番組審議会

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第505回 番組審議会議事録概要

1.開催日時

2021年3月10日(水)午前11時より

2.開催場所

東京都港区台場2-4-8
委員長以外の委員、およびフジテレビサイドの一部がテレビ会議形式で出席。

3.出席者

  • 委員長
  • 但木敬一
  • 副委員長
  • 毛利衛
  • 委員
  • 梓澤和幸、井上由美子、岡室美奈子、小山薫堂、最相葉月、三浦瑠麗
  • 局側
  • 遠藤社長、岸本専務、和賀井専務、松村常務、石原取締役、清水取締役、小林取締役、金光取締役・FMH代表取締役社長、塚越執行役員編成制作局長、若生執行役員広報局長、矢延制作局長、大野情報制作局長、齋藤編成部長、齋藤考査・放送倫理部長、森本聡電波担当部長、西村週刊フジテレビ批評担当、立松制作センター局次長、武田プロデューサー、水野演出、前田編成担当、柴崎執行役員番組審議室長、坪田番組審議室担当局長兼部長、熊谷番組審議室

4.議題

審議番組:バラエティ番組「有吉ダマせたら10万円 松坂桃李・チョコプラ・猿之助参戦SP」
2021年2月6日(土)21:00~23:10放送

各委員からは、審議番組に関して以下のような意見が出された。

  • 最初の女性芸人の方がテーブルの上でとったあの姿勢で、逃げた視聴者は半分いるんじゃないか。土曜日の夜、家族が皆で見ている。青少年にとってあの場面はどうなのか。
  • 最高に良かったところは、猿之助さんと松坂桃李さんの登場。猿之助さんの、例えば大学時代の4年間というのが、生まれた時から役者をやっていたがその時は離れることができたとか、あのとぼけが笑わせるというか、名演技だった。松坂桃李さんは、現在最高の人気俳優がやる、あの味も面白かった。
  • ある下品な場面とかは、「ほら、これで面白いだろう」と、何か見ている人たちに対する『愚民視』みたいなものを感じる。視聴者に対する愛と尊敬というのを持った時に、下品にすればみんなが来るというような考え方を今は本当にやめる時期じゃないか。
  • 安藤美姫さんとオール巨人さんにフワちゃんの服を着てもらうという内容が、2人が演技をしたり何かを仕掛けているようには見えなくて、番組の趣旨が頭からちょっと分かりにくくてつまずいてしまった。
  • バカリズムさんとの相田みつを企画は、かなり高等芸だ。バカリズムさんが自分のものも評価されたいという邪念があると発言していて、自分をどこまで抑えられるか、そのぎりぎりの境界線、そこの手前で踏みとどまれるかどうかというのが非常に高等なテクニックなんだということを改めてこの対決で認識した。
  • 事実か否かは関係なく、性的経験の有無とか多寡を笑いの対象にするというのは、今は明らかにセクハラだ。学校で子どもたちのいじめのネタになりそうな、そんな際どさもある。
  • テレビは最近だんだん窮屈になってきているという制作者の方の嘆きが聞こえてくるが、不自由の自由、制約があるからこその想像力は無尽蔵に広がると私は信じている、頑張っていただきたい。
  • 市川猿之助さんは、騙し方も上手いし、何か人間力みたいなものが出て面白かった。
  • 例えば女性の芸人さんの演出によくありがちなのは、自分はモテないとか不細工とか容姿とか、わざと自分から卑下することでネタにして笑いを取ろうとするやり方。現代には合わないし、そんなやり方をしなくてもウケる笑いは作れるんじゃないかなと思うが、今回の女性芸人さんの場合は不文律や境界線はわかっているのだろうが、それでも彼女自身の自然さをそのまま生かそうとしているところがあるので、その結果としての、はちゃめちゃさを、業界も視聴者も許容しているのかなと思う。下品だという箇所には悪辣な感じもしないし、いいんじゃないかなと思う。
  • 二ついい点がある。まずは、有吉さんが騙されるか騙されないかというシンプルな構造で視聴者もどちらかを選ぶということで参加ができる王道の良さ、もう一つは、各コーナーの出演者とネタさえ新鮮なら飽きない構成にできるという点だ。
  • 今回の放送では、猿之助さんと松坂桃李さんが良かった。伝統芸能と正統派の俳優、これまでに出ていた芸人やバラエティタレント中心の出演者からは目先が変わった感じがあった。
  • 「芸能界一疑り深い有吉さん」の、その疑り深さをもう少し楽しみたい。答えを出すまでの過程を、もう少しタメを持たせて、どんなふうに疑い、どんなふうに答えを出したかの過程を、そこにもう少し毒があればさらにドキドキ感が高まって番組を楽しめる。
  • チョコプラが出てきた時から面白さにエンジンがかかり、嘘のような本当の情報と、本当のような嘘の情報のバランスをどう作り出すか、そこが面白さのポイントだと分かった。ホッカーンとアッピナーは僕も完全に騙されて、愕然とした。
  • こうしたネタの面白さに加えて、嘘をつく演者の面白さ。猿之助さんとか松坂桃李さんとか、見ていくうちにこの番組の見方が分かってきた。
  • バカリズムさんの相田みつをネタのように、有吉さんと対戦者の駆け引きの面白さも一つの番組の魅力。ファイナルアンサー的なルールがあっても良い。
  • 有吉さんが逆に嘘を見抜けなかった場合に何らかの罰ゲーム的なものを受けなければいけない、そういうものがあっても良い。
  • 正解かどうかよりも有吉さんが何をどう読んでその答えを導き出したかという有吉さんの読みを楽しむ番組だというところが新鮮だった。そこに出題者の演技とか有吉さんとの駆け引きという要素が加わってきて、視聴者もある種のスリリングな気分を味わいながら一緒に推理できるのがいい。
  • 猿之助さんのところは素晴らしかった。小手先の騙しではなくて、例えば大学時代に役者であることから解放されたといった、物語を捏造していく。みんなこういう物語には非常に弱い。こういう高度な騙しのテクニックというか、物語を捏造していく技術はもっと見たい。
  • 相田みつをならこんなことを書くだろうというバカリズムさんの解釈と、相田みつをはこういうふうに書かないんじゃないかという有吉さんの解釈が激突し、ある種の相田みつを論にもなっているし、相田みつをさんへの批評性にもなっている。そういう意味で大変知的な駆け引きで、見応えがあった。
  • バラエティ番組だが、凄くいい教育番組ではないか。騙されていくことを見破る、ストーリーを解析し、そして最終的には判断するプロセスが問われる。有吉さんが論理的に物事を考えていく、視聴者にとって教育的な部分がある番組ではないか。
  • ネタ作り等そういう類の協力をこの番組はされているのか?バカリズムさんの能力が凄いので、本当に個人で成し遂げたのかどうか教えてほしい。
  • 有吉さんという人に凄い興味を持った。持っているリズム感、だけどリズム感だけではこの番組はできなくて、論理的思考力と論理的推理力という能力が高くなければ到底こなせない。そういう能力も持ちながら、笑いで包んでいく、独特のキャラを感じて、現代に合った人とつくづく感じさせられた。

フジテレビサイドからは以下の発言があった。

  • この番組はゴールデンで 4回目を迎え、今回は特にコロナ禍で、土曜の夜に思いっきり視聴者の方に笑って頂くコンセプトをより意識して放送した。
  • 下品なことをやるべきではないのではという意見視聴者を愚民視しているわけでは全くない。フジテレビという局は80年代から2000年代まで、世間の方から調子に乗っていると思われがちの局なので、私、2001年入社だが、視聴者に不快な思いをさせたくないし、こちらの一方的な面白さを押しつけてはいけないと思いながら放送している。ただ今回の放送で委員に不快な気持ちを抱かせたことは事実なので、より一層意識を高めて放送していきたい。
  • 童貞イジりについては、出演者二人の共演歴がかなり長くて、他局の番組でも同じイジりを何度もして、バラエティとして消化できているという判断で放送した。ただ今の時代、テレビの影響力を鑑みて、ここもスタッフ一同議論すべき点だと思った。
  • この番組はゲストの方と打ち合わせをして、まず問題をゲストの方に考えてもらう。そして、バカリズムさんに至っては本当に介入していない。バカリズムさん本人が正月を返上してと言っていたが真剣に取り組んでいる。ゲストの方が番組のために問題Vを考えて、出題内容を考えて挑んできている。
  • 少し下品ではないかというところは、今バラエティを作っている上で非常に考えるところだ。芸人さんのキャラクターも含めて今回は放送したが、もう少し時間帯も含めて考えていかないといけない。
  • 私は有吉さんと10年以上一緒に仕事をしているので、彼にどういう観察眼があるかというのを間近で見てきたので、それが番組に生きることを考えてやっていきたい。
  • 下品があるということは上品もある。下品と上品はセット、そういう対抗軸。これは軸としてあってもいいと思う。ただ、下品なものは普通なものより、より採点が辛くなる、クオリティが高くないと評価されない。
  • 80年代、90年代になるとフジテレビが下品の旗手になってしまった時期があるが、下品というのは生き残ってもいい。ただしクオリティが高くないと。バラエティの諸君にはぜひ、クオリティの高い下品をやって頂きたい。

5.その他の番組、放送に対するご意見

(1)コロナ感染とオリンピックというテーマについて

  • 世論調査では80%ぐらいが、世界と日本の感染状況を見て、今夏のオリンピックは中止延期した方がいいという意見。しかし各メディアが今もなおオリンピックをやるべきだと発言している。少なくとも賛否相半ばしている問題についてはイシュー、論点化することが今の放送法に照らしての役割だ。

ご意見に対して、フジテレビサイドから以下の発言があった。

  • 問題提起をしていないという意識はない。1年延期の段階から我々は時間軸で都度報道してきたし、報道番組や情報番組では、それぞれの論客の方から開催か中止あるいは延期かの意見をいただいている。バランスは取ってやってきたつもりだ。
  • 世論調査一つとっても、中止と延期ということで様々な解釈はあるが、その解釈の違いそのものも扱ってきた。時間軸に沿ってその状態、事実をきちんと伝えていくということしかない。

(2)東日本大震災特番のゴールデン帯の放送予定について

  • 明日3月11日で震災から10年という大変大きな節目を迎える。民放とNHKで共同プロジェクトが発足したのは大変素晴らしいことだ。フジテレビでも『わ・す・れ・な・い 未来 10年目の総検証』という番組が予定されていて、大変楽しみにしている。ただ15時15分から16時50分の放送だ。こういう番組をなぜ11日のゴールデンタイムでやらないのか。

ご意見に対して、フジテレビサイドから以下の発言があった。

  • 報道番組、情報番組において、当日だけではなくて既に1カ月近く前から各番組で取り上げている。7日の『Mr.サンデー』、1時間前拡大をして21時から放送した。非常に良くできた力作だと思っている。
  • 11日は『めざましテレビ』から夕方の『イット!』まで特番対応する。その中で地震が発生した14時46分に一番近い時間帯で『わ・す・れ・な・い~10年の全記録』を放送する編成になっている。
  • NHKと民放の共同企画の締めとしては、14日日曜日に伊藤アナ、当社からは官邸キャップの記者が参加し、各局の記者やディレクターと一緒に討論会を開く。災害報道でテレビは何ができるのかを強く意識して、番組作り、NHK、民放、系列局を含めてやっている。

6.報告事項

報告事項(1) 組織改編について

  • 3月8日付で当社組織の一部変更を行った。まず1点目は、これまで社内に分散していたメディアコンテンツ関連部門を集約し、改めてトータルの戦略の下での総合的なコンテンツビジネスを行っていく形を作った。縦割りではない総合的なコンテンツビジネスを構築して収益の最大化を図っていくことが狙い。
  • 一方で、デジタル社会において多様化するコンプライアンスにしっかりと対応していくことで、コンプライアンス関連組織を整備した。総務局の中にコンテンツ・コンプライアンス室を新設して、当社が放送、配信するコンテンツのコンプライアンスリスクに対して全社的な窓口として機能させることと、リスクの予防対策等、制作に寄り添った支援を行う。SNS対策部を設置して、SNS上のリスクマネジメント業務を行う。

報告を受けて、委員から以下の発言があった。

  • 番組審議会で論議した結果が総務局の中にコンテンツ・コンプライアンス室ができ、SNS対策部ができることになった。これらについては各委員の論議がそれなりの形で出来上がったので今後を見守りたいと思う。

報告事項(2) 4月改編について

  • 4月改編の目玉は、22年間続いた『とくダネ!』が終了し『めざまし8』がスタートする。MCは谷原章介さんと、永島優美アナ。
  • 金曜日20時は『新しいカギ』というコント番組。
  • 連続ドラマは、月9が竹野内豊さんと黒木華さんの『イチケイのカラス』。木曜10時は『レンアイ漫画家』。鈴木亮平さんと吉岡里帆さんの恋愛ドラマ。

7.その他

  • 次回は4月14日水曜日12時の予定。
  • 審議番組は月9ドラマ『イチケイのカラス』
  • 開催方法については、後日決定の上連絡する。

以上。