番組審議会
第544回 番組審議会議事録 概要
1.開催日時
2025年2月12日(水) 12時より
2.開催場所
東京都港区台場2-4-8 フジテレビ本社ビル10階 大会議室
3.出席者
- 委員長
- :
- 但木敬一
- 副委員長
- :
- 岡室美奈子
- 委員
- :
- 井上由美子、小山薫堂、最相葉月、齋藤孝、舞の海秀平、三浦瑠麗
- 局側
- :
- 遠藤副会長、清水社長、小林専務、金光取締役・FMH社長、大野執行役員情報制作局長、渡邉報道局長、坪田コンプライアンス推進室長
出澤秘書室長、渋谷編成局次長統括、佐野考査・放送倫理部長、森本技術局電波担当、宮下情報企画開発部長
事務局/番組審議室
4.議事
(1)開会/清水社長挨拶
フジテレビの信頼回復、この事案に関する説明責任をきっちり果たすこと、再生策を示してスタートすること。やるべきことを、スピード感を持ってやってまいります。
(2)報告事項
『フジテレビ出演タレントと女性とのトラブルを巡る一連の問題』
局から以下の報告があった
1.前回の番組審議会以降の弊社の対応について
- 1月17日、定例会見の前倒しとして社長会見を開催。クローズドな会見だったこと、質問への回答が不十分だったことから、厳しい批判を受けた。
- 1月23日、日弁連のガイドラインに基づく第三者委員会を設置。弊社と利害関係のない弁護士で構成され、調査報告書の提出時期は3月末とされている。
- 1月23日、社員説明会を開催。およそ全社員1200人中1100人が出席、時間は4時間半に及んだ。このタイミングで労働組合員が80人から500人超に。
- 1月27日、臨時取締役会が開催され、嘉納会長と港社長が辞任。フジ・メディア・ホールディングスの清水専務取締役の代表取締役社長就任が決まった。
- 1月27日、メディアを制限しないオープンな記者会見を開催。時間は10時間半近くに及ぶ。
- 現時点での業績への影響については、スポンサーのほとんどがCMをACに差し替え。弊社は料金の返却を決定。約233億円の減収見込み。
2.現在までに弊社が把握している本事案の概要について
- 2023年6月、当事者二人のセンシティブな問題と認識。限られた数名のみが知る極めて機密性の高い事案として、医師の判断仰ぎながら対応して行くことになる。2023年8月、社長に報告される。コンプアイアンス担当役員、コンプライアンス推進室担当者には知らされず。
- 中居氏の番組出演は、調査をもとに適切に判断されるべきだった。番組終了の機会があったにもかかわらず、『まつもtoなかい』は『だれかtoなかい』として継続され、社内での情報共有がなかったことから、他の単発番組への出演も続いた。
- 昨年末、一部週刊誌で、弊社社員Aの関与が報道される。社内調査の結果、当該食事会への関与が確認されなかったこと受け、12月27日、弊社はホームページで社員Aの関与を否定する旨をコメントした。
- 2025年1月の一部週刊誌で、2023年5月に中居氏宅で行われたバーベキュー、2021年冬に都内のホテルで行われた懇親会に関する報道があった。本事案との関係性については、第三者委員会の調査に委ねる。
3.副次的な影響について(ネット・SNS上で起きているアナウンサーをはじめとする弊社社員への誹謗中傷の現状と対策について)
4.再生への取り組みについて
- 社外取締役7名で構成される経営刷新小委員会が設置された。
- 次世代を担う社員を中心に、社長直轄の『再生・改革プロジェクト本部』を設置。ここに様々なワーキングを設けていく。現在は再発防止ワーキングを設置。2月末に出せる再発防止策を出していく。
これらの報告に対して委員からは以下のような意見があった
- 再生の三つ目の柱として「報道」は必要。報道機関である以上、報道という基準に沿った物事の扱いができなかった責任を問われる。
- 松本人志氏の事案があったので、さほど不自然ではなく『まつもtoなかい』を終わらせることは可能だった。それにも関わらず番組が存続された。そこの説明がすごく重要だったのではないか。女性保護のためということを隠れ蓑にしているような印象を受けてしまった。正直に語っていると思えるような説明が聞きたかった。
- テレビ局なのだから良い番組を視聴者に届けていくというが究極の目標。「未来は何か」というと、今の子どもたちと思っている。子どもたちが受け止めてくれる番組を真摯に作っていくしか再生はないだろうと感じている。十分反省し、未来を考えて打ち出す新しい番組を視聴者に届けることが償いになり、視聴者への謝罪となるのではないか。
- 大切な番組作りにも歯を食いしばって力を注いでほしい。柱になるのは、この状況だからこそ革新的なタイムテーブルを組むこと、そして持ち味を大切にすること。
- それを知り得た時点でコンプライアンス推進室に共有する。そしてそこで、中居氏本人に聞き取りを行う、これが一点目。二点目は、番組を継続しないで打ち切る判断をすべきだった。三点目は、週刊誌報道があった時に第三者委員会の立ち上げをセットでコメントした方が良かった。この三点をもし行っていたならば、ここまでの大批判にはならなかったのではないか。
- CM収入が減るが、制作会社にしわ寄せが行かないよう、フジテレビの体力を制作会社にできるだけ振り向けていただきたい。
- 多くなり過ぎているACの枠を積極的に活用していけないか。例えば、15秒で子どもたちが何か明るいメッセージを発する、表現をする時間に振り当てていくことで、次の世代の表現の場になっていく。テレビ局なのだからスピード感を持ってやって良い。
- テレビ局なので検証番組を作った方が良い。その際に重要なのが、表面的な内容ではなく、どれだけ古い価値観とか体質をあぶり出せるか。中途半端なことをやってしまうと逆効果。どれだけそこで、フジテレビが本当の体質改善に向き合おうとしているかが伝わらなければいけないので、若い方が作った方が良い。決して上層部がチェックすることなく、本当に膿を出し切るような番組を作るということ。
- フジテレビがどれだけこれを機に番組を変えていくかというのは大きな分岐点。これをきっかけに制作現場の人、一人一人が、テレビは社会で必要とされるためには何が必要なんだろう、これが何の役に立つんだろう、だれが喜んでくれるんだろうと改めて自問自答して番組を作り始めた時に、どこか少しでも変わるところが出てくるのではないか。
- 一言で申し上げると、全く時代錯誤だということ。
- 重大な問題だと考えずに、これはプライベートな問題だと考えたのは全然ランクが違う。今は人材が宝だという時代なんです。その宝の人材をPTSDに陥らせたことを問題としてちゃんと考えたのか。
- 一年半もの間、看板番組の看板スターとして使ったということについて、本当にフジテレビは自分でどれだけ反省しているのかというのが分からない。使い続けるという神経がおかしい。視聴者に対する裏切り。騙しで、非常におかしい。
- 聞いている人たちに納得感を得させるための努力はどれだけやったのか。それに対して、「あれは定例会見の前倒し」だとか、「カメラを撮っちゃ駄目よ」とか、「この中に入っていないグループは入っちゃ駄目」とか、そういうことしか考えない。どれだけの納得を得られる説明をできるかというのを考えるべき。当たり前のこと。何かおかしくないか。世の中の人に考え方を分かってもらうためにどうしたら良いかというのは二の次三の次になっていないか。
- 地方の系列局は今度のことで、ものすごい打撃を受けている。どうか系列局の状態についても是非一緒にお考えいただき、グループの長として系列局を支えていってほしい。
- 新しいフジテレビを作っていかなくてはいけなくて、それには若い人たちのイノベーティブな考え方、企画力、実行力がどうしても必要。若い人と一緒に刷新を作っていってもらいたい。フジテレビの人権は変わってきたと世の中で認めてもらうことが再生への第一歩。
これらの報告に対して委員からは以下のような意見があった
- 労働組合の組成人数が増えたということも社員の危機感の表れ。労働組合とはより濃厚な会話をしていきたい。
- 社内で発覚した時にどういう問題意識を持ったのか、コンプライアンス意識の不足、人権侵害の可能性に対する危機感の薄さというものが、当時その報告を受けた者の中にあったところが、今回の一番の問題点だと思っている。
- 報道の独立性は、報道機関である以上、当然持つべき機能です。傷ついてしまった信頼を、対外的にもより明確に表明していかなければなりません。
- 人権侵害の可能性がある事案という認識が極めて低かったと思っている。その時点で通常のコンプライアンス体制の事案でのルートで処理すべきだった。それが、人権侵害を許さないという方針を出している会社としてあるべき姿だった。中居氏側への対応を含めて、その認識がきちんとあれば、番組を継続することはなかったと思う。
- この数年、「フジテレビは傲慢だよ」という言葉を随分に聞くようになった。1980年代、90年代、番組が当たり、全能感みたいなものが芽生えてしまった。
- よくネットに、「フジテレビは外圧でしか変われない」と書かれているが、物の考え方を1980年代から2020年代にアップデートしなくてはいけない。
以上