“何気なく繰り広げる華麗な鍵盤妙技...伝説のホロヴィッツでさえ嫉妬するだろう” -ロサンゼルス・タイムズ(2015年7月)-
自由奔放さ、鍛錬に裏付けされた若さ溢れる大胆な想像力、成熟したアーティストらしい精密さを兼ね備えた演奏で高く評価されている。特に完璧なコントロールと輝かしいテクニックは常に注目を集め、超絶技巧を要する作品においてその本質が発揮されるのはもちろんのこと、彼女の音楽性の深さ、新鮮な解釈と優雅さ、カリスマ的なステージ上での存在感が人々を魅了している。
2017-18シーズンもリサイタルやコンサート・シリーズ、世界を率いる指揮者やオーケストラとの長期ツアーなどで引く手あまた、シーズン開始前の夏には既にロンドン響のツアーソリストとして各地に招かれ、揺るぎない信頼関係を築いているマイケル・ティルソン=トーマスの指揮のもとブラームスのピアノ協奏曲第2番を演奏。その後、リオネル・ブランギエ指揮シカゴ響との共演でラヴィニア音楽祭への初登場や、ワレリー・ゲルギエフ指揮ミュンヘン・フィルとの共演、ヴェルビエ音楽祭でのシリーズ参加、サンクトペテルブルク・フィルとのドイツ・ツアーなどが続いた。シーズン開始後は、マーラー・チェンバーおよびヨーロッパ室内管という世界を代表する2つの室内管とのツアーで弾き振りや、ヤープ・ヴァン・ズヴェーデンのニューヨーク・フィル音楽監督就任記念ツアー、ヤニック・ネゼ=セガンのロッテルダム・フィル音楽監督として最後のツアーなど、音楽界が注目する重要なツアーでのソリストを務める予定。香港、マイアミ、ワシントンDC、プラハ、テルアビブ、ベルリンでなどにもソリストとして登場する。さらには、室内楽のパートナーとして度々共演を重ねているレオニダス・カヴァコスとのヨーロッパツアーを行う一方、春以降はニューヨーク、サンフランシスコ、ローマ、ウィーン、ベルリン、パリなどで膨大な数のソロ・リサイタルを開催。また、ドゥダメル&ロス・フィルとは、バルトークのピアノ協奏曲ツィクルス(全曲演奏)に取り組む予定である。
これまでに、クラウディオ・アバド、ダニエル・バレンボイム、グスターヴォ・ドゥダメル、アントニオ・パッパーノ、シャルル・ドュトワ、ズービン・メータ、パーヴォ・ヤルヴィなどの一流指揮者たちと共演を重ね、長きにわたり大きな信頼を獲得している。
録音も多く、デビューCDとして2009年春にリリースされた「ソナタ&エチュード集」は、“鮮やかなテクニックと生来の誌的な素質との融合”とグラモフォン誌で評され、クラシックFMグラモフォン・アワードの年間新人賞に輝いた。また、セカンド・アルバム「トランスフォーメーション」は2011年エコー・アワードの年間新人賞を受賞。さらには、アバド指揮マーラー・チェンバーとの「ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲、ピアノ協奏曲第2番」は、グラミー賞ベスト器楽奏者部門にノミネートされた。
2009年、ロレックスは彼女の功績と将来性を認め、文化アンバサダーに選出。現在もその役を任されている。また、ドイツ・グラモフォンは、今世紀最も注目せずにはいられない魅力あるアーティストと評しており、スタインウェイ社は既に2001年より彼女をサポートしている。一方、これまでのクラシック音楽家のイメージを覆す独自のファッションやスタイルも注目を集めており、2016年ジョルジオ・アルマーニが立ち上げた現代女性に焦点を当てるプロジェクト「Si Women’s Circle(Siと言える女性のサークル)」にも選出。クラシック音楽界に新しい旋風を巻き起こしている。
打楽器奏者の父と舞踊家の母のもと、北京に生まれる。幼少期に中国で音楽を学んだ後カナダで研鑽を積み、その後フィラデルフィアのカーティス音楽院でゲイリー・グラフマンに師事。2007年にマルタ・アルゲリッチの代役として共演したボストン響とのコンサートを機に世界中の注目を集め、その僅か2年後にドイツ・グラモフォンと専属契約を結んだ。
2017年には、バーンスタインやストラヴィンスキー、ホロヴィッツ、ラトルなど音楽史に残る演奏家へ毎年1名にだけ与えられる”Musical America”に選ばれている。