番組向上への取り組み

番組審議会

第547回 番組審議会議事録 概要

1.開催日時

2025年5月14日(水) 12時より

2.開催場所

東京都港区台場2-4-8 フジテレビ本社ビル10階 大会議室

3.出席者
  • 委員長
  • 但木敬一
  • 副委員長
  • 岡室美奈子
  • 委員
  • 井上由美子、小山薫堂、最相葉月、齋藤孝、舞の海秀平、三浦瑠麗
  • 局側
  • 清水社長、大野取締役、安田取締役、塚越常務執行役員、鈴木執行役員、大辻執行役員、藤井編成局長、渡邉報道局長、濱情報制作局長、出澤秘書室長
    坪田コンプライアンス推進室長、渋谷編成局次長統括、佐野考査・放送倫理部長
    森本技術局電波担当、宮下情報企画開発部長
    番組関係者/臼井ドラマ・映画制作局長、牧野ドラマ制作センター室長、大木ドラマ制作部長、若松P、石原AP、長嶋編成担当
    事務局/番組審議室
4.議事

(1)番組審議
審議番組:『続・続・最後から二番目の恋 第1話』(4月14日放送)
各委員からは、審議番組に関して以下のような意見が出された

  • 続編ものでありながら、チャレンジしているところが3つある。
    ①放送枠が木10から月9に変わっても、続編として堂々とオリジナルのタッチを通したこと。
    ②還暦周辺の主人公たちに起こる出来事や心情を中心に置いたこと。
    ③俳優の出番と起用が、きちんと物語重視になっていること。
  • ニースの保養地に行ったような、心をほぐされるドラマでとても良い。
  • 若作りしたり、若い人におもねるのでもない、「この世代が60代になるとこんな感じになる」というドラマはとても良い。
  • 会社員が多い日本社会においては、還暦前後の世代にいろんなチャレンジがくる。仕事に熱中して生き方を考えないでやってきて惑っている世代に共感を呼ぶのでは。
  • 男女とも仕事やそこで得た仲間がらみの悩みや家族の悩みが混在する中で恋愛が起こるのは、とても平和でありながらリアル。
  • 初めて視聴したが、人間関係の基本設定が良く分からず、初めのうちは戸惑った。5話まで見続けた今は、とても楽しく見ている。
  • 同世代には非常に楽しんで見られるドラマだと感じたが、他の世代がこれをどう見ているのかは気になる。
  • 「母親が見ているので自分も見ている」という、お嬢さんからの視聴者意見があった。「テレビの前で待ち構えて見ている」という意見もあり、録画視聴していた人たちがリアルタイムで見たいと思えるドラマであることが非常に好ましい。
  • 長いシリーズを実年齢に近い設定で続けていくことは、「フジテレビもこの間ずっと続けてくれて良かった」たという、フジテレビの信頼にもつながっているのでは。
  • 鎌倉という町を丁寧に描いているので、町で暮らす生き方、食べることと話すことがセットで出てくる点が良い。「自分の町で食べながら話すことが人生だ」と見ていて、
    自分の生き方を思い返す良さがあると感じた。
  • 脚本家を中心に作られた世界観を壊さないキャスティングが丁寧で、テレビ局が作り手を大事にしていることが伝わってきた。このスタイルを大事にしていくと、フジテレビの信頼につながると感じた。
  • 俳優の実年齢と役柄の年齢が大体同じというところが良い。会話や出来事も視聴者が共感できるもの。役柄の職種が違うだけで、ドラマという遠い存在でなく、日ごろのありふれた悩みを描いていて、親近感を持って視聴者も見たのでは。
  • これからも続け、主人公が70代、80代になったところも見てみたい。
  • この作品を月9枠に持ってきたという挑戦に拍手。「月9」というブランドが出来上がったころの世代に向けた作品と考えると、大正解だったのかもしれない。
  • 若い世代には有名な俳優たちが親戚のおじさんやおばさんに重なって見えるようで、「人生の先輩たちも実は悩みながら生きているんだな」と、勇気をもらえる作品だと言っていた。
  • 今は逆風が吹き荒れるフジテレビのイメージ回復のきっかけになる良作。こういう作品を作り続けることで、信頼を取り戻していくしかない。
  • オリジナルキャストが揃って『続・続編』が作られたことが、心からうれしい。
  • 大人のドラマであることや、「人生を肯定する」というテーマが引き継がれており、老いや死に向き合いつつ、生きることに前向きになる展開に感動した。
  • 第1シリーズは「大人の孤独」が一つのテーマだったからか、詩情豊かだったと感じる。その後、日常生活に重心がシフトされて、画面に漂っていた詩情が若干薄れてしまった気もする。第3シリーズの演出も素晴らしいが、もう少し詩情豊かな場面も見たい。
  • 今後は孤独な老人が増え、「もう一度ホームを形成する時代」が来るのでは。そのような意味で、このドラマは、ホームの新しい時代の形を考えながら作っているのではないか。
    血のつながりや婚姻関係では、孤独な老齢期に未来がないので、「他人とホームを作ることができる」のはとても大切になる。
  • 最近は医者や弁護士など、特定のテーマにいろいろな局が競合してドラマを作っているが、このドラマは一味違うものを伝えようとしていて斬新に感じる。

これらの意見に対して、局からは以下の回答があった

  • 作品の初期設定の説明は非常に悩んだ部分。今回は冒頭から分かるような描き方はあえて控え、話の展開で見ていくうちに、だんだん関係性が分かってくるようにした。
  • 「若い世代に迎合する必要はない」というところから始まったドラマで、今回もターゲットは60代でありながら、若い世代に対しても「その世代の生き様」を見せることで、
    「大人でもこんなに苦労しているんだ」との学びにもなると考え、チャレンジした。
  • 現場は、「自分たちにできることは、良い作品を作って局の信頼を回復していくことしかない」という思いで作っている。
  • シリーズ過去作のアシスタントスタッフたちが、今作ではチーフとして引き継いで作っている。第一線から退いたベテランスタッフもこの作品のために現場に復帰するなど、技術や作品の世界観の継承がスタッフにもなされている。作品から人を育て、継承していくモデルケースとしてより強く意識できたことが、この作品のもう一つの意味だったと感じている。

(2)報告事項
1.「フジテレビの再生・改革に向けた取り組みの進捗状況」について、局から、4月30日に発表した「フジテレビの再生・改革に向けた8つの具体的強化策と進捗状況」を報告した。
これに対して、委員からは以下の意見があった

  • 具体的な改革案でとても安心した。先月のものに比べて、とても説得力のある良い案だと感じた。
  • 人権に関わるところはかなり完璧に近い形で、これが実際に運用されればかなりの理想的な改革ができるのではないかと思うが、ガバナンスの強化とは、経営理念の浸透を指すのか、クリエイターの意見をより集合していく新しい仕組みを考えているのか。

局からは以下の回答があった

  • 日々のガバナンスは、今回のような問題があるとコンプライアンス強化のような防衛的なものを中心になりがちだが、人的資本経営を経営の尺度として入れるよう、敢えてサステナビリティ経営委員会としている。
  • 人的資本経営にしっかりと会社として取り組むことが、組織の健全性、心理的安全性を高め、従業員のモチベーションアップや、クリエイティビティーの強化につながる。

委員からは以下の意見もあった

  • 「『楽しくなければテレビじゃない』からの脱却、原点に立ち返ります」では、どこへ行くのかがまだ分からない。放送・ネット融合の時代に「社会の公器」というだけで足りるのか。
    新たな価値観の創出を株主は問うてくる。

局からは以下の回答があった

  • 社会の公器として、人々の暮らしに意味をもたらすものを届けていきたいと考えている。企業理念の再定義における社員の対話と議論の中で言語化されると思っている。

2.フジテレビホームページで公表した、「『Live News イット!』キャスターに関するご報告」について、掲載内容を報告した。
3.フジテレビホームページで公表した、「一部週刊誌報道における当社社員が当時20歳未満の女性と飲酒したとの指摘」について、掲載内容を報告した。

以上