番組審議会
第537回 番組審議会議事録概要
1.開催日時
2024年5月8日(水)正午より
2.開催場所
東京都港区台場2-4-8
3.出席者
- 委員長
- :
- 但木敬一
- 副委員長
- :
- 岡室美奈子
- 委員
- :
- 井上由美子、小山薫堂、最相葉月、齋藤孝、舞の海秀平、三浦瑠麗
- 局側
- :
- 遠藤副会長、港社長、大多専務、小林専務、金光取締役・FMH社長、渡邉報道局長、大野情報制作局長、立松編成制作局長、中嶋編成部長、坪田コンプライアンス推進室長、芹田考査・放送倫理部長、「週刊フジテレビ批評」担当・宮下、ドラマ・映画制作センター・臼井室長、若松部長、高田P、演出・田中、編成・長嶋、番組審議室・池貝室長、中本、赤間、正岡、大橋
4.議事
審議番組:『ブルーモーメント(初回)』(4月24日放送)
各委員からは、審議番組に関して以下のような意見が出された
- 天気・気象をテーマにしている点がとても良い。気象リテラシーや防災意識を高めるセリフも多く、今の時代にあって非常に意義のあるドラマ。
- 気象予報の難しさにある地味な現実をリアルに描くことによって視聴者の感情移入を促すことができるのでは。そのためには身近な気象に関するドラマをもっと描いてほしかった。あまりにもかっこ良過ぎるシーンばかりではなく、現場の人々の苦しみや葛藤がもっと入っていたら良かった。
- いわゆる天才性を見せつける派手な活躍のシーンがない分、エンタメ的に作りにくいかと思ったが、その分、主人公が計算などによって周りに影響を与え、自然と闘うことがこのドラマの一番の個性になっていて良い。
- 原作とドラマの幸せな関係とは、原作に対する愛情が大前提。その上で、ドラマに再構成された作品を原作者や関係者、特にファンに楽しんでもらうこと。決して原作通りにすることが正しいのではなく、見終わった後に原作を読み直してみたくなるドラマ作りが理想。
- 災害時の日本で中央指揮命令系統の機能不足が指摘され、コロナ禍でCDC(疾病対策センター)の必要性がうたわれたように、このドラマのSDM(特別災害対策本部)にリアリティーを感じる。
- ヒロインのキャラクターの上司に対する言葉遣いに非常識なところがあり、緊迫した場面で私情をはさむようなことも救援の最前線の現場ではあり得ないため、「やっぱりドラマだな」と冷めてしまう部分があった。
- 救助された側の人たちの物語が描かれていなかったのが少し物足りなかった。また、人は損得勘定なしの本能で救助することもあるので、そうしたプロではない一般の人たちの救助活動も見てみたい。
- マンガは、止めた時間の中で活字がバンと出るような仕掛けになっているので言葉のキレがあり、言葉が強くなる。そういう良さがこのドラマでも生きている。「奇跡は準備するもの」というキーフレーズが見ている側にもきちんと活字的に残った。
- 主人公が理想のチームを作り上げる過程で政治や予算に阻まれ苦悩するような壮大なスケールの物語を描き、政治や役人への皮肉を盛り込んでほしい。
- 災害と闘う天才気象研究官という設定は面白いが、失敗しない、何もかもうまくいくという物語だと薄っぺらく見えてしまうのではと危惧する。
- 自然が天才的な計算によって制御できてしまうという間違ったメッセージを伝えてしまう恐れがある。こうした生命に関わるドラマではあまり安易なハッピーエンドは避けた方が良いのではないか。
- Z世代をテレビに連れ戻すために、世界的にZ世代を引き付けている「日本のマンガ」という表現形式をドラマ化する冒険に取り組んだのはすごいこと。
- フジテレビが注力してこのドラマを進めていこうとしている気概を感じた。テーマも非常に画期的で冒険的なものなので、頑張ってもらいたい。
これらご意見に対して、フジテレビ側からは以下の発言があった
- このドラマの軸の一つが「チームビルディング」。物語序盤の仲間が加わる過程では「救助失敗」は描きにくかったが、後半では天才的な主人公をもってしても自然には勝てないということを描いていきたい。
- 原作との向き合いについては、何度も原作者と話し合い、原作と違う点に関してもその都度話をしている。良い関係で制作を進められていると思っている。
- 1~2話では主人公の生きる希望や知恵を与えてくれる人物像を強く描きたかった。自然相手だと薄っぺらく見えてしまうのも事実なので、今後の話で深く掘り下げていきたい。
5.報告事項
- 次回第538回は、6月12日(水)の予定
- 審議番組は『Live News イット!』6月3日(月)15:45~19:00放送
以上