番組審議会

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第519回 番組審議会議事録概要

1.開催日時

2022年7月13日(水)正午より

2.開催場所

東京都港区台場2-4-8

3.出席者

  • 委員長
  • 但木敬一
  • 副委員長
  • 岡室美奈子
  • 委員
  • 井上由美子、小山薫堂、最相葉月、齋藤孝、三浦瑠麗
  • 局側
  • 遠藤副会長、港社長、大多専務、小川専務、小林専務、石原取締役秘書室長、金光取締役・FMH社長、加納執行役員報道局長、大野情報制作局長、立松編成制作局長、中村編成部長、坪田コンプライアンス推進室長、芹田考査・放送倫理部長、森本電波担当、「週刊フジテレビ批評」・成田、編成部・渡辺、ドラマ・映画制作部・江花、共同テレビ・栗原プロデューサー、池貝番組審議室長、中本番組審議室部長、番組審議室・大橋

4.議題

審議番組:『テッパチ!』

各委員からは、審議番組に関して以下のような意見が出された

  • 自衛隊がセーフティネット的な場所だと描かれている。単なる青春ドラマではなく若者が抱える影や闇を描いてくれることを期待
  • 個性がうたわれた世代と、協調性を尊重する自衛隊との化学反応に期待する
  • ウクライナ侵攻があり、日本人にも他人事でないという危機感がある中で、自衛隊の使命感がわかりやすく伝えられていて、現代の日本にとって大きな意味がある
  • 最近の大学生はおとなしくなってきていて、90年代のような暴れん坊は少ない。自己の内面が繊細な登場人物が自衛隊で使命感を持って成長してくれると良い
  • かっこよすぎる出演者が多いが故に、シャワーシーンはサービス的な意図・企みが見えて嫌悪感として捉えられるのでは
  • 自衛隊という設定のため、視聴者はリアリティーを求める。あら探しを解消するためには徹底的なリアリティーを追求するか、ウソでも許せる圧倒的面白さが必要だが、今のところどちらでもない
  • 若いキャストを思い切って起用し、「水10」の枠を若い視聴者に定着させよう、愛される番組を作ろうという意気込みを感じる
  • 成功した群像劇作品の共通点は主人公の脇の人たちに感情移入できるかどうか。この作品は思い切って多くの登場人物に光を当てているところが良い
  • このドラマの成功のカギは一般兵卒に光を当てていること。自衛隊に共感するということが違和感なく描かれるのは革新的
  • 女性上官の描き方がOL的で浅い。女性はかわいらしく、おとなしく、たおやかな方が良いという理想を押しつけているのでは
  • 番組公式HPは新しさが感じられず、既視感しかなくて驚いた。自衛隊全面協力とは言え、戦車を見せるだけでなく災害支援など生活に直結した面も見せてほしい
  • わざわざスローモーションで見せたシャワーシーンに引いた。人気絶頂のスター俳優の上半身の裸を見せればファンは喜ぶと思ったのなら感覚が古い。制作者の感覚がアップデートされていないという印象を与えたのではと危惧する
  • 自分の国が攻められた時にどうするのか、一人一人考えなくてはならない時代に入っていきそうで、その世界を展開しようというのは客観的にすごい試み
  • 刑事ものや医療もののように1件1件解決するものは作りやすいが、今回は戦争で終結するわけにはいかない。自衛隊のリアルな青年たちを描くストーリーに期待している。自衛隊の位置づけ、我々はどう向き合うべきか最後まで追求してほしい

フジテレビ側からは以下の発言があった

  • この企画はウクライナ侵攻より前に決まり、自衛隊という特殊な世界を舞台にする、ひとつの職業ものとしてスタートした。防衛省の全面協力を得ているが、戦争色は濃く描かず、自衛官候補生の内面、悩みや葛藤を描くところに注力している
  • 陸上自衛隊を扱うこと自体が新しいので、あえて物語はベタな王道の展開を目指したが、新しい部分とバランスを取りながら作っていきたい。登場人物それぞれに感情移入しながら成長を見守ってもらいたい
  • 撮影現場には現役自衛官に立ち会ってもらい、指導してもらっているが、今後なお一層細かい部分まで力を入れたい。訓練の時間が不足しているのが映像に表れているので、所作指導に関して練習時間を作っていきたい
  • シャワーシーンについては視聴者からも現場からも「必要なのか」という声が上がっているので、こうした声に耳を傾けながら細かく調整していきたい
  • 最後までやり切れというお言葉をいただいたので、頑張ってやっていきたい
  • 1話完結型ではないので、1人1人の成長に焦点を当て、女性自衛官のあり方も描き、幅広いテーマを扱っている

5.その他の番組、放送に対するご意見

安倍元首相銃撃事件に関連して委員から以下の意見があった

  • 単独犯なのか組織的犯行なのか不明な段階で安倍元首相の自宅前からの生中継はリスクがあるのでは。これをきっかけに考えてほしい
  • ドラマでさえ残酷な場面を避けようという時代に、本物の殺人場面を繰り返し放送して活力を奪うようなダメージを視聴者に与えるのはいかがなものか
  • 視聴者映像の使い方も検証し、テレビには品位を持った節度ある放送を心がけてほしい
  • 地面に横たわっているような尊厳を奪う映像は使う必要がなかったのではないか。使用判断はどのようにしているのか

フジテレビ側からは以下の発言があった

  • 事件の原因、容疑者の動機について決め打ち的なことはしないよう慎重な報道を心がけている。特定の方向への誘導はもってのほかだと考えている。一方で宗教団体については丁寧に説明・報道している
  • 自宅前中継について問題提起をいただいたので、今後想像力を働かせながら考える必要がある
  • 映像を繰り返し使うことについては検証のために必要な場合もあったが、時間が経過し、抑制的に使用している。いつから、どう制御するかはその都度議論しながら判断している
  • 視聴者映像は意味合いと重要性を鑑み、品位と信頼性にもつながるので考慮しながら使っていきたい
  • 歴史に残る重大事件として伝えるべき役割があった。その時の状況を表しているか、ふさわしいかどうか、次々と情報が入ってくる中で判断しながら放送した

委員から以下の意見があった

  • 報道、審議会、そして国民の立場によって意見が異なるのは当然。今後同様の事件が起きた場合、番組審議会から意見が出たと踏まえて報道していただきたい。意見を参考に報道のあり方を決めていただきたい。立場が埋まらない方が民主主義的なのかもしれない

6.連絡事項

  • 次回第520回は、9月14日(水)の予定(8月は休会)

以上。