『8人のサッカー部』

2020.09.23更新

その他

第29回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品(制作:テレビ長崎)

8人のサッカー部の挨拶(2019年2月)
左から)坪内景虎さん、三ヶ﨑裕也さん、水野貴雄さん、永松柊人さん、永松陸人さん、泊皇さん、中村紘輔さん、平田翔さん

『8人のサッカー部』

9月30日(水)26時50分~27時45分

部員は8人!小さな島の高校サッカー部

舞台は長崎県の離島・宇久島。島唯一の高校・宇久高校のサッカー部は、部員がたったの8人しかいない。人数不足という大きなハンデを抱え、試合でどれだけ点を取られても、諦めずに最後まで走り続ける8人。彼らは何のためにサッカーをしているのか。その先に何を見ているのか。
人口減少や高齢化など過疎の島に生きる若者の生き様を通して、友情、絆、親子の愛などを描く。

部員は8人!小さな島の高校サッカー部 8人から浮かび上がる、島の抱える問題…彼らはどう受け止めているのか?

8人で挑む長崎県高総体初戦(2019年6月)

長崎県の離島・宇久島。島唯一の高校・宇久高校のサッカー部は、部員がたったの8人しかいない。2年生が2人、1年生が6人、合わせて8人だ。
それでも彼らは本気で勝利を狙っている。専門の指導者はいない。練習試合もできない。それでも、島じゅうを走り回って体力をつけ、人数が少なくても勝てる方法をみんなで議論。試合の後には涙を流し、抱き合う。青春をサッカーに捧げる8人だ。

取材のきっかけは、長崎県高校総合体育大会(通称・県高総体)での出会いだった。県高総体は、長崎の高校生アスリートが目標の1つに掲げる舞台。この大会で引退する3年生も多い。2018年、この大会の男子サッカー競技に、部員11人未満のチームとして唯一出場するチームがあると聞いた。それが宇久高校サッカー部だった。当時の部員は9人。初戦で強豪校とあたってしまい、1点も取れずに22対0で敗れた。見ていてかわいそうになるほどの一方的な試合。しかし終了後、彼らは涙を流しながら「先輩を勝たせてあげられず悔しい」とつぶやいた。明らかに厳しい条件でも、彼らは本気で勝つつもりだった。

卒業生の旅立ち(2020年3月)
平田翔さん

彼らを突き動かす原動力は、何なのだろうか?
3年生キャプテンのしょっぺ(平田翔さん)にとって、それは父親だった。しょっぺの父・耕太郎さんは、仕事の都合でしょっぺとは離れて暮らしている。しょっぺにとってサッカーの試合は、父親と再会できる場所。試合のたびに応援に来てくれる父に、サッカーを通して自分の成長した姿を見せたい。しょっぺは「父親に一度も勝ったところを見せたことがない。高総体で勝つところを見せたい」と力強く語る。
一方、2年生の皇(泊皇さん)の原動力は、宇久島民としての誇りと意地だった。「11人対11人で勝つのは当たり前。宇久島の代表として、8人で勝ちたい」。

番組の1つの見どころは、22対0で敗れた試合の1年後、2019年の県高総体だ。去年より1人少ない8人で挑んだ試合の最中、「部員のケガ」というハプニングが起こる。8人がそれをどう乗り越えるのか。そして、試合で勝利を収めることはできるのか?

宇久島は、長崎県の五島列島・最北端に浮かぶ小さな島だ。かつてアワビ漁などの漁業で栄えた島は、近年若者の島外流出が止まらず、1万人以上いた人口は2000人程度にまで減っている。3年生のコッピ(中村絋輔さん)も、卒業後は島を出て、福岡で美容師を目指すという。コッピの父・義孝さんは、50歳にして島最年少の漁師。子供に漁師を引き継がず「子供には好きな仕事をしてほしい」と、息子の美容師になる夢を応援している。島を出たい若者と、それを止めない親。これは果たして本心なのだろうか。親子を通して見えてくる、島の現状。親への思い、子への思いが交差する。

宇久高校サッカー部は、2020年6月をもって事実上の廃部となることが決まっている。今後、部員の増加が見込めないためだ。部員は全員、自分たちが最後の代だと知っている。サッカー部にとって「最後の大会」となるのが、2020年6月の県高総体だ。「最後の大会で1点を取る」を合言葉に、最後を笑顔で飾るために、全員で練習を重ねる、はずだった…。

2020年3月。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、長崎県内の高校の部活動は一時停止に。ボールに触れない日々が続いた。4月に入り、部活動は再開。サッカーができる喜びを爆発させる一方で、「県高総体が開かれないかもしれない」というニュースに不安を覚える8人。一生に一度。サッカー人生の集大成。宇久高校サッカー部としての最後の瞬間。大会自体がなくなるかもしれない事態を、8人はどう受け止めるのか…。

小さな過疎の島に生きる若者の生き様を通して、家族、人生、友情など、忘れかけている大切なものについて問いかける。

ディレクター・松永悠作(テレビ長崎報道部)コメント

「宇久島は、長崎市内から向かうと約5時間もかかるとてもとても遠い場所にあります。島に行くだけで一苦労でしたが、サッカー部の8人の無邪気な表情や明るさに触れると、疲れも吹っ飛びました。どんなに厳しい状況でも諦めない彼らに心からのエールを送りたい、多くの人にこの8人のことを知ってほしい、応援してほしい!と私はこの番組の制作をスタートさせました。8人を2年に渡り見つめる中で、自分にもこんな青春時代があったのだろうか、と自分の人生を振り返ることがありました。大人になり、いつの間にか消えかけていた情熱。普段気に留めることのない友情や、親からの愛・思いやり、絆…。エールを送るつもりが、逆に勇気をもらい、たくさんのものに気づかされました。8人と8人を取り巻く人たちを通して、番組を見た人にも、いつの間にか忘れていたものを感じ取っていただければと思っています」

【番組概要】

第29回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『8人のサッカー部』(制作:テレビ長崎)
<放送日時>
2020年9月30日(水)26時50分~27時45分
<スタッフ>
ディレクター・構成・撮影・編集:松永悠作
撮影:大坪雄一、相葉幹夫、松尾健治、平野佑一郎
ナレーション:琴岡美紅
プロデューサー:佐藤博之、赤木健一郎
制作統括:大浦 勝

掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。