してしまうから無理。ビズモデルをやりたいと言う市・町がこれまで以上に増えるかもしれない」と話す。
お金をかけないで知恵で勝負。そして結果にこだわるビズモデル。
ワイビズに新たな相談者がやってきた。創業211年の和菓子店、杵屋本店。人口減少に伴って10年以上売り上げが減少していた。これまでの相談センターで出る話は新たな設備投資ばかりで、今回もそんなに期待していなかったと語る担当者だったが、ワイビズが提案したのは和菓子界のタブーで、お金もかからない斬新なものだった。
長引く景気の低迷で苦しんでいた「東北珍味」。
観光客の減少で地元客に目をつけた「丹野こんにゃく」。
和菓子界のタブーへの挑戦を決めた「杵屋本店」。
ワイビズが見つけた「強み」でV字回復は叶(かな)ったのか…。
非常識のなかにこそ現代社会を生き抜くヒントが隠れているのかもしれない。
あなたの強みは何ですか?
丹野こんにゃく
ワイビズ・センター長
「山形市中心部に誕生したワイビズを取材したのはオープンした2年前のことでした。ニュースで取り上げましたが
その後の相談件数は3600件、生まれた新商品やサービスは100を超えました。地方都市の未来に向けて伝えるべきことがたくさん隠れていると感じたため、定期的に取材し今回の番組化につながりました。中小企業の様々な悩みに対して親身になって耳を傾けるワイビズ。お金をかけない・知恵で勝負をモットーにしたアドバイスは私自身も驚きと感動を覚えました。業界の常識は他人にとって非常識という言葉もありますが生まれた商品やサービスはまさに目からうろこだったことでしょう。今の日本、特に地方は人口減少や長引くコロナの影響で経済が冷え込んでいます。結果が出ないことを誰かのせいにしないで、新たな一歩を踏み出すきっかけになってもらえればうれしいです」
掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。