番組審議会

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第514回 番組審議会議事録概要

1.開催日時

2022年2月9日(水)正午より

2.開催場所

東京都港区台場2-4-8
但木委員長以外の委員、およびフジテレビ出席者の一部が、テレビ会議形式で参加。

3.出席者

  • 委員長
  • 但木敬一
  • 副委員長
  • 毛利衛
  • 委員
  • 梓澤和幸、岡室美奈子、小山薫堂、最相葉月、三浦瑠麗
  • 局側
  • 遠藤副会長、金光社長、小川専務、清水常務、小林常務、石原取締役秘書室長、矢延取締役編成制作局長、加納執行役員報道局長、大野情報制作局長、坪田コンテンツ・コンプライアンス室長、中村編成部長、芹田考査・放送倫理部長、森本電波担当、西村週刊フジテレビ批評担当、小仲編成部統括企画担当田村編成部、穂積番組審議室長、中本番組審議室部長、熊谷番組審議室

4.議題

審議番組:『爆買い☆スター恩返し』

各委員からは、審議番組に関して以下のような意見が出された。

  • 子どもの頃に大切だったもの、欲しかったものを思い出させてくれた。買い物の合計は大きな金額だが、一つ一つは庶民的。地方創生の観点でも、地元の名物をPRする機会になる。
  • 嫌みもなく、しかもこのコロナ禍にあって、キッチンカーを提供された子どもたちが楽しそうに喜ぶ姿を見ると、同級生や地元の子どもたちに幸せをお裾分けするとても良い企画だと思う。
  • 楽しむポイントが多いところが特徴。ただ、それを貫く軸が本当に爆買いで良いのかと思った。
  • 爆買いによるゲーム性がさほどなく、あぶく銭を手にして買い物が雑な浪費になっている印象を受けた。
  • お金をたくさん使うことが本当に恩返しになるのか。街が潤うほど使うわけではなく、本当の地域創生ではないのではないか。『スター爆買い』と『恩返し』をタイトルによって繋げるほどのことになっていないのではないか。
  • 無理に爆買いにせず、例えばその買い物によって自分の幸せについて考え直すきっかけになるとか、何か違うフレームに持っていけないのか。
  • 買い物とは拍手である。作った人、生産した人に拍手を送りたくてお金を払う、人々がそういうお金の使い方をしたら社会が良くなるのではないか。地元をスターがロケハンし、拍手をするような気持ちでもっと練ったお金の使い方を考えて実行する、という二段階の作りにするとさらに上質な番組になるのではないか。
  • 地元愛がお金を落とすことで示せるのか疑問。コロナ禍で派手に無駄遣いして見せているように感じられ、楽しみ方が分からなかった。
  • スターが地元に帰って派手にお金を使うことには、バブルという言葉が浮かんでしまった。現在コロナ禍で困窮した生活苦の人たちがたくさんいる状況で、無駄に派手にお金を使う姿に馴染めなかった。
  • コロナ禍は誰にも押し寄せてくる困難で、その日食べられないという人たちが普通にいる。世間にはそういう風が吹いている。そういう時に、何故50万円とか80万円というお金を1日で使うという番組を作るのか。
  • 憂鬱な気分を愉快にするために今こそ必要なエンターテインメントとして作ったという発想がある。しかし、作っている人たちは、シングルマザーが子どもたちに1日1食、2食しか食べさせられないということに実際に触れてみることがないのではないか。報道機関の人がそれで良いのか。
  • 5万円、10万円でもしみじみと、なるほどこういうお金の使い方もあるのかという番組にして、そこに幼い時からの友達との思い出を忍ばせてはどうか。
  • 消えゆく商店街は日本中にたくさんある。視聴者が見て寂しくなるのは恩返しとして成功ではない。ある程度事前リサーチして、ポジティブに持っていく工夫が必要。
  • 恩返しは自分のお金でするものだから、これは自腹なのだろうかということが終始気になった。10万円給付が国会で揉めているような時代。このお金は一体どういうお金なのか疑問に思っている人たちがたくさんいると思う。
  • 全体的に、テレビのバラエティ番組がユーチューブ化していると感じた。知らず知らずのうちにSNSに影響されている。テレビが目指す本当のものなのかということを、もう一度、議論を深めて欲しい。
  • 著名俳優を起用している点ではテレビ的だが、バラエティの新しい試みとしてはインパクト不足。地域活性の問題など、テレビらしくもっと深く突っ込んで欲しい。
  • 自分が出たサッカーチームの子どもたちに喜ぶことをしたいという一心でキッチンカーを手配する、これには反感がなかった。一方、高級寿司を食べ始めると、それはバブルではないかという感覚は出るし、今はそのようなものを食べられない人が大勢いるという反論もある。
  • この閉塞の時代の中で、人が見て面白いと思うことを見つけ出そうと努力し、今の時代の人たちに楽しんでもらえると企画者は考えたのだと思う。今の時代をどういうふうに支えていくかはフジテレビの重要な役割の一つ。

フジテレビ側からは以下の発言があった。

  • みだりにお金を使う「爆買い」が持つイメージは、いわゆる「ばらまき」という言葉に変換されてしまうと、視聴者にとっては下品になる。一方で「恩返し」は、爆買いをすることによって起きる、ハッピーサプライズ。このバランスをどのように保つか、ナレーション一つ取ってもテロップ一つ取っても考えながら制作している。
  • 番組のコンセプトは、スターが東京で稼いだお金で恩返しをすること。ロケ当日までその日に使う目標金額はわからない。ただ、自腹という言葉は、損をするとか罰ゲームというイメージがどうしても付きまとうため、番組ではそのように表現しない。
  • 生活に困窮している方もいるというご指摘について、この番組を作る上でそのような感覚・アンテナを張るようしているが、恵まれた環境の中で視座が足りない部分も出てきているのかなと感じた。
  • この番組は時間内にどれだけお金を使えるかというかせを与えることによって、出演者がこの番組ならではの頑張りを見せ、その頑張りがストーリーを作っていく。
  • お金の使い方に関しては、出演者と制作が視聴者からの見え方のバランスを気にして作っている部分。コロナ禍という時代だからこそエンターテインメントはそこに触れずに、ひとときでも世情を忘れて楽しんでいただきたい。
  • 値段の高い安いに関わらず、「その使い方良いね、地元の人たちの貢献になっているね、地方創生という意味でも合っているね」と感じてもらえる展開を探していく旅なのかなと思う。
  • お金を使うことと善行を積むという2つの要素を1つの番組に組み込むのはフェアウェーが狭い。研究すべきところが多々ある。

委員から以下の意見があった。

  • バブルの経験がない世代は番組のお金の使い方に反感を持たない。金銭的ゆとりのある上の世代が「不謹慎・下品」だと言って反動の時代に入りお金を使わなくなったことで若い世代がチャンスを奪われることもある。
  • 目を輝かせて買い物をするような、成功したという実感をつかみかけたゲストが出演するのが良いのでは。
  • 番組が禁欲的であるべきというのではなく、無理にお金を使っている様子が視聴者に寄り添っていないと感じる。工夫して夢のあるお金の使い方をすれば反感を持たれないのでは。
  • 粋にお金を使うところが見たい。カッコいい使い方、カッコいい浪費が見たい。むしろ1000万円でも面白いし、1点買いでぱっとすぐ終わる人がいても良い。

5.その他の番組、放送に対するご意見

委員から以下の意見があった。

  • 2022年中に行われる参議院選挙の結果次第で改憲の発議が現実問題になる。憲法問題は政治の問題でもあるが、憲法的に何をもたらすのかということは国民一人一人の問題。政治と離れて憲法的な物の考え方を人々にきちんと伝えていただきたい。

フジテレビ側から以下の発言があった。

  • 憲法問題は単なる政治問題ではなく、国民一人一人に関わってくる問題。同じ政党でも考えが異なる場合がある。一つの政党を束として考えるのではなく、政治家一人一人の見識が問われている。また、対象となる条項の改正が我々の生活にどのように関わってくるか、世界的に日本を見る目もどのように関わってくるのか。一方に偏ることなく報じることが必要だと考えている。

6.報告事項(コンプライアンス勉強会について)

フジテレビ側から以下の報告があった。

  • コンプライアンス勉強会を、1月28日午後4時からオンライン形式で実施。但木委員長に、テレビメディアと放送倫理について、「フジテレビで働く人に伝えたいこと」というテーマで放送に関わる者の基本スタンスについてお話しいただいた。
  • テレビの役割、影響力を念頭に、放送倫理について強く意識してほしいというお話とともに、今後のテレビに望むことを、過去、番組審議会で扱った事例も踏まえて幅広くご教授いただいた。
  • 放送コンプライアンス委員会について。放送を取り巻く環境が変わる中、基本に立ち返って、テレビが求められるもの、また、放送局としては犯してはいけないことをしっかりと確認する役割を担っている。

1)放送コンプライアンス委員会を毎月実施し、刻々と変化する倫理基準を精査しながら情報共有を図り、社内に浸透させている。この組織下にワーキングチームが存在し、細かな点まで議論。制作目線に偏らないよう社内全体からメンバーを募り、視聴者目線に沿うよう注意している。

2)新しい課題や基本的な倫理基準について有識者の方をお招きし、勉強会を実施している。忘れがちな基本に改めて立ち返り、指差し確認をしていこうという趣旨。恒常的に実施することで、制作者そして送り手としての意識を高めていきたい。

委員長から以下の発言があった。

  • コロナ問題を通じて、日本社会はいかにマスメディアを信じてそれに沿った行動をしているか気づいた。フジテレビの皆さんはそれだけの影響力を持つことを十分自覚し、報道していただきたい。
  • あるVTRを流した場合に、視聴者はそれ以外の事実は全く知らない。流すこと自体が国民に誤解を与えるような結果になっていないかどうか、報道としてはフェアな報道であるかアンフェアに受け取られてしまうか、分かった上で報じて欲しい。
  • 若い人たちはSNSの中で育ち、SNSから流れてくるものの真偽を自分で感じている。それを他の人に伝播することについて何の罪の意識もないし、著作権法違反なんて考えもしない。そういう人たちがフジテレビに入社するということを前提に、その人たちにSNSと放送との違いをきちっと分からせて報道に携わってもらうようにすべき。
  • 今後の気候変動についてテレビが果たす役割は非常に大きい。今の状況で地球はもつのか。マスメディアが地球の状態を正確に伝えることが抑止する第一の方策ではないか、そういう責任を皆さんは負っている。

フジテレビ側から以下の発言があった。

  • 作り手が番組を作る際の取材や番組構成、演出、編集という段階で様々な情報にさらされるが、それを一つのパッケージに凝縮する時に、読み込む力、クリエーターリテラシーが必要だと改めて痛感した。

7.連絡事項

  • 次回第515回は、3月9日(水)の予定
  • 審議番組は1月30日(日)放送『街グルメをマジ探索!かまいまち』

以上。