FNSドキュメンタリー大賞

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2019.8.28更新

チェーンソーアート

チェーンソーアート

第28回FNSドキュメンタリー大賞 ノミネート作品
木育のススメ 次世代に伝えたいこと

11月6日(水)26時50分~27時45分

間伐作業

間伐作業

佐賀県の中心街から車で約1時間の森林に囲まれた佐賀市富士町に「木育」に取り組む若者がいる。
豆田勇介さん、24歳。
「木育」とは木を使ったおもちゃを作り、森や木と人の関りを考え伝えて行こうというもの。
豆田さんは建築会社で働きながら、木育を行う熊本の団体に所属し活動している。その出会いは間伐材を使った、「チェーンソーアート」がきっかけだった。
豆田さんと「木」との間にある、かけがえのない家族の存在や「木」への思いを伝える。

「食育」という言葉が定着し、その他にも「読育」や「水育」といった「〇〇育」が提唱されている。そんな中「木育」をご存じだろうか。
「木育」とは2004年に北海道で提案されたもので、
「木」とふれあい
「木」から学び
「木」と生きる 取り組みである。

この「木育」を推進しようと活動している団体がある。木の教材を提供し「作ること」から森、木、人の関りを考え豊かな心を育んでいこうという「全国ものづくり塾」である。熊本を拠点に全国各地に足を運び「ものづくりはひとづくり」をテーマに「木」に関連するイベントや講座を開くボランティア団体である。
この団体に佐賀の若者が1人所属している。「木を使ったおもちゃで、子供たちに木の大切さを伝えて教えて行きたい…」と語る男性・豆田勇介さん、24歳。佐賀市の中心街から車で約1時間の森林に囲まれた佐賀市富士町出身。現在地元の建築会社で働いている。父親も林業関係の仕事をしていたことから、木は身近な存在であり、木と共に成長してきた。
以前、夏は農業、冬は林業という家庭が多く暮らしていたこの町。しかし高齢化や過疎化が進み、さらに木材の輸入化によって価格がピーク時の約4分の1に下がったことも拍車をかけ、林業の担い手が減っていった。山の地主は県外へ去り、荒れた山も多くなっていった。
森林を健全に保つために必要な事のひとつに「間伐」がある。この「間伐」をせず放置すると日光も当たらず下層の植物も消失。木自体も光合成が出来ず葉も枯れ落ち痩せていくため自然災害も起こる可能性も否めない。いわゆる「間引き」のようにして「間伐」し森林を整備することは、光合成を活発にし、大きく太く育つというサイクルを生み出す。「間伐」した木は、建築建材などとなり、その廃材は最近様々な燃料やガーデニングの材料などで利用されている。また、間伐した木材の枝は山にわざと残し、大雨による土砂崩れ防止になったり、年月掛けて微生物が食べることによって土にかえっていく。昔ながらの自然と人が共存する形が健全な姿であるためには「間伐」はとても大切なことであるが、意外とそのことを認識していない人たちも多い。
その間伐材を更に別なことに利用し人々の生活に役に立つこと、そして森林の大切さを認識してもらうことのきっかけにできないかと生まれたのが「チェーンソーアート」である。豆田さんは高校生の時この「チェーンソーアート」を披露していた男性を見て憧れを抱き、自分もやりたいとその男性に直談判し弟子入り。フクロウやサルなどの動物たちを試行錯誤しながら作っている。そして木と触れ合うことで、次第にそのありがたさや大切さを人に伝えたいという思いが湧いてきた。

木のイベント

木のイベント

そんな時「チェーンソーアート」のパフォーマンスをイベント内に取り入れていた「全国ものづくり塾」と出会い、次世代の子どもたちに「木育」を行いたいと活動することになった。豆田さんはこの団体との出会いによって、チェーンソーを使っていた父の姿を想い慕って林業への道を選び、自らがやりたかった「林業」とのかかわり方や自分がやるべき姿が改めて見えてきた。その背景には豆田さんがどうしても「林業」に携わりたかったある思いもある。それが兄の死である。

豆田さんの積極的な行動へと導くそこに、何があるのか。番組では豆田さんを中心に、取り巻く環境、活動を通じて「木育」の先に明るい未来があることを伝えたい。

コメント

ディレクター・前田智恵美(株式会社エスプロジェクト第2制作部)

「外国産木材の輸入自由化によって国産の価格が下がり林業の担い手が減りました。更に急斜面が多い山での間伐作業、そして集材作業のつらさは若者の林業離れにつながりました。そんな中、林業に携わっていた父親の姿に強い憧れを持ち、現在林業研修をしている豆田さん。その志の奥には豆田さんの4才違いの兄の死と、障害を持つ1才違い兄の存在があります。3人は子どもの頃から一緒に林業をしようと心に誓っていたそうです。今はその思いを1人だけ実現させています。チェーンソーという一歩間違えれば自分の体も傷つけてしまう危険な機械を扱い、山という自然の中に身を置き、彼自身常に“死”を意識しているそうです。そこまでしてでも木に触れていたい…木の魅力を伝えたいと“木育”活動の一環として“チェーンソーアート”と向き合う姿から、次世代に木の大切さを伝えたいと思います」

番組概要

タイトル
第28回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『木育のススメ 次世代に伝えたいこと』(制作:サガテレビ)
放送日時
11月6日(水)26時50分~27時45分
スタッフ
ナレーター
大益幸奈
撮影
  • 宮原佑輔
  • 田中義治
音声
  • 溝口勝秀
  • 川村英吾
編集・MA
林剛広
美術
七田志織
構成・ディレクター
前田智恵美
プロデューサー
田島輝彦

※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。