番組向上への取り組み

番組審議会

第549回 番組審議会議事録 概要

1.開催日時

2025年7月9日(水) 12時より

2.開催場所

東京都港区台場2-4-8 フジテレビ本社

3.出席者
  • 委員長
  • 但木敬一
  • 副委員長
  • 岡室美奈子
  • 委員
  • 井上由美子、小山薫堂、最相葉月、齋藤孝、サヘル・ローズ、三浦瑠麗
  • 局側
  • 清水社長、若生常務取締役、大野取締役、友岡常務執行役員、塚越常務執行役員、鈴木執行役員、大辻執行役員、藤井編成局長、渡邉報道局長、濱情報制作局長
    出澤秘書室長、坪田コンプライアンス推進室長、渋谷編成局次長統括
    番組関係者/内ヶ崎情報制作センター室長、池田CP、宮川総合演出、村尾編成担当
    事務局/番組審議室
4.議事

(1)番組審議
審議番組:『サン!シャイン』(6月18日放送)
各委員からは、審議番組に関して以下のような意見が出された

  • 丁寧に作られた情報番組で、生活の情報で役に立つことが多く、血糖値のコーナーなど視聴者に役立つことを伝えようとする意気込みをすごく感じた。
  • いくつかの話題を掘り下げる姿勢には好感を持ったが、『サン!シャイン』を選ぶ決め手がもっとあると良い。
  • 細かいコーナーが多いという印象があり、情報が拡散して、何を伝えたいのかがあいまいになっている。いろいろな取り組みによる多様な層へのアピールも必要だが、視聴者を信じ、絶対届くと信じてひとつに絞っていくことも重要。
  • 全体としては見やすくて有益な情報も豊富だったが、各コーナーがぶつ切りで、番組全体のリズムや流れが分かりにくく、乗りにくい印象を持った。
  • 8時14分始まりは中途半端に感じた。
  • 番組内容はやや既視感があったが、ターゲットをシニア層に絞り込んでいる工夫は随所にうかがうことができた。
  • 人口動態上も高齢者に的を絞るというのは合理的な選択。朝の時間帯に少し余裕のある高齢者が見たくなるようなものを作るのが正解。
  • テレビだとどうしてもシニアが興味のあるものを取り上げる方向に行きがちだが、シニアの人生を豊かにするために何が必要かという視点で番組を作ると、もっと特徴的なコンテンツになるのではないか。
  • シニアのイメージを、過去を振り返って安心したいおじいちゃん、おばあちゃん像ではなく、むしろ若者より元気で、現在の経済や社会の動きに貪欲な高齢者像にシフトする部分を作って攻めの番組作りをした方が、視聴者に改革を感じ取ってもらえ、支持を得られるのではないか。
  • 今の高齢者が何を求めているのか、かつての高齢者とは全然違う気もする。高齢者像を捉え直しても良い。
  • 手書きのボードや出演者の言葉つきの優しさから、ぬくもり感の重視はよく伝わった。ただ、ぬくもり感は出演者の発言などに宿るのであって、(手書きという)メソッドということではないのではないか。視聴者はラジオ的なものの復活を求めているのでは。パーソナルなメッセージが親密性を持って届くメディアであることが朝には必要。高齢者にとっては、ボード説明のように見にくいものよりも、言葉が立った番組作りにするのが優しいし、記憶に残る。
  • 北海道の開発の問題にフジテレビが切り込んで、かなりきちんと問題提起をしたのは面白い試みで、もしかしたらメディアが将来果たし得る大きな役割かなと思った。
  • 自分たちで取材してしっかりテーマを立て、他の番組と違うカラーを出していくのは大切なこと。「追跡」と言うのであれば、継続的に掘り下げていくことで番組の特徴にもなる。
  • ニュースのその後が見えてこないというのはよく日本で感じている問題点。だからこそ「追跡」はとても重要。
  • イラストを描きながら視聴者の声をライブでまとめる「KEYボード」は、手作り感、ライブ感があって良い。その場で人が手書きするのは意外と印象が強い。
  • 「教えてサン!ハチ先生」は賛否両論あるそうだが、とても素晴らしいコーナー。毎回1遍の短編エッセイを拝読したような味わいがある。
  • 「サン!八先生」は内容が濃く、しかも講談調で芸になって語れるというのは大変なこと。これだけのことができる人はなかなかいない。武田鉄矢さんが出演する意味はこのコーナーにあると感じた。
  • サン!八の講座はすごく計算され、かなり手が込んでいる。武田さんは本当に響く言葉をお持ちで秀逸なコメントをされる方なので、置き方、場の作り方が非常に大切。
  • テロップやQRコードが人や文字に重なり読みづらくなっていた。大事な情報を真っすぐ視聴者に届けるのもすごく大事。
  • 画面が文字で溢れていて、視覚障害を持っている方、ロービジョンの方には画面の中の情報や色合いによって、見やすいものが見えづらくなってしまう。

これらの意見に対して、フジテレビ側からは以下の回答があった

  • 新しいことが目的にならず、視聴者に受け入れられる新しい番組をどう作っていくか。日々の情報の信頼性は大前提だが、視聴習慣が重要なベルト番組ではその世界観もとても大事になってくる。新しい知見やスキル、様々な経験を活かしながら、より良い番組を作っていきたい。

(2)報告事項:「フジテレビの再生・改革に向けた取り組み」の6月以降の進捗
フジテレビから、以下について報告した

  • 被害女性Aさんへの謝罪及び誹謗中傷対策等に関する合意について
  • 6月25日に開催された「第84回フジ・メディア・ホールディングス定時株主総会」について
  • 7月10日に発足するフジテレビジョンの新体制について
  • 『検証 フジテレビ問題 ~反省と再生・改革~』について
  • 当社社員がオンラインカジノで賭けを行い、常習賭博容疑で逮捕された件について

委員から、『検証 フジテレビ問題 ~反省と再生・改革~』について、以下の意見があった

  • 基本的には第三者委員会の報告に沿いつつも、アジェンダありきではなく、中心的な事項である当該女性にそのような思いをさせてしまった判断、コンプライアンス・ガバナンスの不足というところと、セクハラや性差別的なまなざしの横行という風土を扱ったのは、王道で良かったのではないか。
  • 会社全体がいかに風土を変えていくのかという話が足りなかった。番組内で大きな取り組みの話はいろいろあったが、具体的な事案にどのように毅然と対応しているのか、もっと聞きたかった。
  • なぜ日枝氏が取材に応じなかったのか残念でならない。報道機関のトップでもあったわけだから、後進のためにも視聴者のためにも説明する責任があった。
  • 清水社長の「ハラスメント体質がある人が参加する企画はもう受け入れない。企画選定を厳格にする」という発言はとても強いメッセージ。これまでのタレント事務所、大物タレントとの共依存関係を断ち切るという宣言でもあり、伝わるところには刺さった言葉だったと思う。
  • 継続性が求められていると思うので、半年後か1年後に、継続的な改革を進めているというメッセージの番組を作るのも良いのでは。今回の検証を踏まえ、1年後、2年後、3年後とどのような改革を進めているかについての特別な検証番組を作ることによって、見方は変わってくるのではないか。

(3)その他の番組、放送全体に関するご意見ご質問
委員から、以下の発言があった

  • 今、世界で起きている争い、ヘイト、差別、内戦、それらは全て日本にも大きな影響を与えて行くと思う。世界各国での支援活動から日本に帰ってテレビをつけると、何も起きていないかのように日常が過ぎていて違和感がある。そもそも日本にはドキュメンタリーが少な過ぎる。「視聴者は求めない」とも聞くが、その判断は私たちにはできないし、視聴者を育てるのは作り手でもある。現実問題、蛇口をひねって水が出る、地雷が埋まっていない、教育を受けられる、女性が自由に発言できる、これら一つ一つは決して当たり前ではない。瞬間の数字を取り、瞬間で関心があるものを撮って終わりではなく、継続して物事を追いかけ根っこにある社会的なことに踏み込む、メディアにはそういう意味があった。社会の変革、声を奪われた人たち、存在がかき消されていく人たちの姿を伝えていく力をメディアは持っている。もう一度本当の力を発揮してほしい。

以上