ニュースリリース
2025年6月23日
株式会社フジテレビジョン
日本初!現行のテレビ放送で受信機ごとに個別のCMを提供
~アドレッサブルTV広告技術とフェイク広告対策技術の実証に成功~
株式会社フジテレビジョン(本社:東京都港区、代表取締役社長:清水賢治、以下「フジテレビ」)は、6月20日(金)28時45分放送の『Cutting Edge TV~Time Trip Series 日本の空撮絶景旅~』において、現行のテレビ放送で受信機ごとに個別のCMを届けられる「アドレッサブルTV広告技術」の実証に成功しました。
デジタル広告のように視聴者特性に合わせたCMを個別に届けられる「アドレッサブルTV広告」と呼ばれるテレビサービスは、米国の放送規格では「ダイナミックアドインサーション」、欧州の放送規格では「ターゲッテッドアドバタイジング」とも呼ばれ、大変注目されていますが、日本のテレビ放送で実現したのは初めての事例となります。
フジテレビでは、2016年11月15日(火)に『Oh!江戸東京名所図会』を放送し、マルチピリオドMPEG-DASHと呼ばれる方式により、放送番組を視聴中に番組ごとストリーミング配信に視聴遷移することで、配信番組として「アドレッサブルTV広告」を提供する実証を行いました(※1)。
今回の 『Cutting Edge TV』 では、番組は放送のまま、CM部分だけを受信機に合わせた個別のデジタル動画広告(※2)に差し替えられる点が最大の特徴となります。このほか、ネット品質が悪くてもCM画質への影響を抑えられる技術を盛り込んでいる点や、日本の放送規格(ISDB)にグローバルなデジタル広告規格の技術を取り込み、各放送局が既存の放送設備の追加・改修を伴わずにスモールスタートできる点なども特徴です。
一方で、ネット技術をベースとしたデジタル広告においては「フェイク広告」の課題も指摘されています(※3,4)。そこで、「アドレッサブルTV広告」で表示されるCMの広告主情報や考査情報を視聴者に明示し、その情報に暗号技術に基づく真正性を与えられる「フェイク動画広告対策技術」も併せて実現しました。これにより、従来の放送広告と同様に視聴者に安心して視聴していただくことができ、広告のブランドセーフティにも寄与できる大きな特徴も持ち合わせております。
フジテレビでは、(1)現在の放送広告に「アドレッサブルTV広告」という新たな選択肢を加える技術であること、(2)放送にグローバルなデジタル広告技術を融合させ、放送設備の追加・改修を伴わずにスモールスタート可能であること、(3)放送サービスとして従来のCMと同様に安心して視聴していただくことができ、広告のブランドセーフティに寄与できるフェイク広告対策技術も併せ持つことなどから、本技術を将来の有望な放送サービスの手法の一つと考えており、放送業界全体と協力しながら本技術の普及発展に向けた取り組みを進めてまいります。
<実証概要>
番組名称
『Cutting Edge TV~Time Trip Series 日本の空撮絶景旅~』
放送日時
2025年6月20日(金)28時45分~28時52分(2025年6月21日 (土) 4時45分~4時52分)
放送エリア
関東ローカル
番組内容
『Cutting Edge TV』は、フジテレビが開発する新しいテレビ技術をいち早くお届けし、テレビのイノベーションを加速させる番組です。
この番組内で、受信機ごとに個別のCMを届けられる「アドレッサブルTV広告」と、その広告主情報や考査情報を視聴者に明示し、これらに暗号技術に基づく真正性を持たせられる「フェイク動画広告対策」の技術を実現しました。
今回は受信機に設定された郵便番号にもとづいて、放送エリアの「東京23区西部・東京23区東部・多摩北部・多摩南部・その他東京都・埼玉県・神奈川県・群馬県・栃木県・茨城県」で異なるCM(自社CM)をお届けしました(※2)。
対象受信機
ネット結線された一部のハイブリッドキャスト対応受信機(※5)
技術ポイント
- 現行のテレビ放送で受信機ごとに個別のCMを届けられる「アドレッサブルTV広告」と呼ばれる広告高度化技術
- 従来の放送広告と同様に視聴者に安心して視聴していただくことができ、広告のブランドセーフティにも寄与できるフェイク動画広告対策技術
- アドサーバとの連携等、国際的なデジタル広告技術と整合する仕組み
- ネット品質が悪くてもCM画質への影響を抑えられる技術
- 新たな放送設備の追加・改修なく、各放送局がスモールスタートできる仕組み
技術詳細
兼六館出版 「放送技術」誌 (2025年7月号)に掲載予定

番組中にCMの時間になると、対応受信機では受信機ごとに個別のCMが表示され、終了すると放送に復帰

「アドレッサブルTV広告」を表示中に、その広告主情報や考査情報の真正性が暗号技術により検証されているCMであることを示すマークを画面右上に表示(簡易表示)。

「フェイク広告対策技術の表示① (簡易表示)」の表示中にリモコンの黄色ボタンが押されると、暗号技術により真正性が検証された広告主情報や考査情報を表示(概要表示)。

※1 フジテレビ:「地上波と同時4K配信で地域ごとにCM配信『Oh!江戸東京名所図会』」
https://www.fujitv.co.jp/company/news/161111.html
※2 本実証では、接続先のアドサーバに固有情報や表示結果を送信することなく、受信機に設定された郵便番号により受信機内に閉じた形でCM(自社CM)を決定し、出し分けを行いました。
※3 総務省:「SNS等におけるなりすまし型「偽広告」への対応に関する要請の実施」
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu02_02000411.html
※4 総務省:『デジタル広告の適正かつ効果的な配信に向けた広告主等向けガイダンス(案)』に関する意見募集の結果及びガイダンスの公表
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu02_02000442.html
※5 対応受信機であっても、ネット品質に適応して通常の放送CMを表示することがあります。