フジテレビ・梅津弥英子アナウンサーからのメッセージ
“朗読は読み手のものではなく、聞き手のもの”という事を、再確認!!
学校に泊まる!という高揚感に包まれていた宇都宮では、イスにじっと座ってなんかいられない!と言わんばかりのエネルギーに満ちた子どもたちが、目の前に並んでいました。
上映中やスクリーンを使った絵本の朗読中には、大きな声でリアクションを取ったり、派手に笑ったり。有り難いことに、こちらが盛り上げる必要は全くありませんでした。
そんな子どもたちが、ぴたーっと静まり返ったのが、『ひいふうやまの風の神』(作:斎藤隆介)を朗読していた時。この作品は、斎藤隆介ならではの世界観があり、長く、映像などは全く無い状態での朗読(要は、集中していなくては聞けないもの)でした。それでも、奥寺アナの朗読に吸い寄せられるように子どもたちは耳を傾け、子どもたちの聞く姿勢に奥寺アナも刺激されているようでした。
汗が吹き出る体育館の中で、保冷剤と水筒を抱えて参加してくれた久原の小学生たちは、顔を赤く染めながらも、集中して聞いてくれました。とはいえ、聞き手が静かだと今度は、(伝わっていなかったらどうしよう?)と気になってしまうのも、ライブの宿命。特に相手が小学生だと「飽きずに聞いてもらえているか?」と常に気になります。
ところが!
『ソメコとオニ』(作:斎藤隆介)という、オニと女の子の触れ合いをえがいた作品を朗読中、最後のオニの手紙のくだりで・・・子どもたちがクスクス笑ったのです!!
集中して聞けていなければ笑うことが出来ない"オチ"の部分。川端アナのオニの演技に、子どもたちもつい声を出してしまったようでした。そして、ウケた!となれば、そこはバラエティも百戦錬磨の川端先輩。その後、オニがグレードアップしたのは言うまでもありません(笑)
同じ読み手でも、聞き手の姿勢によって、読み方は変わるものです。年齢や人数の違いによる読み分けではなく、響き合う空気が、そこにはあるような気がしました。聞き手の子どもたちからの刺激を受けた先輩方の朗読を聞く事が出来て、また、その刺激を読み手として受けとる事が出来て、とても有意義な機会でした。
さて、私は改めて、息子に同じ作品を読んでみたいと思います。
どこでウケるかな?
文:梅津弥英子(フジテレビアナウンサー)