『風を創る』

2022.08.09更新

報道・情報

第31回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品(制作:秋田テレビ)

秋田県由利本荘市沖と風車

『風を創る』

8月16日(火) 26時55分~27時55分

前例なき洋上風力発電。秋田の海はどう変わる

2021年、国は国内最大規模の海域である秋田県由利本荘市沖の事業者に、地元企業のウェンティ・ジャパンを選んだ。そこで社長を務める佐藤裕之は、風を最も活用する経済循環を秋田で作りたいと強く願う。しかし、海での大規模開発に漁業者からは「魚がいなくなるのではないか」と不安の声が出る。その解決の手がかりを知る潜水士が秋田にやってきた。洋上風力発電で秋田の海はどう変わるのか。そして、佐藤が見つめる秋田の未来とは…。

洋上風力発電の事業者となった男性。地元の産業活性を願うが、漁業者から「魚がとれなくなる」と不安の声が…

国が再生可能エネルギーの切り札と位置付ける洋上風力発電。国は、2021年12月、再エネ海域利用法に基づく洋上風力発電の促進区域で、国内最大規模の海域である秋田県由利本荘市沖の事業者に三菱商事などの共同事業体を選んだ。その事業体の中に、地元・秋田の企業であるウェンティ・ジャパンが参画している。そこで社長を務めるのが今回の主人公、佐藤裕之だ。

秋田県は南北に連なる長い海岸線があり、冬に北西の風が吹き込むことから国内屈指の風力発電の適地と言われている。佐藤は、いぶりがっこやハタハタなどの特産品と同じように、風は秋田の地域資源だと唱える。大手企業がこの風を求めて秋田で事業を展開するが、佐藤は地元・秋田が風を最も活用する経済循環を作りたいと強く願う。

ウェンティ・ジャパン 佐藤裕之社長

秋田県の試算では、洋上風力発電による経済効果は3820億円と見込んでいて、秋田の産業界は活気づいている。一方で、海での大規模な事業に不安を抱えるのが漁師だ。県魚であるハタハタは、温暖化などの影響で漁獲量が年々下降線をたどる。大規模な海の開発が進んだら秋田の海はどうなるのか。その解決の手がかりを知る潜水士・渋谷正信が漁業者に頼まれ秋田にやってきた。

渋谷は、羽田空港の拡張埋め立て工事やレインボーブリッジなど、海洋構造物を建設する全国のプロジェクトに数多く携わってきた。東日本大震災の頃に洋上風力発電を知り、風力発電の先進地であるヨーロッパなどで洋上風力発電と漁業の共生を探り、可能性につながるヒントをつかんでいた。洋上風力発電を進めていく上で、漁業との共生は大きな課題だ。洋上風力発電で秋田の海はどう変わるのか。そして、佐藤が見つめる秋田の未来とは…。

渋谷正信さん

潜水する渋谷正信さん

ディレクター・構成:高橋朋弘(秋田テレビ報道センター) コメント

「“海の中に何十本も風車が立ったら、秋田の海はどうなってしまうのか”。洋上風力発電の取材を最初にした際、率直に思いました。四方を海に囲まれた日本。一見、沿岸部であればどこでも風力発電の適地に思えますが、南北に延びた長い海岸線と、遠浅の海、それに、厳冬に県民を苦しめる北西の風が、秋田を洋上風力発電の適地とする所以(ゆえん)でした。素直に驚きました。主人公の佐藤さんは、地元・秋田への思いがとにかく強い。ただ電気を作るだけでなく、発電した電気を使った地域振興や風車による部品供給網の構築で、若者の県外流出で衰退する秋田を元気付けたいと切に願っていました。
国内では未知なる領域の大規模洋上風力発電。番組を通じて洋上風力の可能性を探るとともに、秋田にゆかりのある人たちに古里・秋田を見つめ直すきっかけにしてもらえたら幸いです」

【番組概要】

第31回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『風を創る』(制作:秋田テレビ)
≪放送日時≫
8月16日(火) 26時55分~27時55分
≪スタッフ≫
ナレーション:塩田耕一
プロデューサー:杉 卓弥(秋田テレビ報道センター)
ディレクター・構成:高橋朋弘(秋田テレビ報道センター)
撮影・編集:能登屋 隆(秋田テレビ報道センター)

掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。