番組審議会

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第510回 番組審議会議事録概要

1.開催日時

2021年9月8日(水)正午より

2.開催場所

東京都港区台場2-4-8
但木委員長、毛利副委員長以外の委員、およびフジテレビ出席者の一部が、テレビ会議形式で参加。

3.出席者

  • 委員長
  • 但木敬一
  • 副委員長
  • 毛利衛
  • 委員
  • 梓澤和幸(リポート出席)、井上由美子、岡室美奈子(リポート出席)、小山薫堂、最相葉月、三浦瑠麗
  • 局側
  • 遠藤副会長、金光社長、小川専務、清水常務、小林常務、石原取締役秘書室長、矢延取締役編成制作局長、加納執行役員報道局長、大野情報制作局長、坪田コンテンツ・コンプライアンス室長、中村編成部長、芹田考査・放送倫理部長、森本電波担当、西村週刊フジテレビ批評担当、立本制作センター室長、立松局次長、佐々木局次長兼第二制作部長、中嶋企画担当、宮崎P、太田演出、狩野編成、穂積番組審議室長、中本番組審議室部長、熊谷番組審議室

4.議題

審議番組:『VS魂』
2021年8月19日(木)19:00~20:00放送

各委員からは、審議番組に関して以下のような意見が出された。

  • 手が届きそうで届かない憧れの人たちが、普段と違う顔を見せる瞬間があるのがテレビの良さ。今の子どもたちもきっとそのように感じているのではないか。
  • フジテレビはアイドルの水泳大会を長く放送していたが、アイドルの見せ方、遊ばせ方の伝統がきちんと受け継がれていると思った。
  • 今、子どもたちがどれほど幼少期、青春時代の大切な時間を犠牲にし、プレッシャーに耐えているか。外で思い切り遊べることの大切さを改めて思い、一日も早く日常を取り戻さなければいけないという思いを新たにした。
  • 出演しているアイドルたちは、相手を笑わせたり和ませたりして、グループ内の人間関係を視聴者も楽しめるように上手く見せることが出来ていた。芸人と共演しても全く違和感がなく見やすかった。
  • コロナが始まって1年半、まともな屋外体験を多くの子どもが出来ない状態に置かれている。「ロケをやるな」と言うよりも、「プールで遊ぶ普通の光景を見せてほしい」というのが視聴者の思いなのではないか。
  • 2人乗りの絶叫マシンでボウリングの巨大ピンを倒すゲームでマスクを着けていたが、全体的な安全面を考慮すると、ワクチン接種、抗原検査、PCR検査を組み合わせれば、マスクは不要なのではないか。
  • メンバーの個性や関係性をもっと伝えると良いと思う。フレッシュな良さがある分、どんな人なのか知らない視聴者が多いと思う。
  • 個々のゲームを応援するためには、どんなキャラクターの人がどんな関係のもとに闘っているのか、という下敷きがないとなかなか身を乗り出して見られない。もう少し出演者間のトークを入れるとか、ゲストとの触れ合いを長めに見せるなどしてゲームを見せると、楽しんでもらえると思う。
  • 企画を変えることには賛否両論あると思うが、冒険して新たなゲームを出していくのは賛成。キャラと関係性さえしっかりしていれば、失敗して元に戻ったとしても受け入れられていくと思う。
  • 次の世代のトップアイドルというのはこうやってメディアが作り上げていくのだなということを改めて実感した。
  • 最近なぜアイドルだけの番組がなくなったのだろうと思った時、こういうバラエティばかりで満足していて良いのかなという、テレビ界の未来に対する漠然とした不安のようなものを感じた。
  • コロナ禍の様々な制限の中たどり着いたフレームなので完成されているとは思うが、この番組がテレビの新しい手法として認知されつつ人々から愛されるようなアイデアを考えていく必要がある。
  • パラリンピックで障害を持つ人たちが必死に競争し、自分に挑戦しているのに対し、軽さ、ぬるさを感じた。YouTube等ではよく見られているのだろうが、テレビでこの内容で良いのか。
  • 個人に焦点を当てた視聴率を狙っているのかと思ったが、そうだとしたらインターネットに負けている。テレビはやはりクオリティーで勝負しないといけない。この番組のメッセージは何か、誰に向けてのメッセージで、何が新しいのかということを教えて欲しい。
  • 10代、20代の視聴者をターゲットにして、テレビ離れの著しい人々を獲得しようとする意欲に満ちた番組。この年齢層にとって見逃せない引力がある。
  • 出演者に豪華メンバーがそろっている分、その魅力に依存してしまう番組作りになっている。
  • 一部のゲームは、いま一つ面白さに欠ける。2つのグループが対決して勝負の展開を楽しませるには、一定の歴史を持ったスポーツを取り入れるのも一案。視聴者に心得がある分、ゲームの展開の面白さと出演者の魅力が組み合わさって番組の力になるのでは。
  • HPを見ても番組のコンセプト・趣旨を見つけることができなかった。番組が何を目指しているのかがよく分からなかったというのが正直なところ。
  • 全体的にとても楽しい仕上がりで、出演者が溌溂としてプールでのゲームに参加していてほほえましいが、色々なグループからの寄せ集めに見えてしまい、全体として仲良さげで楽しそうではあるものの、それ以上の感想を持ちにくい。
  • お互いに距離をとっているとはいえ、マスクを外して大声で会話し、はしゃいでいるのが時節柄、大変気になった。屋外でも感染事例は多数報告されている。余りに楽しそうで、自分もプールに行きたいと思わせるところもあり、コロナ禍における自粛に逆行しているように感じられた。
  • 閉じこもりの生活を強いられ、かなり鬱屈した状態の多くの人間にとっては、あまり考えずに楽しめる番組というのは必要。バラエティ番組はウィズコロナ時代に入って新しい時代のニーズとして生まれてきているのではないかという気がする。この番組には一定の社会的な意味があったのではないか。
  • 上手い番宣を企画して、まずこの番組に視聴者を寄せ付けることが必要。
  • どうしたら愛される番組になっていけるか。人の心に温もりを届けることもまた一つのテレビの使命になると考える。

これらご意見に対して、フジテレビ番組制作者からは以下の発言があった。

  • スタジオのゲームバラエティを変えるという決断をしたことで、批判や元の形が良いという意見は覚悟した上でのリニューアルだった。
  • 出演者のマスクについては、視聴者からの見られ方も大切だが、番組として「2メートルの距離を確保出来ない場合はマスクを着用」というルールを守ってロケを行うことを心がけている。
  • マスク着用は水に濡れて危ないのではという指摘については、番組でシミュレーションをして安全を確認しているが、幼い子どもに誤解を招きかねない見え方だった可能性に関しては反省し、上手く伝える方法を探って行く。
  • 個人視聴率については、特定の視聴者層だけでなく、より幅広い世代に見てもらえるよう制作している。
  • アイドルたちの楽しんでいる姿を見ていて単純に笑える番組を、というコンセプトで制作している。ジャニーズのファン以外の方にも見てもらえるよう番組作りをしていく。
  • このようなご時世の中、視聴者の冒険心に寄り添える番組にしたいというのが意図だった。画面越しに視聴者の夏に対しての思いを刺激出来ればと思う。
  • YouTube的なところがあるのではとの意見については、番組制作者側の多少実験的でも「冒険をするぞ」という姿勢を見せたかったが、未熟な部分があった。

5.報告事項

  • 8月26日に日本テレビ『スッキリ』内でアイヌ民族差別発言に関する検証番組が放送されたことを受け、改めて、フジテレビ社内でも各部署で制作過程の検証、放送コンプライアンス意識を向上させるべく様々な会議体での共有、勉強会を実施していく。
  • 2021年10月改編について報告。テーマは「家族そろってフジテレビ ~DEEPなテレビ体験を!~」。週末は「家族そろってフジテレビで笑う体験を」。月曜日は「家族そろってドラマチックな体験を」。

6.その他の番組、放送に対するご意見

(1)『日曜報道 THE PRIME』について

  • 9月5日放送の『日曜報道 THE PRIME』について。約1時間半の番組で50分近く岸田文雄議員1人がほぼ番組を独占する形でコメンテーターの橋下徹氏と話す状況が続いた。公職選挙法とは無関係な上、他に正式な立候補者はいないが、もう少しバランス良く報道するべきではないか。公平性の観点でも疑問を持った。局内でどのような話し合いの結果、こうなったのか知りたい。
  • 橋下徹氏自身も、野党が頑張らないとこのままでは自民党ばかりテレビに出ることになってしまうと、危惧するコメントをしていた。今後、他の候補者が現れたときには、バランス意識を持って欲しい。

このご意見に対して、フジテレビ出席者からは以下の発言があった。

  • 番組放送の時点で正式に立候補を表明していたのが岸田議員だけだったことと、菅総理が辞意表明直後というタイミングということもあり、岸田議員にじっくり話を聞いてみることになった。今後、総裁候補に名乗りを上げた人たち、さらに、総選挙が近いので野党にも配慮しながら番組作りをしていきたい。

(2)新型コロナウイルスの報道について

  • 新型コロナウイルスの報道については、そろそろ、薬やワクチンの効能に関して気をつけ始めなくてはならないと感じる。医師のSNS上での発信にも注意が必要。
  • イベルメクチンをめぐってもSNS上で効能や処方について様々なつぶやきや意見が飛び交っているので注視し、報道する上でも危機管理が不可欠だと考える。
  • アメリカでは家畜用のイベルメクチンを入手した人が独断で接種し、健康を害した例も報告されている。

このご意見に対して、フジテレビ出席者からは以下の発言があった。

  • 医師のSNS上でのコロナ関連の発信等については注意を払っている。
  • 薬の処方や治療法に関しては、手探りの状況が続いている。どこまで安全性が担保されているのか、どこまで確立しているのかに関しては非常に慎重に扱わなければならない。スタッフ全員肝に銘じてやっている。

全体を通して社長から以下の発言があった。

  • 『VS魂』について温かいご意見が多く、ほっとした。
  • 複数の委員から昔のアイドルの水泳大会の話題が出て、それが比較的ポジティブだったのが若干意外だった。一方、率直で厳しいご意見もいただいた。十分に今後の参考にしたい。
  • 社内の体制を大幅に変更した初の10月改編。一朝一夕にジャンプアップということはないとは思うが、新しい芽が一つでも二つでも出てくることを期待して改編に臨んでいる。

7.その他

  • 次回第511回は、10月13日(水)正午の予定
  • 審議番組は、10月4日(月)放送『ラジエーションハウスⅡ』

以上。