FNSドキュメンタリー大賞

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2019.10.5更新

笑って進むよ

高校卒業式での夢華さん

高校卒業式での夢華さん

第28回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
笑って進むよ

10月10日(木)26時15分~27時10分

病気と闘う18歳とその家族の4年間の日々

松尾夢華さん、18歳。
4年前、中学3年生の春に骨のがん「骨肉腫」を発症。腫瘍が見つかった左足を切断。抗がん剤治療をしながら、義足の生活。
そして再発…。幾度も襲ってくる試練。それでも現実を受け入れ、前を向いて必死に生きていく。
日本では現在、2人に1人がガンにかかる時代だといわれている。病気は誰にでも、いつふりかかってくるかも知れない。もしその状況になったときどうするか。夢華さんと家族の4年間の日々を追った。

10代に発症しやすい骨肉腫、骨のガン…
母親と夢華さん

母親と夢華さん

松尾夢華さん、18歳。
病気で左足を失い、義足で生活している。
夢華さんが暮らしているのは長崎市の北部・琴海地区。夢華さんは両親、姉2人、弟2人の7人家族。夢華さんは松尾家の三女として生まれた。病気になることもなくスクスクと成長。幼い頃から走ることが大好きな女の子。小中学校とバスケットボールで活躍。そんな日々がずっと続くと思っていた。

しかし4年前、バスケットボール部のキャプテンだった中学3年の春に、左足膝付近にガンが見つかった。病名は骨肉腫、骨のガンだ。10代に発症しやすく、日本で骨肉腫(小児)にかかる人は、1年間に150人ほどだと言われている(国立がん研究センター2019年6月)。
2015年9月、命を守るため左足の膝上から下を切断することになった。手術は15時間にも及んだ。足首には異常がなかったため、その足首を180度反転させて膝関節として代用する回転形成術という術式を選んだ。この術式は、自分の意識で膝を動かすことができるので義足で歩くときなどに安定するという。将来「義足で走りたい」との思いから…。
手術から1カ月。抗がん剤治療を直前に控えていた夢華さんの元にサプライズで病院にやってきたのは、中学校のクラスメイト。夢華さんを勇気づけるために合唱を披露。「うれしすぎて。みんなに会えないから…」と夢華さん。その後の抗がん剤治療。抗がん剤は正常な細胞にも影響を与えるため、吐き気やだるさ、脱毛、口内炎など様々な副作用がある。辛く孤独な闘いだ。夢華さんは、いつも全力で乗り越えていった。

2016年2月。夢華さん15歳の誕生日。中学校の先生たちや弟たちが病院に来てくれて夢華さんを祝福した。今までは当たり前のように家で迎えられていた誕生日。何気ない日々の尊さを改めて感じた。
夢華さんの目標は“高校受験に合格すること”“早く退院すること”“中学校を卒業すること”だ。
2016年3月、中学校卒業式。目標のひとつだった、仲間たちと一緒に卒業式を迎えることができた。自分の力で一歩一歩檀上へ…。
2016年の夏、待ちに待った退院。入院は13カ月に及んだ。高校生活をスタートさせたが、その年の12月、再びガンが見つかる。それでも、病気から決して目を背けることなく毎日を大切に前向きに生きる姿があった。

車いすバスケ

車いすバスケ

高校体育祭

高校体育祭

高校3年生になった夢華さん。自分らしく、できることは何でも挑戦してみたい。その気持ちから入院中は想像もしていなかった長崎県高等学校総合体育大会のボート競技に選手として出場。その後も小中学校時代のバスケットボールの経験をかわれ、車いすバスケの全国大会の長崎県代表にも選ばれた。家族や周りの人たちの後押しを受けながら…。
2019年3月、高校卒業。4月から新たな道へと期待を膨らませていた矢先、再びガンが見つかった。幾度も襲ってくる試練。なぜ自分に?娘に?それでも現実を受け入れ、前を向き、必死に生きていく。

日本では現在、2人に1人がガンにかかる時代だといわれている。病気は誰にでも、いつふりかかってくるかも知れない。もしその状況になったときどうするか。生きることの意味とは。
喜び、苦しみ、親子の葛藤…。夢華さんと家族の4年間の日々を追った。

コメント

ディレクター・角亮史(テレビ長崎制作部)

「松尾夢華さんとの出会いは1枚の写真からだった。抗がん剤で髪が抜けた夢華さんと弟たちが写った写真。病気の姉を勇気づけるため弟2人は、その写真をリュックに付け5日間かけて100キロを歩き抜くというイベントに参加していた。その写真に写る夢華さんの生き生きとした目、病気を感じさせない笑顔。その強さ、笑顔の原動力は何なのか。もっと知りたいとの思いから取材は始まった。
夢華さんのモットーは“全力で楽しむ”“全力を出す”“気力”“体力”“勇気”“笑顔”。それを実践している彼女の生き方は周りの人に勇気を与え、そして彼女自身も周りの人から勇気をもらっていた。取材を通して、私自身も勇気づけられた1人だ。
何度も襲ってくる試練。それでも前を向いて必死で生きていく姿。夢華さんは自分の生き方を通して“ガンの人たちに少しでも元気を与えられるようになりたい”と思っている。夢華さんのまっすぐな姿を見ていただければと思う」

番組概要

タイトル
第28回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『笑って進むよ』(制作:テレビ長崎)
放送日時
10月10日(木)26時15分~27時10分
スタッフ
ナレーター
西田尚美
撮影
  • 矢竹亮
  • 小濵良太
  • 槻木洋一
  • 東山恵亮
音声
中山利昭
編集
井上康裕
MA
濱田豊(東京サウンドプロダクション)
選曲効果
渡辺真衣(東京サウンドプロダクション)
タイトル・美術
山本竜彦
ディレクター・撮影・構成・編集
角亮史
プロデューサー
佐藤博之
制作統括
大浦勝

※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。