番組審議会

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第512回 番組審議会議事録概要

1.開催日時

2021年11月10日(水)正午より

2.開催場所

東京都港区台場2-4-8
小山委員、およびフジテレビ出席者の一部が、テレビ会議形式で参加。毛利委員が、リポート出席。

3.出席者

  • 委員長
  • 但木敬一
  • 副委員長
  • 毛利衛
  • 委員
  • 梓澤和幸、井上由美子、岡室美奈子、小山薫堂、最相葉月、三浦瑠麗
  • 局側
  • 遠藤副会長、金光社長、小川専務、清水常務、小林常務、石原取締役秘書室長、矢延取締役編成制作局長、加納執行役員報道局長、大野情報制作局長、坪田コンテンツ・コンプライアンス室長、中村編成部長、芹田考査・放送倫理部長、森本電波担当、西村週刊フジテレビ批評担当、濱情報制作センター室長、高橋チーフプロデューサー、佐々木プロデューサー、藤村プロデューサー、田中編成担当、穂積番組審議室長、中本番組審議室部長、熊谷番組審議室

4.議題

審議番組:『めざましテレビ』
2021年10月28日(木)5:25~8:00放送

各委員からは、審議番組に関して以下のような意見が出された。

  • 7時頃までは時事ニュースもエンタメも絞りが弱く、この番組特有の魅力を削いでいるのではないか。他局とどう違う味付けが出来るかが課題。
  • 衆院選直前だったが、「どうせ行ったって変わらないよという人がいるかもしれません。しかし、変えるのはあなたの1票しかないのです」というキャスターの短い言葉が光っていた。
  • 最高裁判所裁判官の国民審査をテレビ局がもっと話題にして欲しい。
  • 凄惨な事件、事故のニュースが続く中、若手女性キャスターの落ち着きと慎重さを感じた。その隣にベテランキャスターがいる構図が安定感、視聴者への安心感に繋がっている。
  • スタートから20分余りの短い時間に、秒刻みで新しい話題が盛り込まれていて、わずか時間のためにどれだけのスタッフが取材や調査に走り回ったのだろうと想像した。
  • スマホ片手にニュースを次々ザッピングしているような感覚。悲惨な事件も次々話題が切り替わるのは、頭をガツンと殴られたまま現場に置き去りにされたような錯覚に陥った。
  • 深い理解をさせないうちに新たな情報を大量に降り注ぐことによって注意力が散漫となり、物事の背景や当事者たちへの創造力を阻むことが明らかになっている。柔軟な脳を持つ子供たちの発育には大きな影響を与えていると思う。
  • テレビまでスマホ化して良いのか。テレビにはネットやスマホと違う物事の伝え方があるのではないか。
  • 視聴者は入れ替わるという前提で、同じニュースを時間を置いて何度か繰り返し、今日の話題をしっかり知らせ、深入りしないという番組。軽妙なテンポで進行し、明るく、朝としては最適。
  • 3歳児の虐待死事件は、朝見ると非常にショッキング。表面的な事件の概要を伝えるだけでなく、伏線が一言でもあると、ある程度把握できたうえで出かけられる。
  • 今後取り上げてほしいものは「気づき」。例えば、子どもたちのデジタル環境が変わっていることについて。大人世代の方がデジタルのリテラシーがないために、子どもを無防備にさらしている。
  • とても工夫された番組タイムテーブル。同じニュースでも6時、6時半、7時とキャスターを変え、エンタメ、天気、スポーツ、占いなどのミニコーナーも他局より小刻みで、ずっとチャンネルを合わせている視聴者が飽きないよう手間をかけて作っている。
  • 何かあった時に見ようと思ってもらうには、ニュースへの独自の切り口をどれだけ入れていけるかと、キャスターの信頼度を高めることに尽きる。
  • 若くても硬派な女性キャスターが日本にも出てきてほしい。メインの女性キャスターにたまに硬派なことを語らせることでクラス感が上がれば、番組のプラスになっていく。
  • 女性アナウンサーはインターネットを見るとひどい言われ方。メンタルが大変だと思う。ケアをしていかなければいけない。
  • 著名人が主語の話題が多い。著名人を使えば記者会見場にテレビが取材に来る、広告クリエイティブがキャスティング重視のものになる、という悪循環のきっかけにもなる。断ち切る方法は何かないか。
  • ネタ探しは本当に大変だと思うが、足で稼いできたのだなというネタと取材を具現化させたコーナーがあると良い。
  • 「きょうのわんこ」に癒やされてきた人たちは大勢いると思う。動物ネタは、今やネット中心だが、是非続けてほしい。
  • 情報番組で伝えるべき情報とは何か。朝の慌ただしい時間だからじっくり見る人は少ないかもしれないが、ダイジェスト的な情報の羅列のような気もした。断片的なニュースとかゴシップ的なものはもうネットに任せて良いと感じた。
  • 放送と通信の違いがわかりにくくなっているが、やはり区別しなければならないという考え方は根強い。その一つの根拠となっているのがBPOの存在。テレビにはBPOがあって、倫理的なものが担保されている。情報の精度、品格、見識といったものが放送には求められて然るべき。
  • 面白かったのは選挙割の話題。情報番組ならではの取り上げ方。報道番組ではやらない有益な情報を増やすと良い。
  • キャスターら出演者に個性、魅力が感じられない。個々のニュースの原稿を淡々と読んでいるだけで、そのニュースに対しての視点、見解が殆どなかった。
  • エンタメ系と情報系を繋いで、視聴者が替わることを前提にし、構成として各局のお手本になっている。

これらご意見に対して、フジテレビ番組制作者からは以下の発言があった。

  • 朝「ながら見」をしている視聴者、ターゲットである30代~40代のファミリーに何をどこまで伝えて深掘っていくかを日々考えている。
  • 「めざましファミリー」として、疑似家族のように見てほしいというコンセプト。大黒柱のキャスターとは、1日1つ発信すべく話し合っている。選挙のコメントは番組が拘った部分。
  • 5時台、6時台は正に「ながら見」の時間帯。30分から40分のタームで視聴グループが替わることを想定して作っている。一方7時台は“解釈”を少しでも加えたいという方針。コロナ禍のため、番組スタッフ自身が自分たちで地方取材に行けず、ニュースに解釈を加えにくいという実情もある。
  • 小さなキーワードでも、引っかかりが番組の生命線。視聴者が引っかかるニュースであればある程、何か解釈を伝えるべきと反省。
  • メインの女性キャスターは非常に度胸があって動じない。毎日「スマイルチャージ」というコーナーで笑顔を見せながら、ニュースをしっかり読み、「どのような立ち位置でどう伝えたら良いか」を話し合いながら放送している。もう少し彼女を打ち出し、彼女に語らせたいと考えている。
  • メンタルケアについて。彼女たちは様々なメディアで常に評論される対象になっているので、コミュニケーションを取りながらケアしていきたい。
  • 足で稼いで拾ってきたネタを1日、1個でも2個でも放送したいと考えている。「キラビト」のコーナーは、著名人ではなく一般の方でキラキラ光る原石を発掘している。まさに足で稼いだ、誰も知らないが頑張っている人がいる、応援したくなる若者がいるというのがコンセプト。
  • 「きょうのわんこ」は番組スタートから続くコーナー。「わんこの目線で今の人間社会を見る」のがコンセプトで、他の動物コーナーと差別化をはかっている。
  • 朝のこの時間帯は同時に家族が見てくれる、テレビがテレビらしいメディアである最後の砦の一つという覚悟で番組作りをしている。まさに主戦場。
  • 深堀り、独自性、取材は『めざましテレビ』が本当に大事にしていること。京王線刺傷事件ではジョーカー姿の容疑者の映像を探してスタッフ総出でセンター街の防犯カメラを1件1件当たり、映像をスクープ入手した。こうした努力はこれからも続けていきたい。

5.報告事項

リアルタイム配信について

  • 来年の1月にリアルタイム配信を開始予定。放送の範囲については、ゴールデン・プライム帯のネット番組を中心に考えている。

報告事項に関する委員からの質問

  • ネット放送の際、いわゆる放送基準はどうなるのか?テレビに準ずるのか。

これに対して、フジテレビ出席者からは以下の発言があった。

  • 基本的に対象番組は放送と同じ内容で配信供給する。内容はほぼ地上波のサイマル放送なので、結果的に倫理基準は放送に準拠する。

6.その他の番組、放送に対するご意見

  • 衆院選挙の議席予想が実態と大幅に外れてしまったことについて。今後どうしたら、より実態に即した予測が出来るのか。

これに対して、フジテレビ出席者からは以下の発言があった。

  • 現在、原因について内部で分析を進めている。一つは若年層の投票行動を上手く把握出来ていなかったのではないかという点。8時の開票予測の判断ベースとなる出口調査の締め切り時刻後に若年層が投票に行ったという状況もある。何よりも接戦区で自民党の最後の巻き返しが強かった。来年の7月に控える参院選までには事前調査の仕方、補正のかけ方を見極めたい。

金光修代表取締役社長からの挨拶

  • この番組のスタート当時、編成担当。フジテレビの朝の帯番組は何をやっても上手くいかなかった。例えば、駐車場に高齢者を集めてラジオ体操をする高齢者向けの番組、DJをMCに立ててアメリカのショービズ的なものを模して朝からエンターテインメントニュース、あるいはパリ・NYから生中継を入れたBBCワールドのような硬派な番組を放送したが、地上波テレビとしての朝帯のマジョリティは取れず、朝帯の改革は重要なテーマだった。
  • その当時、大人気の日本全国の系列局を巻き込んだ形の総合的な朝の情報番組があり、それを正面突破しようと、同じような総合的な情報番組をやるという形でスタートした。その時、報道・情報・バラエティのスタッフのチームを作った。
  • 以来20数年、いろんな手を施しながらフジテレビの看板番組として非常に価値のある番組となり、今も輝かしい存在。
  • 朝帯は、テレビ局において、Netflixの影響や録画視聴などを最も受けにくい時間帯。編成的にも経営的にもかつてよりも重要な時間帯になっているので、他局も非常に力を入れている。
  • 『めざましテレビ』も、マンネリにも改革にも恐れることなく、一つのところにとどまるのではなく、どんどん前へ進んでいってもらいたい。

7.その他

  • 次回第513回は、1月12日(水)の予定
  • 審議テーマは「コロナ禍のテレビ」。
    コロナ前、コロナを経験してからのテレビのあり方、役割について審議予定。

以上。