番組向上への取り組み

番組審議会

第534回 番組審議会議事録概要

1.開催日時

2024年2月14日(水)正午より

2.開催場所

東京都港区台場2-4-8

3.出席者
  • 委員長
  • 但木敬一
  • 副委員長
  • 岡室美奈子
  • 委員
  • 井上由美子、小山薫堂、最相葉月、齋藤孝(リポート出席)、舞の海秀平、三浦瑠麗
  • 局側
  • 遠藤副会長、港社長、大多専務、小林専務、金光取締役・FMH社長、渡邉報道局長、大野情報制作局長、立松編成制作局長、中嶋編成部長、坪田コンプライアンス推進室長、芹田考査・放送倫理部長、ドラマ・映画制作センター・臼井室長、若松部長、松山 演出担当、草ヶ谷 編成プロデュース担当、番組審議室・池貝室長、中本部長、赤間、正岡、大橋
4.議事

審議番組:『君が心をくれたから』(1月8日放送)
各委員からは、以下のような意見が出された

  • 「月曜から暗い気分になる」との意見もあるが、強いメッセージに励まされている視聴者もいるはず
  • 主人公のセリフが恥ずかしく思えることもあるが、若い頃の純粋な気持ちを思い出した
  • 九州の言葉はとても味があるので、セリフが長崎弁だったら視聴者はどう感じたのか知りたかった
  • ドラマの舞台をなぜ長崎にしたいのか知りたい。ロマンチックな街並みという以外に、長崎が砂糖伝来の地だからパティシエを誕生させるのにふさわしい等、深い理由はあるのか。観光地だけでなく日常の長崎の街をもっと活用して2人の軌跡を描けるのでは
  • 主人公が信号機の色を間違えて事故に遭うシーンについては、障害を物語のために利用している印象を受けるのでこういう使い方ではない方が良い
  • NHKの大河ドラマのように、月9も地域活性化やエールを送ることにつながる。その地で物語を展開するための深いベースがあると良い
  • 民放各局のドラマ看板枠にはそれぞれ特徴がある。月9の「ラブストーリー」は視聴者に明確に印象づけられている。これまで月9が築いてきた歴史と成果を守ってほしい
  • 時間軸の行き来が多く、シーンに引き込まれる前に時空が変わってしまう。短い時間で現在と過去が切り替わるので、よほど集中しないと大事なシーンか分からなくなる。「ここはドラマの肝」という部分は分かりやすく大事に見せた方がハマれる
  • 非常に若々しく、ファンタジックな恋愛ストーリー。ラブ・愛ではなく恋の物語は見ていてとても良い
  • 目が見えない空間で他の感覚が研ぎ澄まされる経験を体感するエンターテインメント、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」が娯楽として求められているのも、何らかの感覚を確かめ直すプロセスなのではないか
  • フラッシュバックの描き方が即物的だった。もう少しリアルでも良かったのでは
  • 期待が高まるキャスティング、長崎のきれいな風景が楽しめる。景色はドラマの重要な要素なので、画面が魅力的で良い
  • 五体満足であることが幸福だという価値観が前提になっているようで、違和感を覚えた。五感を失うことを自己犠牲による悲劇や不幸として描くことで、固定観念を助長してしまうのではないかと危惧している。ファンタジーとして捉えられる献身の描き方など工夫の余地があったのでは
  • ドラマ全体として泣かせよう泣かせようとしているように見えてしまって残念。泣かせることだけで評価されるのはもったいない
  • ドラマとは視聴者の固定観念や、つまらない価値観を更新してくれるもの。五感を失うことが不幸でかわいそうというネガティブな展開ではなく、主人公がいかにそれを受け入れながらポジティブになっていくかをしっかり描いてほしい。今後の展開に期待する
  • 障害があったり、すべての感覚が万全ではない人も多い。このテーマをドラマで扱うのは難しい。あまり同情的に描きすぎると、障害を持っている人は「そうではない」という意見にもなる。これからどう展開させるかが難しい
  • 普段テレビを見ない若者がこうした番組に触れる機会を与えてもらいたい。有効なマーケティングや他社の成功例などを研究してほしい

これらご意見に対して、フジテレビ側からは以下の発言があった

  • 月曜日から重いテーマだとの声が多くあるが、ドラマで描きたかったのは、何かを失う話ではなく、五感を失うことをきっかけに、自分に自信が持てなかった主人公の女性が生きる希望や、今まで見えなかった様々な愛を獲得していくという物語。主人公を通して、今まで見えなかった愛や、日々感じている景色や匂い、味、音、人の温もりが当たり前ではなく素晴らしいことだということを視聴者に感じてほしい
  • 長崎県を舞台に設定した理由は、長崎の物語や長崎に生きる人々を描きたかったということよりも、ファンタジー要素があるこのドラマの世界観を作る上で、長崎が持っているノスタルジックさや異国情緒感の景観が必要だった
  • 主人公の男性が事故に遭うシーンについては、多くのご意見をいただいた。配慮の足りない描写だったと反省している
  • 五感を一つずつ差し出すことによって、無償の愛や生きていく価値をもらう。無償で差し出すことによって相互性の生きていく目的を感じていくところがこのドラマの根幹であり、一番描きたかったこと
5.その他の番組、放送に対するご意見

委員からは以下の意見があった

  • 『セクシー田中さん』の原作者が亡くなられた件は重大。原作のドラマ化はどのテレビ局でも行っている。フジテレビにおいても、過去の検証と対策に真剣に取り組んでほしい
  • SNS慣れしていないタレントや作家が炎上に巻き込まれた時に非常に大きなショックを受けるだろうことは十分予想できる。今はそういう個人に対するリスクが常に存在する時代であることを留意してほしい

これらご意見に対して、フジテレビ側からは以下の発言があった

  • 制作としては非常にリスペクトを持って丁寧に台本作りをしているが、誤解やボタンの掛け違いが起きる場合もあるので、改めて各プロデューサーと検証し、不幸な事態が起きないよう細心の注意を払っていく
6.連絡事項
  • 次回第535回は、2024年3月13日(水)の予定
  • 審議番組は「Live News α」(2月22日放送)と「News αプラス」(2月24日放送)

以上