番組審議会

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第511回 番組審議会議事録概要

1.開催日時

2021年10月13日(水)正午より

2.開催場所

東京都港区台場2-4-8
但木委員長以外の委員、およびフジテレビ出席者の一部が、テレビ会議形式で参加

3.出席者

  • 委員長
  • 但木敬一
  • 副委員長
  • 毛利衛
  • 委員
  • 梓澤和幸、井上由美子、岡室美奈子、小山薫堂、最相葉月、三浦瑠麗
  • 局側
  • 遠藤副会長、金光社長、小川専務、清水常務、小林常務、石原取締役秘書室長、矢延取締役編成制作局長、加納執行役員報道局長、大野情報制作局長、小川技術局長、坪田コンテンツ・コンプライアンス室長、大國視聴者サービス推進部長、中村編成部長、芹田考査・放送倫理部長、森本電波担当、西村週刊フジテレビ批評担当、立本制作センター室長、牧野局次長、保原第一制作部長、羽鳥デスク担当、中野企画担当、草ケ谷P、柳元AP、長嶋編成、穂積番組審議室長、中本番組審議室部長、熊谷番組審議室

4.議題

審議番組:『ラジエーションハウスII~放射線科の診断レポート~』
2021年10月4日(月)21:00~20:24放送

各委員からは、審議番組に関して以下のような意見が出された。

  • 冒頭のメンバー再集結までがテンポ良く、メリハリがあり、楽しく引き込まれた。こういった群像劇はフジテレビの王道。
  • 放射線技師という縁の下の力持ちの活躍を描くことで励まされる人は多いのではないか。
  • 直接治療出来ない放射線技師が、いかに患者を救っていくかが見せ所だが、やや上手くいき過ぎることにリアリティのなさを感じる。
  • 難しい状況だからこそ明るく希望の持てるドラマを作る意味はあるが、そこに至るまでの物語に深みがあってほしい。
  • シーズン1を見ていない人には不親切。シーズン2からの視聴者に対するフォローがあると良い。
  • 国の医療政策があり、病院の幹部がいて、医師がいて、更にその下に現場の医療従事者がいるという大きな構造が作家の頭に入っている作品。
  • 主人公の存在感も魅力。キーワードで言うと正義感。俳優自身の人間性を引き出していくことをスタッフには頑張って欲しい。誰しも職場、地域、家庭の中で、正義と妥協を繰り返し、だんだん自分が小さくなっていくことへの抵抗として、こういうドラマを見ていると思う。
  • 本当の説得力というのはリアリティ。こういうことが現実にあるのか、と疑わせてはない。
  • 医療現場のここ数年のドラスティックな変化が、冒頭テンポ良く紹介されていた。
  • かつての技師の仲間たちがそれぞれのエピソードとともに再集結してくる様子で、いよいよシーズン2が始まる期待感が高まった。
  • 一つの病院の中にこれだけの人生があるということが、演出、カメラ、脚本、演技の力が相まって表現されている。
  • 主人公からの手紙が2年間に1通だけと強調されていたが、今時メールやSNSで連絡取り合わない関係ではなかったはずと違和感を持った。
  • 原作コミックに忠実だが、女性医師の印象が薄い。日本のドラマは、はすっぱな女性キャラは原作を再現出来るのに、リーダーシップを振るおうとするような女性は描けない。
  • 女性の働き方として放射線科医は非常に良い選択。医療界における女性を、働き方を含めてクローズアップする一つの良いチャンス。
  • 最新テクノロジーに直面した医療界の課題をもう少し描いた方が良い。AIという放射線科医の意義を駆逐する技術が出てきているにもかかわらず、メインのストーリーに出ていない。いかにして完璧な画像を撮るか、技師の技量がとても大事になってくる。
  • 技師と医師の立場の違いから病を描き、人間関係を描くのがこの医療ドラマの独自性。主演はもちろん、脇を固めるキャストの配置が適材適所に徹しているセンスの良いキャスティング。
  • 主役の3人の関係が、群像物の男女として見れば良いのか、ラブストーリーとしてキュンキュンして良いのか、中途半端で分かりにくい。
  • それぞれの人物の2年間を描く部分が丁寧で、主人公のドラマが始まるまでに時間がかかった。ストーリーの発動を早くして、その流れの中で人物や人間関係を見せた方が楽しめる。
  • チーム物の続編は、いろいろあったが再集結という手法が多くなりがち。この呪縛から離れて、当たり前のようにラジエーションハウスの仕事が続いていたとやってみるのも逆に新鮮だったのではないか。
  • このドラマを見て、演出がすぐに分かった。そういう演出家がいることは、フジテレビの武器の一つ。
  • 放射線技師のテクニックの差がどこにあるのか、何が凄くて本当に神の目を持つ技師がいるのか、そのディテールが分かると良い。また、機器を作り病院に納めるメーカー側の人物などが登場し、葛藤や物語があると、よりリアリティが出ると思った。
  • シンプルに楽しめた。その理由としては、普通ではあり得ないことを見せてくれるからだと思った。ドラマを見て嬉しくなる深層心理に訴えていると分析した。
  • 何よりもカメラワークが美しい。映画を見ているようで、テレビでも出来るのだと高く評価。
  • たくさんのエピソードが入っていたので頭の体操をさせられたが、非常に面白く、話しについていけた。
  • 出演者の演技に円熟さと深みがあり、完成に近いドラマと感じた。

これらの意見に対して、フジテレビ番組制作者からは以下の発言があった。

  • このドラマで制作陣が最も守りたかったのが「チームで病を見つけることと最後の爽快感」。シリーズ1作目から大事にしている。
  • 週初めの月曜に安心して見続けられて、最後には気持ちよく見終われるよう、エンターテインメント部分を誇張してしまっている部分もあるが、リアリティとのバランスを常に考えていきたい。
  • 1話にエピソードを詰め込みすぎて、新規の視聴者の方々を置いていってしまったと反省している。
  • シーズン2では、放射線科医として“医者を導く医者”になっていきたいという思いを抱くまでの成長が大きな柱となっている。印象が薄いとの声があるが、今後医師としての成長を描いていきたい。

5.報告事項

(1)放送番組種別の放送時間について。

(2)2021年4月1日~9月30日の視聴者からのご意見について。

(3)2021年日本民間放送連盟賞の受賞について
~技術部門・最優秀賞に災害情報カメラ収録システム「TOREZO」

委員からは以下の質問があった。

  • 先日の埼玉での震度5強の地震について、フジテレビは特番が他局に比べて一番遅れていた。優れた技術があるのになぜか。
  • 今回のような震度5の場合は早く対応してほしい。

これに対して、フジテレビ出席者からは以下の発言があった。

  • ちょうど番組の放送終了に際して発災があり、報道と連携を取りながら開始を検討した。次番組の開始時のタイミングを見計らって特番を編成したため若干遅れを取ってしまった。スタンバイは出来ていた。

これに対して、委員からは以下の質問があった。

  • 今後、一定の震度以上だと無条件に地震放送に切り替わるシステムになるか。

これに対して、フジテレビ出席者からは以下の発言があった。

  • 放送システムとして自動的に切り替わることはないが、震度次第で特番に対応する社内ルールはある。

委員からは以下の意見があった。

  • フジテレビの地震特番のアナウンサーが良かった。緊張の中で声のトーン、決してあおらない落ち着いた発声が非常に安心感をもたらした。
  • 帰宅難民や避難所の情報が気になった。帰宅難民が出ているのかどうかも含めた情報が放送されていたらたら役に立ったのでは。

これに対して、フジテレビ出席者からは以下の発言があった。

  • 当日のアナウンサー、前半は三田友梨佳、後半は新美有加が担当。深夜の情報はL字やニュースサイト「FNNプライムオンライン」で対応した。

6.その他の番組、放送に対するご意見

  • 自民党総裁選と衆院選挙報道のあり方ついて。メディアは政治に負けたのではないかと考えている。自民党に関する報道に対し、野党は少しやっておけば良いのではなく、長期安倍政権、菅政権後の自民党総裁への期待、警告を発するべきではないか。
  • 予測報道で有権者の動向に影響を与える可能性もあるので、抑制的に状況を伝えると同時に、影響も考え報道して欲しい。

この意見に対して、フジテレビ出席者からは以下の発言があった。

  • 総裁選は4候補がいたため、議論が広がり、コメンテーターが意見・批判を展開したので議論が分かりやすくなった。そのため、自民党の話が中心になってしまったことは否めない。衆院選については民放連の基準やBPOの決定、社内のルールに則り公平中立な形で放送していく。
  • 視聴者、有権者を誘導しないよう配慮していきたい。

全体を通して社長から以下の発言があった。

  • 『ラジエーションハウスII』について、続編における注意点、ドラマにおけるリアリティのあり方など、いただいたご意見を参考にしていきたい。
  • 自然災害への対応、突発事故などに適切な対応をしていきたい。
  • 選挙報道のあり方についてはフェアに伝えるという原則を忘れず、報道の使命を全うしていきたい。

7.その他

  • 次回第512回は、11月10日(水)正午の予定
  • 審議番組は、10月28日(木)放送『めざましテレビ』

以上。