ニュースリリース
更新日:2026年5月12日
2026年5月度社長会見要旨(2026.05.12)
本日、株式会社フジ・メディア・ホールディングスおよび株式会社フジテレビジョンの取締役会において、FMHでは向こう5年の経営方針「グループビジョン」、フジテレビでは「新しい企業理念」、そして、両社で「2026年3月期通期決算」が承認されました。
これから、この1年の「改革アクションプラン」の成果を振り返った上で、それを踏まえて作成したFMHの「グループビジョン」、フジテレビの「新しい企業理念」、およびFMH連結ベースの「26年3月期決算」と「27年3月期の見通し」について、ご説明いたします。
なお、「グループビジョン」の数値目標と「27年3月期の見通し」は、現時点のものです。今後、都市開発・観光事業への外部資本導入が決定しましたら更新するとともに、投資計画を含むキャピタルアロケーションなどとあわせて、改めて発表する予定です。
「改革アクションプラン」の成果について
改革アクションプランは「ROE」や「自己資本」の目標など、資本収益性の向上を強く意識した内容であり、昨年5月以降、経営の指針としてきました。
中でも「事業構造の改革」と「資本の最適化」は、当初の計画より大幅に前倒して進めることができました。
「事業構造の改革」については、大きな経営判断を下し、この2月に「都市開発・観光事業への外部資本導入の検討開始」を決定しました。公表後、多数の事業会社やファンドから、様々なお問い合わせをいただいております。現在、その手法、時期、規模などについて当社グループの企業価値及び株主共同の利益の最大化の観点から、引き続き真摯に検討しています。開示すべき事項が発生した場合には、適切に開示してまいります。
そして「資本の最適化」では、達成すべきROEの目標を公表したうえで、「自己資本の圧縮」と「株主還元」の両方に資する、大規模な「自己株式取得」を実行しました。昨年11月に開始した取得と、今年2月の2,350億円を合わせて、およそ2,500億円取得し、消却も行ったことにより、前期末の連結の純資産を5,614億円まで圧縮し、効率化が実現しました。
また、人権・コンプライアンス体制の強化や、取締役会の改革などガバナンス体制の抜本的な見直しも公表し、着実に実行しました。
以上の通り、この1年は、従来の経営方針や体制を大幅に変更して、将来の在るべき姿に向けた幅広い改革を実行できたと考えております。新年度は、さらに改革を進めながら、FMHグループを早く成長の軌道に乗せるとともに、資本収益性を高め、ステークホルダーの皆様の期待に応えていくことを目指します。
FMH「グループビジョン」について
今回、新たに公表したポイントは、「2030年度のROEと営業利益の目標の引き上げ」、「成長投資の対象領域と投下金額、それによる増益目標の明確化」、そして「実行体制の強化」の3点です。
1点目の「2030年度のROEと営業利益の目標の引き上げ」は、ROE目標を「5%から6%」としていたものを「6%」と明確化し、メディア・コンテンツ事業の営業利益目標を、「300億円」から「350億円」に引き上げました。
さらに、2033年度のROE目標「8%」、メディア・コンテンツ事業の営業利益目標「450億円」も、公表いたしました。
2点目の「成長投資の対象領域と金額およびその利益目標の明確化」は、この目標を達成するのに必要な「増益の金額」と「投資の金額」について、成長を期待する領域ごとに分解して算定し、市場の成長性や当社の競争力を踏まえた戦略目標として設定しました。
IP・コンテンツ関連ビジネスのバリューチェーンを、川の「上流、中流、下流」に例えると、現在のメディア・コンテンツ事業は、おおむね「中流」に相当し、当社の現状の「強み」も主にその領域にあります。具体的な強みの1つ目は、番組発の劇場映画など、シリーズ展開で商品価値を増幅させる手法である「フランチャイズ型IP創出モデル」です。2つめは、当社での放送や配信を通じて「IPの価値を育成する独自のエコシステム」です。これは『めざましテレビ』のコーナー企画となって人気が爆発したキャラクターのように、IPを大きく育てることができる当社の「強み」を指しています。
こうした強みを生かし、「上流、中流、下流」の各領域で、重点的に強化する対象を特定し、増益目標の実現のための実行戦略に落とし込み、計画と成果の検証を繰り返していく方針です。
領域の一つ目は「IP開発・獲得」です。ここは「上流・川上」あたるところで、すべての収益の源泉となる強いIPを蓄積するための取り組みを進めます。
多様な事業展開を可能とする「オリジナルIP」を創出するためのパイプラインの増設、企画開発プロセスを加速するAIの導入、外部の有力IPとのパートナーシップの強化などを進めるために200億円を投じ、IPホルダーの立場として、向こう5年で50億円の利益の増加を目指します。
IPコンテンツの企画制作プロセスでは、従来は放送を前提にタイムテーブルに予算を配分していた投資判断基準を抜本的に変更します。今後は、「放送収入は投資回収の一部分」と捉え、バリューチェーン上の様々な収益全体でのROIにもとづき判断する「グリーンライトモデル」に切り替えることで、従来にない大規模なコンテンツ投資を可能にする体制構築を進めます。
二つ目は「制作・ディストリビューション強化」です。ここが「中流・川中」で、強みとなる制作力と、放送や配信のメディアパワー、販売力を強化することを目指します。
実写コンテンツでは大ヒットの確率が非常に高く成功している映画ビジネスをはじめとする制作ラインを増強のほか、アニメも事業拡大のため制作スタジオの機能強化や投資が必要です。また、グローバルは、現実的な拡大策として、国内でヒットした作品を迅速に海外展開できる体制を構築していきます。
こうしたコンテンツの供給力、商品力の強化によって、地上波テレビ放送と配信事業の発信力を高め、それがさらにコンテンツ価値の向上へつながっていく「循環」を生み出すことが大きな戦略目標となります。
そこで、番組コンテンツの制作費とは別枠で合計500億円を投じ、放送収入が落ち込んだ2025年度の実績からは、540億円の営業増益を目標とします。540億円のうち440億円は、地上波テレビ事業の増益で目指します。事案による落ち込みからの回復分を含みますが、さらに、IP開発の強化、制作力・番組の商品力の向上で増収を図ります。
三つ目は「IP多角展開」です。「下流・川下」は、ライブエンターテインメントやファンダム、グッズなど国内外で市場の高成長が見込まれる事業領域であり、当社にとってはコンテンツの活用の幅を拡張できる期待領域です。イベントやMD、ECは、フジテレビやニッポン放送、クオラス、ポニーキャニオンなどで成功例も多くありますが、より多角的なIP・コンテンツの活用と拡大が目指せると判断し、規模感のあるM&Aも視野に投資額800億円を想定し、70億円の利益増を目指します。
そして3点目は「実行体制」です。フジテレビは今後、有力なメディアを有する「コンテンツカンパニー」として、グループのIP・コンテンツビジネスを統括する中核企業としての役割を明確にします。事業領域ごとにグループから人と知見をフジテレビに集め、戦略を統括する責任者を置いて、グループ連携と機能の集約・増強を図ることで、市場での競争力を強めていきます。それと同時に、放送インフラ機能、放送用の設備などハードアセットをFMHに移管することを考えています。設備そのものはFMHが保有するようになれば、将来はグループ各社の設備投資や保守・運用もなるべく集約することで効率化を進められると考えています。
当社グループは、都市開発・観光事業のオフバランスが実行された後、メディア・コンテンツ事業とその周辺領域の新規事業で構成される事業構造へと移行していきます。資本を効率よく使いながら、「IP・コンテンツの商品力」と「メディアの発信力」が補強し合い、価値が循環することで、パートナーと共に利益を獲得していく、「メディアで強化されたコンテンツ企業の事業モデル」への転換を目指します。
フジテレビ「新しい企業理念」について
この理念は、1981年に対外的なキャッチフレーズとして掲げた「楽しくなければテレビじゃない」に代わるものではありません。私たちが「自らに掲げる誓い」、として位置づけているものです。
「自分たちが提供する価値は、本当に社会のためになっているのか」を絶えず確認し続けることこそが再生への道だと考え、自らを戒める問いである「Corporate Question」を起点に、日々の行動規範となる「Corporate Policy」、そして社会への貢献へとつながる未来の道筋を示す「Corporate Story」の三つの指針で構成される「理念」を策定いたしました。
検討の過程では、“楽しい”という言葉そのものを前提にしない形も含め、幅広く議論を重ねてまいりました。最終的に私たちが大切にすべきだと考えたのは、コンテンツに触れてくださる方の心を前向きにし、誰かの「好き」という感情を呼び起こすエネルギーとしての「楽しさ」という考え方です。詳細についてはお手元の資料をご参照いただければと思いますが、この理念を単なる宣言にとどめることなく、日々の判断と行動の軸とし、自らを厳しく律しながら、全社を挙げて歩みを進めてまいります。
「2026年3月期の実績」
メディア・コンテンツ事業では、フジテレビが、この第4四半期の放送収入において事案前の約9割と回復がいっそう明確となった上に、成長領域のコンテンツビジネスはデジタル、映画などが引き続き好調に推移し、下期トータルでは黒字に転じました。その他、著作権収入などが貢献したフジパシフィックミュージック、テレビ広告やイベント関連が好調なクオラス、構造改革を進めるdinosなどが前期比増益でした。ポニーキャニオンはアニメの評価損により一時的に営業損失となりましたが、今後の成長に期待しています。
また都市開発・観光事業は、サンケイビルの販売・売却で賃貸マンションやホテルの売却が好調で、トータルでは連結後、通期での売上高および各利益が過去最高となりました。観光のグランビスタは、インターゲートや鴨川シーワールドは引き続き好調に推移しましたが、銀座グランドホテルの昨年9月からの改装費用などが影響し、減益となりました。
この結果、通期の連結業績は主に第1四半期のフジテレビの事案の影響に伴う広告収入の減少により、減収営業損失となりましたが、回復基調がより確実になりつつあります。
「2027年3月期の見通し」
先程お話ししたように、都市開発・観光事業への外部資本導入を検討中であるため、現時点での業績見通しは同事業を含む形としております。
連結の売上高は6,257億円、営業利益は401億円と、対前期比で738億円の増収、488億円の営業増益を見込んでいます。セグメント別では、メディア・コンテンツ事業の売上高は4,067億円と前期比で559億円増収、営業利益は200億円と508億円の営業増益を見込むとともに、都市開発・観光事業の売上高2,099億円と165億円の増収、営業利益は251億円と27億円の減益を見込んでいます。メディア・コンテンツ事業は、フジテレビの放送収入の回復、デジタル、映画、アニメの成長、そして、ビーエスフジやディノスの業績改善などにより増収増益を見込んでいます。都市開発・観光事業は、例年通り期初は、やや保守的に見立てております。
フジテレビ 4月のスタートは好調
4月改編は、平日の朝から夕方までの14時間の生放送や、ゴールデンおよびプライムでの新番組の開始、そして既存番組のリニューアル等の大改編を行いました。
平日帯番組の『めざましテレビ』や『ノンストップ』での拡大した部分のコアターゲットが4月改編以降、上昇傾向にあります。
また土曜日は、『新しいカギ』『芸能人が本気で考えたドッキリGP』『土曜プレミアム』が好評です。直近では4週連続コアターゲットで3冠となりました。
改編から1か月のタイミングで、評価するにはまだ早いと思いますが、引き続き一つでも多くのヒットコンテンツを生み出していければと思っています。
放送収入は、タイムでは、ベースとなる4月改編で、広告主のニーズに応える戦略的営業により「めざましテレビ2部」や「月9ドラマ」などの比較的高単価なCM枠が完売したほか、大多数のCM枠をセールスしました。
スポットも、東京地区でのシェアを着実に回復しており、事案前と比べてそん色のない割合にまで回復しつつあります。4月は、東京エリアは前々年比100%に届かない中で、フジテレビは前々年比90%台中盤、5月も前々年比100%を目指せる状況となりました。東京エリアの出稿が、下期偏重な上にイラン情勢などもあり、やや慎重な動きを見せていることを踏まえながら、セールスを展開していきます。