番組審議会
第507回 番組審議会議事録概要
1.開催日時
2021年5月12日(水)正午より
2.開催場所
東京都港区台場2-4-8
委員長以外の委員、およびフジテレビサイドの半数がテレビ会議形式で出席。
3.出席者
- 委員長
- :
- 但木敬一
- 副委員長
- :
- 毛利衛
- 委員
- :
- 梓澤和幸、井上由美子、岡室美奈子、小山薫堂、最相葉月、三浦瑠麗
- 局側
- :
- 和賀井専務、岸本専務、松村常務、金光取締役・FMH代表取締役社長、石原取締役、清水取締役、小林取締役、塚越執行役員編成制作局長、若生執行役員広報局長、矢延制作局長、大野情報制作局長、齋藤編成部長、齋藤考査・放送倫理部長、森本聡電波担当、西村週刊フジテレビ批評担当、濱情報制作センター室長、渡邊チーフプロデューサー、杉﨑プロデューサー、宮﨑プロデューサー、郡演出、小出演出、速水編成担当、柴崎執行役員番組審議室長、坪田番組審議室局長職兼部長、熊谷番組審議室
(欠席・遠藤社長)
4.議題
審議番組:「めざまし8」
2021年5月6日(木)8:00~9:50放送
その他、報告事項として
・週刊誌報道について、社の「考え」と「対応」。
各委員からは、審議番組に関して以下のような意見が出された。
- 他社との競合を考えた時に、報道的な要素、情報エンターテインメント的な要素をともに入れざるを得なかったと理解している。私見としては、統一感は司会によって出ているかと。非常によく勉強している司会が進行することによって、局アナによるボード解説だけに流れない番組になっている。
- 番組の後半にならないと一言も発する機会がないコメンテーターの方がいる。人数が多くなりがちである。制作側が不安だったりするとどうしても詰め込むのかなと。もったいない気がする。
- 『とくダネ!』の成功した部分を引き継いでいる。谷原さんは、初回から驚くほど安定、爽やかでスマートな容姿、6人の子どもがいるギャップを余すところなく表現するのに成功している。
- 視聴者がテレビに求めるものはスマートさよりも俗っぽさや毒、特にワイドショーではそういう所が顕著だが、初期の小倉さんが冒頭に長い時間喋っていたようなインパクトは今のところはない。
- 総合解説の三浦さん、それから古市さんはじめ続投の方と新規の方のバランスは良い。橋下さんについては、余りにも革新的な発言をするので、そのコーナーを支配してしまう危険性は感じている。
- 幅広さの反面、もっと掘り下げてほしいと思うこともある。ネットでも浅い情報は見られるので、密着して掘り下げるコーナーを作ることが番組の個性を出すことに繋がるのではないか。
- 『とくダネ!』のようなクセが消えて平板な番組になるのではと思っていたが、それが杞憂に終わるほど上手くいっている。
- 『めざまし8』のコンセプトは、ニュースを深く解説し、独自の生活情報なども充実させる“大人のめざまし”だと書いてある。“大人のめざまし”って何だろう、『めざまし8』は「前向き8」で振り切ったらどうか。テレビではついつい毒を価値と考え、やたらそこを笑いにすることによって大衆娯楽と言いがちだが、毒を前向きに変えることが谷原さんならできるのではないか。
- 最初にボードが二つ出て、「SNSから抽出最新ニュースワードランキング」と「AI集計記事アクセスランキング」。番組として何を伝えたいかではなくて、最大公約数的な既に視聴者が知っている話題がベース。むしろ知らないことや、普通にしていると見えてこないことを情報として伝えてほしい。
- 橋下徹さんが、政府は人流抑制と感染対策と両方やろうとしているから中途半端で、感染対策をしっかりやっているところはどんどん開いていけば良いと言ったが、そんなに簡単なことではない。そのまま聞くのではなくて突っ込んで議論にしていただきたかった。
- 感染対策にかかる費用や、数万人の選手と関係者に対する水際対策が現実的に可能なのか、変異株が蔓延しないのか等の具体性には全く言及されていない。番組として感染対策を徹底していれば良いという意見が具体性のないままに一人歩きしてしまった。
- 政府、自治体に、戦略的なコロナに対する方針と人々に希望を与えるメッセージが伝わってこず、そのことによる不安感がある。ではメディアはどうすべきか。その不安感の所以というのを忖度なしに、遠慮なしに争点を突き出すことだ。
- とすれば、スタジオに橋下さんと同じぐらいの迫力を持った「オリンピックは今中止すべき」という論者を出して、感情的ではなくて一つのディベートを考えるべきではないか。
- 橋下さんの言ったこと、即ち「感染対策をやったらオリンピックもやったら良い」というのは、フジテレビのメッセージと受け取られる流れがあった。
- これからコロナを巡って人々の窮状はもっと深刻化していく。2020年12月に厚労省がホームページに、「生活保護を受けることは国民の権利」ということを謳った。そのようなことをきちんと紹介して、人々に生きる希望を伝える、そういう大切な役割をこの時期、メディアは負っている。
- 天達さんのコーナーは『とくダネ!』以上に見応えがあって、毎回天気の移り変わり、竜巻のこと、暮らしに直結する天気の知識について学べる内容だ。富山湾の蜃気楼を話題にしていたが、私はよく分からなかった。蜃気楼のイメージは、水平線とか地平線の下にあって、普段は隠れて見えない風景や船や建物、そういうものが景色の中に浮かんでくるというものを蜃気楼と思い込んでいた。今回のような大気の気温差によって橋が延びている風景が蜃気楼というイメージが余りなかったので、もう少し説明していただきたかった。
- 12日の放送で、早期教育を行っている幼稚園を紹介した。目隠しをして音を聞きながら体操するという絶対音感教育で、集中力が養われるとか、非常にポジティブにご紹介だけして終わってしまった。早期教育は、賛否の多いテーマで、一つ一つ検証が必要な世界。一方でこれに対して専門的な観点からコメントできる人を同時に置いて議論できるような形でやってほしかった。
- 能力的には男女関係なく活躍できる人を採用すべきだが、何が報道で飛び込んでくるか分からない時にすぐコメントができるように、報道に対し色々な分かりやすい人が物を言うバランス感覚は必要。
- 谷原さんは、6人の家族持ち。5月5日、せっかく「こどもの日」で話題が出たが、谷原さんは自分の家族のことは何も言わなかった。こういう時こそ経験者の、一番特徴のあることを言ってほしかった。
- 谷原さんという毒のむしろない、非常に爽やかな人が中心で、それを永島さんが受けるという形は、それ自体非常に爽やかだ。それから、コメンテーターが物凄くたくさんその日その日で変わっていく。コメンテーターバラエティというか、いろんなタイプの人がいろんなテーマについてコメンテーターとして発言するという、面白い試みだ。
- オリンピックの話題で、やるのかやらないのかという中心的な課題がある。それは積極、消極どちらの立場もあるわけで、きちんと追いかけていって、どちらに向かっていくのが良いのか、これからも是非この番組で論議を深めていってもらいたい。
これらご意見に対して、フジテレビサイドからは以下の発言があった。
- 『とくダネ!』が持っていた良さは引き継ぎつつ、新しい時代に何か生み出していかなきゃいけないという発想で、割とプラスのイメージをキープしており、切り替えが上手くいった部分は評価してもらえて、嬉しい。
- 「前向き8」というのは非常に具体性があって、谷原さんのキャラクターが生かせることだと思った。
- 「コロナで遠慮なしに争点を突き出す」というところは非常に参考になった。
- 蜃気楼のところ、私たちも天達にそこはおんぶに抱っこという部分もあり、分かりづらかった部分はしっかりと時間をとって説明していきたい。
- 出演者の数も多いし、ネタのテーマも多く、どこが一番集中したいネタなのかをたまに見失ってしまう日がある。一つのことに特化して深く取材する、そういうところをやっていかなければいけない。
- 橋下さんのオリンピックについての意見が、フジテレビのメッセージなのかという質問があったが、そうではない。感染対策をやりながらオリンピックをやるというのが矛盾しているよねというところが浅くなってしまった、逆の意見もしっかりと紹介して、幅広い意見を紹介すべきだったと感じている。
5.報告事項
フジテレビの女性アナウンサーに関する週刊誌報道について、社の「考え」と「対応」。
- 特定の美容院から無料でサービスを受け、また、その美容院のインスタグラムに写真が上がっていたことから、ステルスマーケティングに当たるのではないかと週刊誌で報じられた。社外の第三者にヒアリングを依頼し、事実関係の詳細を確認していたが、社の考えと対応をご報告する。
- 何がステマかは、日本の法律上の定義も規則も今のところない。ちなみに、日弁連は「客観的、中立的な情報を装って、実は事業者の意図する主観的な情報を提供するという欺瞞的な情報提供」と定義し、現在、法規制を求めている最中だと聞いている。
- 今回、美容院側、個人の双方のSNSにもこのような情報提供は掲載されておらず、いわゆるステマには該当しないと考える。この部分に関しては、法律家の先生方に判断を委ねた。
- しかしながら、「対価性があるのではと疑われるような行為」については、放送人としての自覚が問われる行動であり、11日、関係者に対し、人事局から社員就業規則に則り、厳正に対応した。
- 指導が行き届いていなかったなど、社としての責任を痛感。放送に関わる人間は、真実公平を旨として自律的行動を取ることが一般の社会人、組織人以上に大きく求められていることなど、改めて確認し、社内全体で共有していきたい。
この報告に関して、委員からは以下の意見があった。
- 無料で髪を切ってもらったことが問題なのか、写真が載ったことが問題なのかというのが分からないと、また今後同じようなことが起きてしまうし、女性アナウンサー側にも不公平だという考え方が出てくる。
これに対して、フジテレビサイドからは以下の発言があった。
- 個人の権利であるところの自身のアカウントのSNSとか、会社の情報について会社がコントロールするのかとか、その辺の線引きがまだまだ曖昧な部分があったのかなと反省している。
- 今年の3月に会社にSNS対策部が作られた。今後更にガイドラインをより明確にして行きたい。
さらに委員からは以下の意見があった。
- 一つは、精神だ。テレビ局に勤めるということは報道機関、言論機関において仕事をするということ、それは一体社会的な責任としてどういうことを担って働いているのかということの、哲学だ。倫理的な高さ、エシックスの高さというのを求める。
- 「社外表現の自由」がもう一つの論点。外において個人的な意見を述べることについて会社に一々何らか気にしながら言わなきゃいけないということになるのか、それとも、もっと闊達に意見を言うようなことを確保するのか。もう一つ内部的な言論の自由、自由闊達に平等に意見が言える雰囲気をフジテレビの中に作っていくという点を是非進めていただきたい。
6.その他の番組、放送に対するご意見
『ザ・ノンフィクション』について。
- 4月に『ザ・ノンフィクション』が1000回を迎えた。1995年からやってきて、時々演出があざといと感じることもあるが、やはりこういう番組を1000回続けてこられたということに敬意を表したい。振り返りの1000回スペシャルも非常に良かった。
7.その他
- SNS対策部作成の『SNSガイドライン』について説明。
- 次回は6月9日水曜日12時の予定。
- 審議番組は金曜8時のバラエティ番組『新しいカギ』。
以上。