FNSドキュメンタリー大賞

FNSドキュメンタリー大賞

2018.9.27更新

再犯無き社会へ“余命4年”難病社長の闘い

北洋建設の社員に給料の一部として支給される弐千円札

北洋建設の社員に給料の一部として支給される弐千円札

第27回FNSドキュメンタリー大賞 ノミネート作品
弐千円札と元受刑者 余命4年 難病社長の夢

10月9日(火)26時15分~27時10分

札幌市東区の北洋建設。社長は“余命4年”と宣告された治療困難な難病と向き合う43歳。彼が新入社員を採用するため向かうのは「全国各地の刑務所」。北洋建設には現在、9人の元受刑者が働いています。社長の夢は再び罪を犯して刑務所に戻る人がいなくなる社会の実現。人生のタイムリミットが刻一刻と迫る中、元受刑者の支援に命をかける難病社長。入社した元受刑者に給料の一部として手渡す弐千円札にはある願いが込められていました。

刑務所に入る人の約6割が再犯者、つまり再び罪を犯して刑務所に戻ってきた人たち。この再犯率の上昇が今、日本で大きな課題となっており、国も再犯防止推進法を作るなどして対策に乗り出しています。番組では「罪を隠す」という日本で永年続いてきた元受刑者支援の精神とは真逆のアプローチで元受刑者を雇用し、支援を続ける札幌市の北洋建設の社長に密着。“余命4年”と宣告され命の期限と向き合いながら一人でも多くの再犯者を無くそうと奔走する彼の姿を通して元受刑者支援の理想と現実、そして今の社会の矛盾を浮き彫りにしていきます。

“余命4年”命が続く限り、人を諦めない。元受刑者も暮らせる社会に。

札幌市東区の北洋建設。社長は“余命4年”と宣告された治療困難な難病と向き合う43歳。北洋建設では45年前から刑務所を出所した元受刑者の雇用を続けています。北洋建設の社員60人の内、前科のある人17人、刑務所に服役していた人9人、このうち再犯で服役した人二人。これまで雇用した元受刑者は約500人。しかし、そのうちの9割が入社しても、途中で辞めてしまいます。残りのわずか1割の受刑者と出会うために、“難病社長”は全国各地の刑務所に向かいます。

しかし、出所を控えた受刑者の就職に向けた刑務所側の対応はそれぞれの施設でバラバラ。元受刑者を積極的に雇用したくても思うようにいかない現実がありました。こうした現状を打破しようと“難病社長”は法務相に直接、訴えることを決意。あの手この手で作戦に取り組み始めます。北洋建設には網走刑務所で採用した元受刑者が入社。しかし仕事は長続きせず、札幌を離れて行きました。繰り返される出会いと別れ。

一方、“難病社長”と出会った事で、考え方が、がらっと変わったという前科のある社員は結婚が決まり、新たな人生を歩み出しました。盛大に酒を飲み、絆を深める、それが創業時から続く北洋建設の社風。詐欺、窃盗、殺人未遂、死体遺棄…前科のある社員も前科のない社員もみんなで酒を飲みます。罪を隠さず、さらけだして生き抜く事で前科のある人も無い人もともに暮らせる社会をつくり、再犯を無くします。ここに“難病社長”が理想とする暮らしがありました。“余命4年”命が続く限り、人を諦めない。1割と出会うため、“難病社長”は再び旅に出ました。

番組では数々の人気ドラマを手掛けたプロデューサーの石井ふく子さんが冒頭とエンディングの語りを担当。92歳にして初のドキュメンタリー番組での語りにも注目です。

取材した北海道内の刑務所

取材した北海道内の刑務所

車椅子の男性:今回の番組の主人公 北洋建設社長

車椅子の男性:今回の番組の主人公 北洋建設社長

コメント

ディレクター・佐藤創(ユープロダクション)

「“感動しました。お会いしたいので会社に来てくれませんか?”去年、私が制作したニュース特集を見た小澤社長から、報道部に電話がありました。嬉しくて、翌週早速、どんな方かもよく分からずに、恐る恐る北洋建設に行くと、すでに歩くことも話すこともままならない小澤社長が、“私を取材してほしいんです”と真剣な表情でお話になりました。
あれから1年、豪放磊落な社長のそばで、さまざまな過去と犯罪歴を持つ、元受刑者や少年院退院者と出会いました。今回は元受刑者にスポットを当てていますが、実は、暴力団を辞めた人や児童相談所からの紹介でやってくる少年なども北洋建設にやってきます。余命宣告されている中、どうして、そこまで命をかけて人を救うのか、小澤社長に何度も聞き続けました。“当たり前のことをやっているだけ”と言われ続けましたが、先日“病気じゃなきゃ、正直やってなかった”と話され、涙が出そうになりました」

番組概要

タイトル
第27回FNSドキュメンタリー大賞 ノミネート作品
『弐千円札と元受刑者 余命4年 難病社長の夢』(制作:北海道文化放送)
放送日時
10月9日(火)26時15分~27時10分
スタッフ
プロデューサー
向田陽一(北海道文化放送)
ディレクター
佐藤創(ユープロダクション)
構成
井戸和也(北海道文化放送)
撮影
楠木大樹(ノーステレビスタッフ)
音声
高橋寛之(ノーステレビスタッフ)
編集
堀威(フリー)
ライン編集
佐々木塁(オーテック)
音効
引地康文(東京サウンド・プロダクション)
MA
大出典夫(東京サウンド・プロダクション)
CG
斉藤雄司(トップクリエーション)
タイトル
小泉真魚(トップクリエーション)
TK
青木志保子(ユープロダクション)
キャスティング
盛田光紀(フリー)
語り
石井ふく子(ドラマプロデューサー)
ナレーション
田辺桃菜(北海道文化放送)

※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。