番組審議会
第508回 番組審議会議事録概要
1.開催日時
2021年6月9日(水)正午より
2.開催場所
東京都港区台場2-4-8
但木委員長・毛利副委員長以外の委員、およびフジテレビサイドの一部が、テレビ会議形式で出席。
3.出席者
- 委員長
- :
- 但木敬一
- 副委員長
- :
- 毛利衛
- 委員
- :
- 梓澤和幸、井上由美子、岡室美奈子、小山薫堂、最相葉月、三浦瑠麗(リポート出席)
- 局側
- :
- 遠藤社長、岸本専務、和賀井専務、松村常務、金光取締役・FMH代表取締役社長、石原取締役、清水取締役、小林取締役、塚越執行役員編成制作局長、若生執行役員広報局長、矢延制作局長、大野情報制作局長、齋藤編成部長、齋藤考査・放送倫理部長、森本電波担当、西村週刊フジテレビ批評担当、立松制作センター局次長、中嶋制作統括、矢﨑CP、木月総合演出、杉野D、田中D、千葉D、赤池編成、柴崎執行役員番組審議室長、坪田番組審議室局長職兼部長、熊谷番組審議室
4.議題
審議番組:「新しいカギ 2時間SP」
2021年5月28日(金)20:00~21:58放送
各委員からは、審議番組に関して以下のような意見が出された。
- クイズやゲストタレントに頼らないでコントコントで押しまくる構成が、今では逆にとても新鮮に見えた。かつての志村けんさんの番組のような懐かしさがある一方で、レギュラーの3組、若手の組み合わせはとても新しくて、今後話題を呼べば大きなヒット番組になっていく可能性がある。
- 隔週の2時間スペシャルで放送が続いていると思うが、コント番組はキレとクセになるような習慣性が大事なので、毎週20時から1時間のレギュラーで見たい。
- 過激さを売りにする番組ではないのでコントにも品があると思うが、今後ネタを探していく中で批判を浴びるような局面があるかもしれない。お笑いを作るのは難しい時代だが、何とか持ちこたえて、エッジを持って作っていっていただきたい。
- これからの新しいキーパーソンを探す意味でこういうタイトルになったと聞いたけど、その気概を感じられて本当にいい。
- それぞれ演者さんたち、YouTubeで独自の配信をしているが、YouTubeでは出来ないお金のかけ方での設定、コントがあったりして、テレビらしいところ、テレビの強みが生かされていて、それも良い。
- その上で、『新しいカギ』というタイトルを考えた時に、もう少し何か挑戦があってもいいんじゃないか。例えば「AIがジャッジ!発音カラオケ」というコーナーがあるが、あれは「発音博士」というアプリを使っていた。既存の物を使うのではなく、一つの笑いのために物凄くくだらないアプリを開発するとか、それぐらいの挑戦があっても良いのではないか。
- この時代、スマホで映画が撮れるような、一人一人がクリエイターになっている時代、全く制約なしで投稿させるパターンでも意外と掘り出し物、金脈が見つかったりしないか。凄い発明が年に1本でも出てくればその価値はある。
- 凄く新しいものがもう一つ見られなかった。フジテレビのバラエティが面白かった時代は、ゲリラ的で予想外のことをどんどんやってくれたからだ。
- ハナコの岡部さんは安定して面白いと思った。特にハラスメントのコントは非常に面白かったが、個人的には、最後にハラスメントをしている人にギャフンと言わせるような展開にしてほしかった。
- 短いおしゃれな作りのコントで笑いを楽しませようという企画で、どぎつさよりもセンス・オブ・ヒューモア、そういうところを狙っているのがいい。ここは譲らないで追求していただきたい。
- ユーモアという内容について幾つか申し上げたいが、一つは批判精神と風刺。今の政治とオリンピックという中には、いろいろ隠された面白過ぎる話題があるわけだ。それに直接行かなくても、ああ、あのことかと笑ってしまう、そういう風刺が欲しい。
- 皆さんは公共的な責任を負っている。電波はフジテレビの固有のものじゃなくて、公共の何かを託されているわけだ。よし、俺たちが作り出して世の中を愉快にしてやろうと、そういう気概を持って、風刺と批判精神に満ちた、そして温かいヒューマンな笑いのために健闘していただきたい。
- ちょっと意味が分からないところが何カ所かあり、何を笑えば良いのかと頭から入ってしまったという感じで。自分はこれまで彼らの何を笑っていただろうと凄く考えてしまった。
- そこで1週間後にもう一度最初から拝見した。その時は他のことを一切考えずにただ楽しもうと思って向かい合ったのだが、率直に言って大爆笑した。面白かった。印象がガラッと変わり、老若男女どの世代がご覧になっても笑える笑い、シンプルで面白い笑いだ。
- 視聴者からの投稿というのは新しい才能を発掘する数少ない場所の一つであるし、そこからプロの芸人さんたちが発展させて笑いに昇華していくわけだが、最近ちょっと忘れかけていた。素人さんのアイデアがプロによってここまで高まることを、見せつけられる、そういうチャンスのある場所だ。
- 私が80年代に大学で研究室を持っていたころ、学生が卒論で夜まで実験しながら、たまり場で、テレビを見ていた。その時、「たけしとさんま」のコントを、ゲラゲラ笑って、それで卒論のプレッシャーを払いのけている感じがして、いいなと思った。いざ自分が『オレたちひょうきん族』を見ると、始めは何でこんなのが面白いのかと思った。ところが彼らと同じ目線で見ていると、凄く新しい、斬新な感覚をその時持った。その感覚が今回見てまた思い出された。
- 今回は異質な人たちを組み合わせて作り上げる時に、コントのネタ作りは、誰がやっているのか気になった。
- 第7世代を前面に据えるということで、自由で大物に対する忖度が存在せず、若い世代中心に見てもらえる番組になっているのではないかと思うが、きっと私の感覚も古いはずなので心配だが、果たしてしつらえやスタイルが若い世代にウケるものとなっているのか、過去のヒット番組のリバイバルに流れ過ぎていないのかはしっかり検証しつつやっていっていただきたい。
- コント一つ一つを深く理解しようと思って見たら非常にテンポが速くてついていけなかった。それを諦めて、まあコントを楽しもうと思って見たら、これは面白かった。2時間本当にゲタゲタ笑い通し。そういう意味では、70代の人にウケたことは間違いない。
- ただ、2時間隔週にやるよりは、1時間で毎週の方が本当は視聴者にとってはいいんじゃないか。
これらご意見に対して、フジテレビサイドからは以下の発言があった。
- 肩の力を抜いてもう一回見たら非常に笑えたというところが一番心に残っている。テレビはリアルタイムで見てもらう以上、一発目からその状況にさせてあげる空気感を作らなきゃというのが課題。それを気づかせていただいたのでありがたい。
- 2時間の隔週というところで進んでいくべきなのか毎週放送した方が良いかに関しては、今後議論していくべき話かなと思う。
- この番組は特に、フジテレビの制作、技術、美術に暫く眠っていたコント作りのノウハウを持っている方々が若手からベテランまで総結集し、高いモチベーションでやっている。大事にしているのは、ベタで分かりやすい、広く共感されるようなお笑いが芯。それをいかに新しい見せ方にできるかということを努力して頑張っていこうとしている最中だ。1年に一つでも何か新しいと思ってもらえるようなことをやっていきたい。
- コントのネタ作りを誰がやっているかということだが、誰か一人で作っているものではない。コントの種はある一人の作家から出てくるが、そういった種を我々スタッフがディレクターを中心にかなり会議でもみ、作る。それを現場に持ち込んで演者に見せて、演者とまたもんで作る。そういった、ドラマとは違うテレビコントの作り方、そういった形でやっている。
- 今、第二制作としては三つのコント番組を開発している。他は『ただ今、コント中。』と、ネクストバッターサークルという意味で、『Do8(ドエイト)』。
- この『新しいカギ』を成功させて、単発としてもいろんなコント番組を作って、今の世の中に豊かなお笑いを届けていけたら。
5.その他の番組、放送に対するご意見
『世界は3で出来ている』ギャラクシー賞大賞受賞について。
- 3週間で作られたと聞いているが、脚本も演出もテレビ的な技術も素晴らしくて、主演の林遣都さんも一人3役を本当に見事にこなし、発想から実際出来上がるまでの時間がとても短かったが、ゲリラ的なところがフジテレビの魅力で、まさにそういうことが高い評価に繋がった。
- これを機にフジテレビのドラマもどんどん躍進していくことを願っている。
五輪開催についての報道について
- オリンピック中止論あるいは開催論について諦めないで最後まで報道機関、言論機関としての役割を果たしていただきたい。
これに対して、フジテレビサイドからは以下の発言があった。
- つい昨日も、報道、情報のスタッフには、これだけ開催の可否については関心のあることなので、多角的に公平に意見を求めてやってほしい、ただし誹謗中傷だとか下品なことについては注意してほしいと。
- 開催の可否は、総理も国民の命と健康が大前提であると、それが守れない時には別の考え方もあるとおっしゃっているので、ぎりぎりまでコロナの感染状況、ワクチンの接種状況、諸々随時きちんと伝えていこうと思っている。
6.その他
- 人事異動に伴い、番組審議会の出席が最後となる弊社メンバーから挨拶があった。
- 次回第509回は、7月14日水曜日12時の予定。
- 審議番組は単発のバラエティ番組『千鳥の鬼レンチャン』
以上。