FNSドキュメンタリー大賞

FNSドキュメンタリー大賞

2018.10.10更新

愛犬に介護が必要となった時、あなたは…

第27回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
ありがとうを伝えたい~老犬ホームで紡ぐ絆~

10月17日(水)27時~27時55分

家族同様の愛犬も高齢化ともに「介護」が必要です。最期まで一緒に生活したい…でも世話をしたくてもできない…。そんなさまざまな事情に応えている人がいます。唐津市「老犬ホーム ぱーとなー」を経営する中島達也さんです。ワンちゃんらしく幸せに生活を送ってほしいという思いで、その子に合ったお世話をしています。そこで紡がれる中島さんと飼い主そして犬との絆、それぞれの気持ちあふれる「ありがとう」を伝えます。

誰しも犬猫などのペットを飼い始めた時、この子が年を取ったらどうなるだろう…病気になったらどうするだろう…など、先々の事を考える人はあまりいません。むしろ、飼ってすぐはかわいいばかりで、年をとることすら頭にはありません。しかし、犬も猫も確実に年を取りますし、人間と同じように人の手を取らないと生活が困難になる状態になることもあります。「認知症」「てんかん」「下半身まひ」など…人間と同じような症状となった時、さて、あなたならどうするのでしょうか…今回のテーマはそこにあります。

佐賀県唐津市七山。自然豊かな場所に「老犬ホーム ぱーとなー」があります。ここは飼い主がワンちゃんを預ける施設です。この施設を2014年にオープンさせたのは中島達也さん(31)。中島さんは自分がワンちゃんを飼っていた時「犬って年取ったらどうなるんだろう…」という疑問がわき、そこから犬の現状を調べ「老犬ホーム」という言葉を知りました。当時、佐賀県では20匹もの小型犬を山やコンビニに捨てるという飼い主のモラルが問われるニュースも話題になりました。捨てる理由としては、病気になったからとか夜鳴きがひどくて近所迷惑…などさまざまです。犬猫は保護された後、殺処分の対象となることもあり、中島さんは人間の都合によって犬猫の命が奪われることが許せなかったといいます。「老犬ホーム ぱーとなー」には現在20匹以上のワンちゃんたちが暮らしています。元気なワンちゃんもいますが、ほとんどが認知症だったり、寝たきりだったりなど何か病気を抱えています。飼い主は決して育てることを放棄したわけではなく、最期までみてあげたいが飼い主自身が高齢だったり仕事の都合だったりで世話ができなくなるなど仕方なく預けているといいます。それでも面倒をみるべきではないかという葛藤から「罪悪感」を持っている人も。しかし、人間も介護をすることでお互いが共倒れになるより、介護システムを上手に利用することで、むしろ明るい家族関係が築くことができる場合もあります。「老犬ホーム」も同じことです。もちろん面会もできるし外泊などもできるので飼い主は会いたいときには会えるシステム。いつも心の中ではワンちゃんのことを考え、またワンちゃんたちも飼い主が会いに来てくれることを心待ちにしていると中島さんは言います。中島さんもワンちゃんたちが頑張って生きようとする姿から元気をもらっています。老犬ホームにはワンちゃんを中心に感謝があふれています。

番組の中には中島さんの1歳になる子供が登場します。中島さんたちは「動物好きな子」「人にも動物にも優しい子」に育ってほしいと願っています。単純な言葉に聞こえるが、実はとても大きな意味とペット社会にとって明るい未来が込められていると感じました。私たちが子供の頃、首輪のない犬が街にウロウロしていました。それが数十年後全くと言っていいほど見かけていません。動物に対するモラルが確立してきているのは事実ですが、「殺処分」という現実は消えません。やはりいまだに心のない自分勝手な「人」が存在しています。今の子どもたちが大人になる時には「殺処分」が死語となってくれることを願いつつ、中島さんの1日、現在預けている飼い主さんとワンちゃんたちのふれあいなどを通じてその思いを描きました。

ディレクター
前田智恵美(株式会社エスプロジェクト 第2制作部)

「ペット社会において、家族同様と思う人もいれば、ペットが病気や慣れてくれないなどの理由で平気で山に捨てたり保健所に連れて行ったりするする人がいます。最初はかわいいばかりで年を取っていくなど考えもしなかったのに、いざ手に負えなくなると“捨てる”という選択。これはモラルに反する行為です。しかし、寿命を全うするまで面倒をみたいけれどもどうしてもできないという人たちはいます。「老犬ホーム」はそういったペットを預かり世話をする施設です。ここは決して捨てられたワンちゃんたちではなく、飼い主とは深い絆で結ばれた上での施設です。経営者の中島達也さん(31)の献身的なお世話。頑張って生きているワンちゃん。時間があれば会いに来る飼い主の姿を描いています。ペットはしゃべることができませんし、飼い主を選ぶことはできません。人間の都合で左右される命をもう一度見つめなおしてほしいと思います」

番組概要

タイトル
第27回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『ありがとうを伝えたい・老犬ホームで紡ぐ絆』(制作:サガテレビ)
放送日時
10月17日(水)27時~27時55分
ナレーション
大益幸奈
スタッフ
撮影
宮原佑輔
音声
石隈晶彦・山口孝明
編集
徳渕正樹
MA
林剛広
美術
七田志織
構成・ディレクター
前田智恵美
プロデューサー
田島輝彦

※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。