番組審議会

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第518回 番組審議会議事録概要

1.開催日時

2022年6月8日(水)正午より

2.開催場所

東京都港区台場2-4-8

3.出席者

  • 委員長
  • 但木敬一
  • 副委員長
  • 岡室美奈子
  • 委員
  • 小山薫堂、井上由美子、最相葉月、三浦瑠麗、齋藤孝、舞の海秀平
  • 局側
  • 遠藤副会長、金光社長、小川専務、清水常務、小林常務、石原取締役秘書室長、矢延取締役編成制作局長、加納執行役員報道局長、大野情報制作局長、中村編成部長、坪田コンテンツ・コンプライアンス室長、芹田考査・放送倫理部長、森本電波担当、西村「週刊フジテレビ批評」担当、制作センター・立松局次長、第二制作部・濵野企画担当、赤池CP、木月P、戸渡局次長職、編成部・浅野、穂積番組審議室長、中本番組審議室部長、番組審議室・大橋

4.議題

審議番組:『あしたの内村!!』

各委員からは、審議番組に関して以下のような意見が出された

  • 「明日○○になったら」という番組コンセプトと内村さんのキャラクターはとても良いが、回によってコンセプトが固まっていないように感じる
  • キーワードは「没入」だが、当事者にカメラを装着してその人の目線で見るのか、あるいはその人物にどこまで深く入るのかわかりにくい。結局、この番組が一番やりたかったのはディテールなのではないか
  • 総評としては軸、中心がない。内村さんの冠番組だが内村さんが軸になっていない。この番組が何をやろうとしているのかよくわからない
  • 一つの番組にいろいろ押し込められて、まるでごった煮のよう。「制約の自由」を課して、改めて「明日○○になったら」をもう一度考えてもらいたい
  • 「没入」の概念がわかりにくい。取材対象者にカメラをつけて当人視線なら没入なのか。通しで深い概念として使うとキーワードになるのでは
  • コンセプトが「○○になったら」という他人の人生没入型のぞき見だとすれば、他人の人生に入っていくというコンセプトに絞り込む「制約」をかければ見やすいのではないか
  • ボーッとしながら、作業をしながら見ていられる。学びたい視聴者のためになる番組
  • 歌舞伎役者の稽古を見て現役時代の稽古を思い出した。格闘技くらい身体を鍛えないと重い衣装を着て動けないものだと感心した
  • いきなりメインディッシュがどんどん出されるような唐突感があり、視聴率狙いの焦りに見える
  • 「没入」というフレーズを繰り返し使うのは、流行らせたいという制作者側の企みを感じてしまう。目新しさがなく、言葉で終わっている
  • 焦りと企みを捨てて、誰も見たことのないテーマに挑むべき
  • 出演者が気負いなく、20時台のバラエティとしては見やすい演出
  • 「明日起きるかもしれない」というコンセプトからはズレていて、視聴者にはどのような番組かつかみづらいのでは。全く異なる題材で世界を広げる場合は、切り口に統一感・つながりを持たせることができれば視聴者が「没入」して楽しめるのでは
  • 若い人はVRなど最新の技術を使って仮想空間に入って行くという意味で「没入」という単語を使っている。出演者にカメラを装着してもらい、その目線を紹介するだけでは没入と言われても物足りないのでは。もう少しその人の人生の物語を疑似体験するような要素が必要
  • 他人の人生に没入するということは、その人のプライベート空間に入って行くということ。その覚悟がないと「没入」とは言えない
  • 歌舞伎の回は非常に良くできていて、とても面白かった。しかし、別の回を見たとき、間違った番組を録画してしまったかと勘違いするくらい、違う印象で、食べ歩き番組のようだった。「人の話」というコンセプトは忘れないでもらいたい

フジテレビ側からは以下の発言があった

  • 他人の人生をのぞき見する、他人の人生になってみたら、というのが大きなコンセプト。さらに内村光良さんで情報番組を作るということが一つのポイントだが、描き切れていない部分がある
  • 「没入」という手法を大きく打ち出していこうと思っているが、言葉を乱暴に使っているように見えてしまっているのであれば改めて考えたい
  • 国民的スターである内村さんを生かし切れていない部分がある。内村さんで番組のふりを作ることも含め、内村さんを絡ませることによってどんなネタでも番組のオリジナリティを出せるようにしたい
  • 無駄な焦りや企みで何か小細工をしても、結局それは多くの人に見てもらうことには繋がらないので、肝に銘じて制作に当たりたい
  • スタートしたばかりの番組で、敢えて幾つかのテーマ、ジャンルを広げていこう、挑戦していこうという狙いの最中で、散漫な印象を与えてしまった。「没入」という手法を使うのであれば、取材対象の内側に、そして人生に没入するという覚悟を持ってやるべきだと考える

5.その他の番組、放送に対するご意見

5月度番組審議会での質問に対し、局から追加の回答があった

  • 上島竜兵さん死去の報道について、踏み込んだ表現を使い、自宅前から生中継をしたことに、厳しい批判、抗議を頂いた。これらを真摯に受け止め、これまで以上に最大限の配慮を行うこととした。またデイタイムの情報番組で結果として繰り返し報じることになる可能性についても最大限の配慮をおこなう

委員から以下の意見があった

  • 記者やリポーターが現場に取材に行くのは当然の仕事で重要だが、放送に至るまでにどのようなやりとりがあったのか、いま一度振り返り検証して注意深く報道してほしい

フジテレビ側からは以下の発言があった

  • 情報制作局内では自殺の連鎖防止は当然のことながら、関係者の気持ち、世の中の流れ、受け止め方がどうであるか、いま一度立ち返り、人の心に寄り添う番組作りに努めようと確認した

委員から以下の意見があった

  • ボクシングの井上尚弥選手の試合など、国民的なイベントが地上波で見られない状況が増えている。今後、テレビ界は一体どのように対応していくのか
  • 激戦が予想されるが、非常に大きな影響を及ぼす話なので、最終的には視聴者の利益というのも考えながら解決をしていっていただければありがたい

フジテレビ側からは以下の発言があった

  • 国民の関心事が地上波で放送されず、有料ネット配信でということが増えてきた。その背景には高騰する放映権料と、ネット勢力の伸長のための戦略的な武器になっているという現状がある
  • 地上波が広告収入というビジネススキームの中、採算を度外視して取り組めるかが問題。これまで五輪やサッカーW杯のような関心事にはNHKと民放がまとまりジャパンコンソーシアムで対応してきたが、カタールW杯では崩壊。ミニJCという自助努力で対応する例もある
  • 放送事業者として自助努力で経済的に克服するか、同業者と話し合い制度化に取り組むか、2つの方向性があると考えている

委員から以下の意見があった

  • 深夜放送のバラエティ番組『ここにタイトルを入力』が非常にぶっ飛んでいて、かつてのフジテレビのぶっ飛び方をちょっと思い出した。このような番組を許容していくのがフジテレビの良いところ
  • 水10ドラマ枠『ナンバMG5』をすごく面白く拝見している。日本テレビのドラマ枠と競合するが、頑張って続けていただきたい

フジテレビ側からは以下の発言があった

  • 『ここにタイトルを入力』は入社3年目のディレクターの企画。私たちの想像をも超えたバラエティを制作する人間。自由に物を作れる環境作りをして、今後のフジテレビ若手の旗印として新しい企画をどんどんやらせていきたい
  • 水10枠は日本テレビに勝つという意気込みで枠を作り、配信でも数字を伸ばしている。この枠は、若い人向けのチャレンジ枠として育てていきたい

6.金光社長より挨拶

  • 委員の皆様からは反省すべきご指摘、さすがだなと思うこと、そういう見方もあったのかというご意見をいただき、毎回新鮮な気持ちで聞いた
  • ホールディングスの立場から引き続きフジテレビの発展に尽力していきたい

7.連絡事項

  • 次回第519回は、7月13日(水)の予定
  • 審議番組は7月6日(水)放送『テッパチ!』

以上。