FNSドキュメンタリー大賞

FNSドキュメンタリー大賞

2018.10.4更新

障がい者水泳で世界を目指す二人の女子高生

第27回FNSドキュメンタリー大賞 ノミネート作品
ふたりのほのか

10月10日(水)27時~27時55分

同じ愛媛の地で生まれ、幼い頃から水泳に打ち込んできた、新居浜東高校の岡部歩乃佳さんと南宇和高校の中道穂香さん。岡部さんは生まれつき右腕の肘から先が、中道さんは生まれつき右足がありません。二人は幼い頃からそれぞれ地元のスイミングクラブで練習を始め、小学6年生の時に出会いました。同じ名前、同じ年齢、同じ先天性の障がい。互いに運命を感じたという出会い以来、二人は切磋琢磨し競い合えるライバルになっていきます。そんな二人の夢は2020年の東京パラリンピックに出場することです。日本身体障がい者水泳連盟の育成選手として、全国のパラスイマーたちとも定期的に練習を重ねています。そして2017年、パラリンピックの登竜門とも言われるアジアユースパラ競技大会(UAE・ドバイ)に挑みました。

10万人に約1.5人の割合で生まれてくると言われる生まれつきの四肢欠損。岡部さんは先天性右前腕欠損、中道さんは先天性右下肢欠損です。この障がいを、二人は自分の個性のひとつと話します。日常では、意識して見ないと障がい者であることは分かりませんが、水着に着替えると、障がいの部位がはっきりと露出するため、初めて見たときは少なからず驚きがありました。しかし、それ以上に衝撃だったのは二人の泳ぎでした。浮力や推進力にハンデはあるにも関わらず、プルやキックのリズムをあわせて力強く泳ぐ姿は、まさにスイマーでアスリートです。幼い頃からの練習やトレーニングのたまものですが、それだけでは言い表せない泳ぎがあります。障がい者としての葛藤や戸惑い。記録が伸びない悔しさ。家族の支えや仲間たちとの出会い。それら全てが糧となって2人を成長させています。17歳の少女が水泳を通して見出した、自分らしい生き方を伝えます。

コメント

ディレクター・山下正博(テレビ愛媛 報道制作部)

「この番組で、初めて障がい者スポーツを取材しました。生まれつきの障がいがある岡部さんと中道さんにとって、自由に泳げる水の中は特別な場所です。二人が目指しているのは最高峰のパラリンピックで、出場するにはまだまだタイムは届いていません。本人たちも十分それは承知していて、0.01秒を争う過酷な世界で戦い続けています。取材を始めた頃は厳しい練習を見て“目標のためとは言え、どうしてここまで出来るのか”“水泳をやめたくならないのか”と感じることもありました。しかし取材を重ねる内に、少しずつ彼女たちの強さにふれることが出来ました。自身の障がいの受け止め方は異なる2人ですが、心の中に刻んでいるのは、同様のチャレンジ精神です。目標に挑み続けることで自分の存在価値を見出しています。それに気づいたとき、二人にとって水泳はもう切り離すことの出来ない人生の一部なのだと感じました。

東京パラリンピックの開催が決まってから、障がい者スポーツやパラアスリートへの注目度は高まっていて、選手らを取り巻く環境も以前では考えられないほど整ってきていると聞きました。今回取材した岡部さんと中道さんが、これからどんなパラスイマーに成長していくのか、今から楽しみでなりません」

番組概要

タイトル
第27回FNSドキュメンタリー大賞 ノミネート作品
『ふたりのほのか』(制作:テレビ愛媛)
放送日時
10月10日(水)27時~27時55分
スタッフ
プロデューサー
片上裕治
ディレクター
山下正博
撮影・編集
友近晶二
ナレーター
  • 正本健太
  • 橋本利恵

※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。