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2021年4月21日

株式会社フジテレビジョン

リモート収録での有効性とアイデアを評価
映像情報メディア学会技術振興賞コンテンツ技術賞を受賞
“『超逆境クイズバトル!!99人の壁』リモート収録システムの開発”

リモート収録システムを使った『99人の壁』番組画面 佐藤二朗
リモート収録システムを使った『99人の壁』番組画面
佐藤二朗

 4月21日(水)、一般社団法人・映像情報メディア学会の理事会が開かれ、フジテレビの“『超逆境クイズバトル!!99人の壁』リモート収録システムの開発”が、一般社団法人・映像情報メディア学会が主催する2020年度(第48回)技術振興賞・コンテンツ技術賞を受賞することが決定した。フジテレビがコンテンツ技術賞を受賞するのは3年連続となる。

 『超逆境クイズバトル!!99人の壁』(毎週(土)19時放送)は、1人のチャレンジャーが壁となった99人のブロッカーと早押しクイズなどで戦うクイズ番組で、毎回スタジオに100人を超える参加者を集めて収録を行っていた。コロナ禍により参加者をスタジオに集めての収録ができなくなったため、ブロッカーが自宅からリモート参加し、スタジオのチャレンジャーと早押しクイズ対決ができるシステムを開発した。
本システムは、スマートフォンを利用した「リモート早押しシステム」と100人を超える参加者に一斉に個別情報連絡を行う「参加者連絡システム」をAWS(Amazon Web Services:アマゾン ウェブ サービス)上に自社開発し、一般的なweb会議システムと組み合わせたものだ。

 通常の収録では、ブロッカーを25人ずつの4班に分け、スタジオセットの東西南北4方向に配置、挑戦者を取り囲む壁を構成して心的圧迫感をあおっている。この演出に近づけるため、web会議システム「Webex」(CiscoSystems社製)を採用、25面マルチを作成し東西南北4面の大型ビジョンに表示した。

 リモート早押しシステムはクラウド機能を利用しており、ブロッカーはそれぞれ個別に用意されたURLにアクセスするだけでスマホに早押しボタンが表示され、自宅のPCに映し出されたスタジオの映像を見ながらスマホで早押しクイズに参加する。また、各ブロッカーがボタンを押した時間はAWS上のサーバで集計され、早押しの判定が行われる。同時に最も早くボタンを押した参加者の情報、1位と2位以下のタイム差情報がスタジオのMC、スタッフの端末に送信される。1位とのタイム差が分かることで番組の演出範囲も広がった。

 リモート早押しシステムを運用するには、ゲストを含め100人を超える参加者全員に参加要項、クイズ参加用個別URL(早押しボタンやweb会議システムのルーム情報)等の情報を正確に伝える必要がある。参加者連絡システムは、従来は番組スタッフが一つ一つ手作業で参加者個人宛にメールをしていた情報を正確に一斉に送信するシステムで、これにより大幅な作業時間の削減と人為的な誤りの軽減を達成した。

 またリモート早押しシステムをスタジオセット内の電飾や音響と連動させる仕組みも開発し、コロナ禍における参加型番組収録に大きく貢献した。

 コロナ禍において各社がリモート収録を工夫して行う中で、新規開発技術と既存技術を有効に組み合わせ、番組の演出方法を守りつつ、リモート参加者による早押しクイズ番組の制作手法を約3カ月の短期間で確立した本システムの有効性とアイデアが高く評価され、今回の受賞となった。

『99人の壁』リモート収録システム・全体概要図
『99人の壁』リモート収録システム・全体概要図
『99人の壁』南の壁25面マルチ
『99人の壁』南の壁25面マルチ
リモート早押しスマホ画面
リモート早押しスマホ画面

◆コメント

プロジェクトマネージャー/リーダー 上田容一郎(フジテレビデジタルコンテンツ部)

「この試みはコロナ禍が始まった当時、制作者達が世の中の皆様と同じように不安な気持ちや苦悩を抱えながら生活している中で、“何か少しでもほんのわずかであっても視聴者の皆さまにエンターテインメントの力で希望を示せないか?明るい未来を感じてもらえないか?”と部署の垣根を越えて会社の仲間が一丸となって取り組んだ挑戦でした。今回いただいた名誉ある賞は僭越ながらフジテレビの仲間との記念碑とさせていただこうと思います。本当にありがとうございました」

◆映像情報メディア学会・技術振興賞 フジテレビ受賞歴(2018年度以降)