番組審議会
              
              
                第550回 番組審議会議事録 概要
                1.開催日時
                2025年9月10日(水) 正午より
                2.開催場所
                東京都港区台場2-4-8 フジテレビ本社
                3.出席者
                
                  - 委員長
- :
- 但木敬一
- 副委員長
- :
- 岡室美奈子
- 委員
- :
- 井上由美子、小山薫堂、最相葉月、齋藤孝、サヘル・ローズ、舞の海秀平、三浦瑠麗
- 局側
- :
- 清水社長、若生常務取締役、大野取締役、安田取締役、柳沢監査役、友岡常務執行役員、塚越常務執行役員、鈴木執行役員、大辻執行役員、藤井コンテンツ投資戦
 略局長、濱第2スタジオ局長、内ヶ崎第3スタジオ局長、川野報道局長、吉田コンプライアンス推進局長、渡邉広報局長、現王園社長室長
 番組関係者/松井報道番組部長、鹿嶋CP、成田企画・制作統括、鈴木編成担当
 番組審議室/出澤室長、額田統括担当部長、大橋主任、穂積特別アドバイザー
4.議事
                (1)番組審議
                  審議番組:『ザ!戦後80年の映像遺産SP 池上彰×加藤浩次の運命の転換点』(8月8日放送)
                  各委員からは、審議番組に関して以下のような意見が出された
                
                  - 戦後80年の記念となる、質量ともに充実した番組。戦争の悲惨さとともに、戦争に至る経緯、当時の空気感などを伝えているのは、良いバランスだった。
- 現在の社会は、ほとんどの人が太平洋戦争を知らない世代なので、こうした番組を制作する意義は大いにあったと思う。戦争・歴史・人間の心理等を知る入口として、特に若い人たちにぜひ見てほしい。
- 戦争を直接知る最後の世代の声を、今を生きる私たちに届けてくれたことは大きな意義。映像と証言が重なり合うことで、戦争は「過去の出来事」ではなく「今も続いている課題」なのだと突きつけられた。
- 時代の空気を作り出すのがメディアの使命。今回の番組のようなコンテンツこそがその種になるのではないか。
- 戦争の秘蔵映像を公開するだけでなく、『3時のあなた』や『小川宏ショー』など、戦後それぞれの時代の放送の中で、どう戦争の記憶、記録が伝えられてきたのかが、まざまざと分かった。
- 今回の資料映像に使われていた 『3時のあなた』 『スター千一夜』などが、骨太な内容の番組だったことを再認識した。今放送している番組が20年後に資料映像として使われるか、という意識で骨太な番組作りをすることもテレビの使命。
- 80年間メディアがどのように報じ、生き残った人々が何を言っていて、政治リーダーが何を語ったか、一人一人が抱えているものを聞く慣習、カメラを向ける局員も残っていることが今回の最大の価値ではないか。
- 戦争中の映像に加えて、戦後の貴重な映像が多数紹介されていたところが非常に見応えがあった。戦争が終わってからも苦しまれた方々の映像がほんとうに貴重で、その意味でもとても価値のある番組だった。
- 特攻隊や被爆地などの悲しい映像だけではなく、戦後それほど経っていない時代の若者のインタビューなどがあったのは今の若い人にとても伝わり、戦争を考えるきっかけになったのではないか。
- 戦後80年生きながらえてきた人間としては、この番組は心に沁みた。ずいぶん丹念にいろいろな番組の映像を集めて、80年を描いてくれたことにすごく感動した。
- 普段から放送局のアーカイブの使われ方に大変興味を持っているが、今回のアーカイブ映像の活用はほんとうに素晴らしい。すごい番組を見せていただいた。戦後80年で戦争関連番組がたくさんあったが、民放の中でいちばん心に残った。
- 戦争体験者が減っていく中、アーカイブ映像を駆使して過去の貴重な証言に光を当てるという企画はほんとうに貴重。継続的にやってほしい。教育にも活用できる番組だと思うので、アーカイブ映像をどう開いていくかということも考えてほしい。
- 放送すれば伝わっていると考えることは今までのテレビの驕り。「映像遺産」という言葉が使われていたが、それをほんとうに生かせる「映像遺産」と呼ぶに相応しい仕掛けを考えることまでが新しいテレビの使命。
- メディアにも芸能界にも政界にも戦争体験者がいた重みを非常に感じる。彼らの肉声を受け止めた私たちが、次に何を作っていくかというのは、とても大きな課題。
- 戦後80年という節目だけでなく、シリーズ化してほしい。当時の国際情勢や国内経済・政治など、感情論だけではない深掘りした番組を見てみたい。
- 我々に託されているのは、第二次世界大戦の解釈だけでなく、今起きている戦争についてどういう報じ方をするか、どういう語り方をするかということ。
- 玉音放送とともに宮城前で土下座する人々の写真・映像を使用することについては当時を知る作家やメディア史の研究者らから疑義が出ている。ちなみに8月15日の新聞記事は予定稿、宮城前土下座写真も終戦前に撮影されたものであることがわかっている。当時のメディアは統制下にあり、動画もいつ撮影されたか不明のまま、戦後のメディアは自明のものとして玉音放送とともに使ってきた。今後もドキュメンタリーを作っていくと思うが、その時にこれが適切であるかどうかを問うていただきたい。
- 日本が受けた「被害」に重点が置かれていて、「加害」の側面はあまり深く掘り下げられていなかった印象がある。戦争をどう伝えるかは難しいが、加害と被害の両方に向き合うことで、より多角的に歴史を見せられるのではないか。
- タイトルに「ザ」と「!」マークを付けたことは良かったのかどうか。エンタメ感が強くなり視聴した方もいたかもしれないが、深いコンセプトが届かなかった方もいたのでは。正解はないが、考えるきっかけにしてほしい。
これらの意見に対して、フジテレビ側からは以下の回答があった
                
                  - 証言者を捜し出してインタビューする今までの手法だけでは、記憶をつないでいくことが不可能に近い。いろいろな議論をする中で、フジテレビの素材を検索した。情報番組、報道番組が戦争にものすごく向き合ってきたという事実に衝撃を受け、番組にどう生かすかを考えた。
- フジテレビのアーカイブ映像に特化しただだけで、伝えることが手前味噌にならないかということには非常に気をつけた。各局でいろいろな取材や映像、本をお読みになっている池上彰さんと打ち合わせして、ある程度第三者の視点を入れることを意識した。
- 先人たちが残してくれた記録は、制作者が「後世に残したい」と思い、その思いを受け止めた人たちによって保管され、今回、我々が放送することできた。生き残った映像の価値を非常に感じた。
- 素材として登録されているものをアーカイブとして活用するには相当スキルが要る。どうやって幅広くアクセスして手に入れ、放送につなげ、保存していくかというところは、テレビ局に課された重要な使命だと番組を作って思った。しっかり考えていきたい。
- タイトルの「ザ!」は戦争番組に興味がない人にも見てもらいたいと真剣に考えベストだと思って付けたが、軽過ぎるのではないかというご意見は真摯に受け止め、テーマと番組のタイトルが相応しいのか不断の検討をしていきたい。
(2)フィードバック:
                  7月の審議番組『サン!シャイン』は、番組審議会の審議を受け、以下のように番組に反映したしたことを報告した
                
                  - 『サン!シャイン』を選ぶ決め手がもっとあると良いのでは。
 →自分たちの強みは取材力。他局にはできない粘り強い取材をもっと打ち出していきたい。
- 「シニアの人生を豊かにするために何が必要かという視点が必要」「若者よりもむしろ元気で、経済や社会に貪欲な高齢者像がある」
 →ステレオタイプのお年寄りではなく、「若い人たちの話やトレンドにちょっと首を突っ込みたくなるようなお年寄り」とか「ニュースに敏感でちょっとした情報では満足できないシニア層」といったことをイメージして、メッセージを発信することをより意識。
- 「手書きのボード、テロップ、QRコードが重なり見づらい」
 →視聴者からのご意見募集の画面やQRコード等いろいろ込み入ったもののデザインをシンプルに変更。QRコードはサイドの中に組み込み、イラストとCGが被らないよう改善。
(3)報告事項:
                  フジテレビから、以下について報告した
                
                  - 港浩一元社長と大多亮元専務に対する損害賠償訴訟提起について
- フジテレビの再生・改革に向けた取り組み7月以降の進捗について
- 10月改編について
以上