番組審議会
第516回 番組審議会議事録概要
1.開催日時
2022年4月13日(水)正午より
2.開催場所
東京都港区台場2-4-8
3.出席者
- 委員長
- :
- 但木敬一
- 副委員長
- :
- 岡室美奈子
- 委員
- :
- 小山薫堂、井上由美子、最相葉月、三浦瑠麗、齋藤孝(新任)、舞の海秀平(新任)
- 局側
- :
- 遠藤副会長、金光社長、小川専務、清水常務、小林常務、石原取締役秘書室長、矢延取締役編成制作局長、加納執行役員報道局長、大野情報制作局長、坪田コンテンツ・コンプライアンス室長、中村編成部長、大國視聴者サービス推進部長、芹田考査・放送倫理部長、森本電波担当、西村週刊フジテレビ批評担当、竹内編成企画担当、加藤編成部、穂積番組審議室長、中本番組審議室部長
4.新委員ご挨拶
- 齋藤孝氏と舞の海秀平氏の就任について報告、およびご挨拶があった
5.副委員長選出
- 毛利前副委員長の後任として岡室美奈子副委員長が全委員の賛同をもって選出された
6.議題
審議番組:『ギャルいかがですか?』
各委員からは、審議番組に関して以下のような意見が出された
- 「なぜ今さらギャル?」と思ったが、令和の時代にファッショントレンドとしてギャルというジャンルが復活しているので、このタイミングであえて焦点を当てるのは面白いと思った
- ギャルの魅力は思ったことをすぐ口にする、知ったかぶりをしないこと。であれば、本来なら萎縮してしまうような人たちへのインタビュアーとしての企画はどうか
- 愛を持ってギャル文化を育むつもりで番組を制作して欲しい
- 番組からギャル文化の社会的側面が伝わってきた。番組ではギャルたちの愛すべきキャラクターが引き出されていたので、今後はそれぞれの個性を際立たせるような企画をぶつけて欲しい
- SNSで話題になりきれていないのは刺激が足りないからではないか。この番組に欠けているのはギャル文化に対する批評性ではないか
- ギャル文化はカウンターがあってこそ輝くので、彼女たちを怒ったり、反論する人を配置すると、ギャルのキャラクターがより鮮明に見えるのでは
- 単に笑えるだけでなく、さりげなく今の日本を考えさせる番組になっていく可能性がある
- スタジオのコーナーは意外性やサブカル的な面が目立つ一方で、毒がなく、今のフジテレビを反映しているような気がした
- かつてのギャル、元ギャルがスタジオに1人配置し、パワーバランスを調整すれば良い「毒アクター」かつ理解者になれるのではないか
- 地方創生とギャルを組み合わせるのは良いが、今後は外側の目線だけでなく、何に不満を覚え、どのように反抗するのかがわかるように、日本の女子の生態を描ければ面白い番組になるのでは
- 奇抜なメイクをしているというくらいの印象しかなかったギャルについて、振る舞い方を知っていて、礼儀正しく、生活感覚がまっとうだと感じた
- 特にスキルを身につけること、働くことの大切さを自分たちの姿を通して表現できていると思った
- 番組に持続性を持たせるにはひきこもりの子たちの脱出作戦や、外国人労働者不足の解消、避難民支援企画などに取り組んではどうか
- 今、全体的に日本が考えすぎてしまって動けない状態があるので、ギャルの「リスクを考えすぎずに思ったら行動する、口にする」というアクティブなエネルギーは考えすぎてしまう人にとってプラスのヒントになる
- ギャルに持つ一般的なイメージとのギャップにどれだけこだわるかが問題。ギャップを生かそうとする余り、面倒な足かせになる可能性がある
- ギャルの企画なのか、番組サイドのものか境目が見えづらい。番組が練り上げたものにギャルが乗っているとすれば、ギャルのエネルギーが感じにくくなる
- 単にロケ場所でお世話になるだけでなく、いろいろ紹介していて、ギャルの特色を生かしながら、地域に貢献しているのでお互いにとってメリットがあると感じたが、もう少し食べ物を丁寧に見せて欲しい
- ギャルたちが一生懸命取り組んでいる姿がすがすがしくて感動した
- ぜひ、元気なギャルたちに町おこしに悩む全国の市町村をめぐってほしい
- ギャルは常に本音トークで正直にズバズバ言うので、助けるというコンセプトに偽善的な匂いがなく良かった
- 大人の価値観とギャルのパワーのぶつかり合いの面白さを見たかった。リスクを差し引いてもギャルパワーをもらい活気が出たという結果の方がリアルでは
- この「失われた30年」、日本が停滞を続ける中で、今まで考えもしなかったが、ギャルが今の社会を壊す突破力を持っているかもしれないという期待感、大きな「へぇ」を持った
- もっとギャルとの常識の違いをバンとぶつけて、年取った連中の秩序が本当は全然違い、彼女たちの突破力の勝利というものを出してくれたら良いと思った。停滞した日本をギャルたちが全く違う方法と主張で変えていく、突破していくというイメージを期待する
フジテレビ側からは以下の発言があった
- 一番表現したかったのは、ギャルのアクティブなエネルギー。なぜ今ギャルなのかという理由は、芯の強さ、忖度しない素直さといったところが、令和の女性に重なるところがと思っているから。今、自分の意思や意見を持つ女性はますます増えている。そのような女性に刺さる番組にしたい
- 成功も失敗も含めて過程でのマインドの強さが透けて見え、笑いや感動を感じてもらえれば良いと思い作った
- ギャルと関わって強く感じたのが、好きなことを極めるのが大変得意だということ。意外な特技を見せたいという意図もあったが、ギャルならではの斬新さが足りていなかった部分は演出で工夫出来たかなと反省している
- ギャルが普段行かない場所、余り関わらない人とぶつかり合う中で面白いものが生まれると思う。今回のような地方とか、偉い人へのインタビューなど、可能性はまだまだある。ギャルらしさがより出る企画を突き詰めたい
- ギャルという言葉の響きも含めて期待されている毒のようなものが足りてないと反省
- 新しいギャル文化を育む方法として、政治家にインタビューに切り込むなど大変勉強になった
委員からは、審議番組に関して以下のような意見が出された
- まずこの番組審議会をギャルたちに見せて意見を聞きたい。その上で、これは自分たちの番組なのだという魂に火をつけて、コーナー企画を本気で考えさせてみる。そうするとやらされているのではないかとか、どこまで自分たちが本当にやっているのだろうかということが明確になって良いと思う
7.報告事項
- 放送番組種別の放送時間について
- 2021年度下期 視聴者サービス推進部報告
8.その他の番組、放送に対するご意見
委員から以下の意見があった
- 『やんごとなき一族』のコロナの影響で初回1週遅れとのニュースを見た。現場のスタッフは今、肉体的にも精神的にも限界状態にあると思う
- 延期を決断したのであれば、是非上層部は「もう二度と遅れるな」と責めるのではなく、「クオリティで取り返せよ」と励まし、フジテレビのドラマを守っていただきたい
フジテレビ側から以下の発言があった
- 責め立てることは一切しない。むしろ安全運行のための放送スケジュールを検討した結果、今週ドラマ3本をスタートする予定だったが、1週遅延とした
- 今後も感染対策に十分配慮した上で撮影していくが、不可抗力も考慮し、現場の働きやすい環境を維持した制作体制を組みたいと考えている
委員から以下の意見があった
- フジテレビの戦場報道体制を教えて欲しい
- 組織の社員が危険性の高い地域に派遣されることに消極的な時代が長く続き、最前線にはフリーランスの何の保障もない人たちが行き、帰国後、自己責任だのといったバッシングが続く時代が長かったので、フジテレビの体制がどうなっているのかを確認したいと思った
フジテレビ側から以下の発言があった
- 現地セキュリティ担当専門会社のガイドや、専門家のリサーチ情報など、安全を確保し、フリージャーナリストとも随時連絡を取っている
- 4月12日、首都キーウにパリ支局長を中心とした社員を中心とするクルーが入った。大量虐殺のあったブチャから近いマカリウを取材した
- 現地に入る社員に関しては、危機管理会社の事前トレーニングなどの受講を最低限の条件にしている
9.金光社長よりお礼とご挨拶
- 今日から参加していただく齋藤委員、舞の海委員には、それぞれの視点で自由にフジテレビの番組を叱咤激励していただきたい
- 岡室副委員長には、これまで6年間、数多くの番組を審議していただき、ご専門のドラマに留まらず、放送番組全体に関して示唆に富むご意見を頂戴し、大変感謝している。改めてよろしくお願い申し上げる
- 新年度を迎え、フジテレビのタイムテーブルも大きく変わり、新番組が続々とスタートしている。レギュラー番組というものは、帯番組もそうだが、定着には非常に時間がかかるので、焦らず腰を据えて取りかかってもらいたいと思っている
- また、自然災害や足下のウクライナ情勢など、有事においては、安全を確保しつつ、影響力の大きなメディアであるという自覚と責任を持って、放送局としての役割を果たしていきたい
- そうした中、番組審議会は番組の適正を図るという目的を持つ重要な会議体である。今日は『ギャルいかがですか?』をご審議いただいたが、錚々たるアカデミックで文化的な委員の方々が、ギャルをテーマに真剣に語り合う状況は、滅多に見られない非常に価値のある時間だった。社会学的なギャル文化論、或いは国をも変えるギャル機能論に昇華するほどの貴重なご意見だった
10.連絡事項
- 次回第517回は、5月11日(水)の予定
- 審議番組は4月21日(木)放送『やんごとなき一族』
以上。