FNSドキュメンタリー大賞

FNSドキュメンタリー大賞

2019.9.30更新

大六野秀畝選手

大六野秀畝選手

第28回FNSドキュメンタリー大賞 ノミネート作品
苦闘 ~旭化成陸上部 マラソン代表への道~

11月8日(金)27時10分~28時05分

日本を代表するマラソンの強豪実業団が苦戦

2020年東京オリンピック・マラソン日本代表は誰になるのか…。
選ばれるためには2019年9月に開催される代表選考レース「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」の切符を手にすることが最低条件だった。続々とMGC出場選手が決定する中、数々のオリンピックランナーを輩出してきた名門・旭化成陸上部からは出場を決める選手がなかなか現れない。
番組では、期待される2人の選手を中心に長期取材。様々な想いを胸に、プライドをかけて挑戦する名門陸上部に密着した。

21世紀に入るまで「全日本実業団対抗駅伝大会(ニューイヤー駅伝)」で歴代最多21回の日本一に輝き、マラソンでも1976年「モントリオールオリンピック」から男女を通じて7大会連続でオリンピックに選手を送り込んできた名門陸上部「旭化成陸上部」。しかし2000年代に入り低迷。駅伝でもマラソンでも思うように結果が残せない時期が続いた。2015年、箱根を沸かせたスター選手が7人入部。すると2017年元日の「ニューイヤー駅伝」で、18年ぶりの日本一に返り咲いた。その勢いは止まらず2019年まで3連覇。駅伝では常勝軍団・旭化成の復活を見事に印象付けた。

しかし、名門陸上部に与えられた使命は駅伝だけではなかった。マラソンでオリンピックと世界大会を合わせて21人の日本代表選手を輩出してきたチームに求められた次なる命題は、2020年「東京オリンピック」のマラソンで代表選手を送り込むことだった。 そんな中、2020年に向けて日本長距離界も大いに盛り上がっていた。日本記録を突破した選手には1億円の褒賞金が出るという画期的な制度を作り、見事男子で2人の選手が突破。さらに3枠ある日本代表選手を選ぶシステムも大幅に変更。2017年度と2018年度の2シーズンで、あらかじめ設定されたタイムをクリアした選手がオリンピック選考レース「MGC」に出る権利を獲得。そして2019年9月に開催されるこの「MGC」で、上位2人が東京オリンピック代表になるという透明性の高いシステムに変更した。「MGC」の出場権を獲得した選手はMGCファイナリストと呼ばれ、国内の各実業団から男子では34人の選手が突破した(2019年4月末時点)。またもう1枠は、2019年度の主要3大会(MGCファイナルチャレンジ)で2時間5分49秒(日本記録より1秒短い記録)を切れば決定することも発表された(2019年5月発表)。
旭化成陸上部には伝説の双子ランナー、宗兄弟(宗茂、宗猛)をはじめ、児玉泰介、谷口浩美、森下広一など、世界に羽ばたいた多くのマラソン選手がいる。したがって陸上部には脈々と受け継がれてきたマラソン練習のノウハウが蓄積されており、陸上関係者は旭化成からMGCファイナリストが出ない日がくることなど誰も予想していなかった。しかし、2017年シーズンでも1人も記録を突破する選手が現れず、名門陸上部にも焦りが見え始めた。

村山謙太選手

村山謙太選手

番組では旭化成所属の多くのスター選手の中から、高いポテンシャルを持つ2人の選手に焦点を当てて密着した。
まずは、入社1年目に1万メートルで世界選手権代表に選出され、ハーフマラソンでも日本歴代5位の記録を持つ村山謙太。村山には同じチームに双子の弟がいる。その弟・紘太も1万メートルの日本記録保持者で、村山兄弟と言えば日本長距離界では知られた存在だ。しかし紘太は2020年に向けて、マラソンには挑戦しないと決めていた。村山兄弟の夢は2024年のパリオリンピックで揃ってマラソン日本代表になること。そのために、まずは兄の謙太が先陣を切ってMGCに挑戦を決めていた。謙太は2018年7月の海外レースで2時間9分50秒を記録し、チーム内ではMGC出場に一番近い選手だった。高いフィジカルを持ちながらも苦戦する村山選手の姿を取材していると、マラソンという競技の難しさを痛烈に感じた。誰にも分からないプレッシャーと苦しみを抱えながら練習を続け、42.195kmを走り続けていた。
2人目は2018年シーズンは絶好調で、トラックでは国内で敵なしの強さを見せていた大六野秀畝。大六野は2019年2月の「別府大分毎日マラソン」が、マラソン初挑戦だ。鮮烈なデビューを目指し練習に励むが、故障が悩まされる。果たして2人の挑戦は…?旭化成陸上部の悲願は…?
番組には日本陸上競技連盟の強化委員会マラソン強化戦略プロジェクトリーダーで宗兄弟とともに日本長距離界をリードしてきた伝説のランナー、瀬古利彦も出演する。旭化成陸上部マラソン復活への鍵についても話を聞く。

コメント

ディレクター・阿部祐也(テレビ宮崎 制作部)

「旭化成陸上部の取材を始めたのが2015年。元日の“ニューイヤー駅伝”で18年ぶりに日本一に返り咲いた2017年元日に、群馬県でフィニッシュテープを切る瞬間を取材できた喜びは今でも忘れられません。陸上部が本拠地を置く宮崎県延岡市は私の地元です。谷口浩美さんなど、世界の舞台で活躍する選手たちが街をジョギングする姿は日常でした。それがこの番組を作るきっかけだったのだろうと思います。瀬古さんがおっしゃっていました。“日本のマラソンがこれからさらに強くなるためには、今後旭化成から選手が出てこなきゃいけない”今回、周囲のプレッシャーもあり、本当に苦しみぬいた2年間だったと思います。だからこそ、再びマラソンで強い旭化成の歴史が始まる、そんな気がしてなりません」

番組概要

タイトル
第28回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『苦闘 ~旭化成陸上部 マラソン代表への道~』(制作:テレビ宮崎)
放送日時
11月8日(金)27時10分~28時05分
スタッフ
プロデューサー・
ディレクター
阿部祐也(テレビ宮崎)
構成
阿部祐也(テレビ宮崎)
ナレーター
真鍋敏(フリー)
撮影
西田博文(テレビ宮崎)
編集
西田博文(テレビ宮崎)
MA
清山慎(Miracle Works)

※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。