番組審議会

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第504回 番組審議会議事録概要

1.開催日時

2021年2月10日(水)午後0時より

2.開催場所

東京都港区台場2-4-8
委員長以外の委員、およびフジテレビサイドの一部がテレビ会議形式で出席。

3.出席者

  • 委員長
  • 但木敬一(リポート出席)
  • 副委員長
  • 毛利衛
  • 委員
  • 梓澤和幸、岡室美奈子、最相葉月、三浦瑠麗、小山薫堂(リポート出席)
  • 局側
  • 遠藤社長、岸本専務、和賀井専務、松村常務、石原取締役、清水取締役、塚越執行役員編成制作局長、若生執行役員広報局長、矢延制作局長、大野情報制作局長、加納報道センター室長、齋藤編成部長、齋藤考査・放送倫理部長、森本聡電波担当部長、西村週刊フジテレビ批評担当、春名編成部企画担当、坪井プロデューサー、柴崎執行役員番組審議室長、坪田番組審議室担当局長兼部長、熊谷番組審議室

4.議題

審議テーマ:バラエティ番組「突然ですが占ってもいいですか?SP」
*ほかに報告事項として
(1)『超逆境クイズバトル!!99人の壁』解答権のないエキストラ補充に関する意見について
=BPO放送倫理検証委員会委員会決定=
(2)FNN・産経新聞合同世論調査の再開について

各委員からは、審議番組に関して以下のような意見が出された。

  • この番組は、未来のことというよりは過去のことが中心。これは占いというフォーマットを借りながら、芸能人から普段聞けないプライベートな話を聞き出すスペシャル番組と、こちらの認識を修正した。
  • 占いが余りに当たっているので、どんどん心を開いてプライベートなことを打ち明け話のように喋っていく。そこが非常に面白いと思った。占い師の心を開かせる技術、誘導して本人に語らせる、その技術、話術が凄い。
  • 一方、どこか視聴者の覗き見趣味を満足させている気もする。今回は若手で、御しやすそうな人が相手。若い人たちを相手にして、プライバシーや内面にずかずか踏み込んでいくような感じもあって、あまり気持ちが良くなかった。
  • もっと手強い人、例えば年上で簡単に内面を見せそうではないような人と対決してほしい。
  • 占いは本来、当たるも八卦当たらぬも八卦のグレーゾーン。普段私たちは、いろんなことの二分法にさらされている。事実であるとか事実でないとか。占いはどちらでもないグレーゾーンに属するからこそ面白い。当たり過ぎる占いはかえって胡散臭くて、もっとグレーだからこその魅力を見せてほしい。
  • 占いを一つの売りにしている以上、予め占い師が知らなかったところを、占いの力で当てた時に、占われる方の驚きの表情と視聴者の驚きが一致する、その時に番組が成り立っている。番組の信頼の前提がある。その信頼の前提が崩れた時に、バラエティ番組であっても倫理的な問題が提起される。
  • 占い師だったか祈祷師だったか、その人の言うことを信じて親族関係が破壊されてしまった事例を私は複数知っている。助言を正直に受け取ってしまったために家族が破壊されてしまった例もある。
  • よって、時に触れて番組の中で、科学的に占いというものはそもそもどういうものであるか、一つの古典として成り立っている精神世界に対する見識を、落ち着いた感じで、番組の中に組み込むことだ。
  • 民放連の放送基準の第8章「表現上の配慮」の54項に、「占い、運勢判断およびこれに類するものは、断定したり、無理に信じさせたりするような取り扱いはしない。」と書かれている。「現代人の良識から見て非科学的な迷信や、これに類する人相、手相、骨相、印相、家相、墓相、風水、運命・運勢鑑定、霊感、霊能等を取り上げる場合は、これを断定的に取り扱わない。ただし、伝説を取り上げるのはさしつかえないが、その場合、誤解のないように注意する。」とつけ加えられている。
  • 何かに迷っている時に、大丈夫です、あなたのお爺さんが見守ってくれているとか、今はまだ待った方がいいとか、強く自信のある言葉で決めつけられると、そうだと決心が促される。これは勇気を持ったり励まされたりする一方で、ある種洗脳的なところに入っていく手口でもある。そういう危険性も非常にある。
  • インターネットなどで情報収集も可能になってきたので、結婚や離婚、親の死、どこどこへ旅行したとかデビューした頃の苦労もある程度は調べることは可能なので、占いなのかリサーチの結果なのかということもきっちり分けて扱わないとトラブルになる危険性はある。
  • 逆に、当たらないことも含めて可視化されながら、ある種のエンタメ番組として提供するという形であれば、ぎりぎりセーフかなと思う。でも当たり過ぎていて、正直、占星術にハマる人がどんどんのめり込むような番組になっていやしないか。そこが、番組の説明責任としてちょっと危うさを感じる。
  • 占われる側にもう少し自分の言葉を持っている人を出演させないと難しい。相手と対立を避けようとして、傷つかないようにするために、ある程度おもねることになる。そういう場面において、占い師の言っていることを、いや、そういうわけじゃないけどと、補足することができる、ある程度自分の言葉を持っているタレントさんを出さないと、そうしないと番組がつまらなくなるという部分も含め、占い師の言葉の方が強くなってしまって自分語りの印象が残らない。難しいがそこのバランスは考えた方がいい。
  • 誰もが興味のある「占い」を番組の軸にして、人生の知られざる一面を見せていくドキュメンタリーは、一つの発明だ。占い師と向き合うことで、自ら秘めていた生い立ちや考えをゲスト自ら語り、引き出すという番組構成は秀逸。
  • ゲストを占うための資料として、番組からどのようなものを渡しているのか?出演するゲストとの打ち合わせで、どのようなリサーチが行われているのか?それらリサーチや、渡す資料の内容次第で、よからぬ噂を立てられたり、中傷記事を書かれるきっかけになるリスクがある。
  • 人生には起伏があり、何歳の頃にいいことがあった、悪いことがあったとか問われれば、それなりに思いつくことはある。ただ1歳のころ死ぬような目に遭いましたね、高2のころ人生の一大転機がありましたね、2017年に大きな不運がありましたねなど、生死にかかわる病気や人生を変えた母親の死、好きだった祖父の死などが生じた年を特定して話を聞き出したのにも、驚嘆した。
  • 占いは一種の心理的マジックなのだ。占いによって相手にマジックをかけ、思いもよらない話をさせる。それは確かに新しいトークショーなのかもしれないが、実力のある占い師でなければ、この役は務まらない。いろんな分野からの異能の人を見つけ出し、新しい放送分野を広げてゆく。心から応援している。
  • 昨年の4月から放送で、最初は一般の方を対象に占っていたようだが、コロナ禍での撮影の難しさということで、スタジオに芸能人をゲストとして呼ぶようになったようだが、かえって一般の方を相手にするよりも、芸能人を相手にした方が対談が活発になって面白い脚色ができると感じた。

フジテレビサイドからは以下の発言があった。

  • 占いというものを入り口にしていろんな人の人生ドラマとか、例えば芸能人だと知られざる素顔だったり、そんなものがいろいろと出てくるトークショーだと思っている。占いが入り口にはなっているが、当たるものもあれば当たらないものもあって、そこがトークの起点となる番組。
  • 事前取材、情報収集をしているのかという点は、端的に言うと全くしていない。事前にしていることは、占い師に対して、今度、芸能人の誰々さんを占うという出演者の情報を渡している。芸名の方は漢字の本名、生年月日、わかるようであれば生まれた正確な時間、大体の時間でもいいからわかれば伝えている。こちらから占い師に伝えている情報は以上。
  • 一般の方を占った時にも、できる限り、あくまでもこれは自分の占いの中だけれども、と話すようにと、占い師にも伝えていると同時に、占いが終わった後も、所詮占いでしかないので行動される場合はご自身で判断をして、再考して、自分の信頼できる人がいるのであればその人の意見も聞いて、そして行動してくださいということは手厚く伝えている。
  • 例えば昨年の9月に橋下徹さんもキャスティングした。橋下さんは占いが大嫌い、全く信じないというスタンスでいて、言われたことは、「ウィキペディアで調べればわかること」というところも放送して、番組としては一辺倒になっていないというスタンス。今後もそういった方々に出ていただいて、そんな意見も番組に反映できたらと思っている。

更に委員から、以下のような発言があった。

  • 審議委員の危機感が担当の方に伝わっていないのではないか。個々の出演者に対して、これはあくまで占いですよと言うだけではなくて、見ている不特定多数の人に向かって、これが占いであるということを時に触れて示すことが番組の責任としてあるのではないかということを再度申し上げておきたい。
  • 局として事前取材をしていなくても、占い師さんが何らかの情報収集をしている場合に、それが占いじゃないんじゃないかという話が出た時に、局としてうちでは事前取材、情報収集していないから大丈夫ですと言い切れるのか。

フジテレビサイドからは以下の発言があった。

  • こういう番組を放送するたびに必ず、「それってネットで調べればすぐ出る情報じゃないか」というような、特にSNSでの批判は毎回凄く多い。占い師も、「そういうところに載らないような情報を私はむしろ当てたい」と思っていて、逆に奮起して占っている。

5.報告事項

(1)BPO放送倫理検証委員会が公表した『超逆境クイズバトル!!99人の壁』解答権のないエキストラ補充に関する意見について。

  • 1人対99人のガチンコのクイズバトルであると謳いながら、レギュラー第1回から25回まで、欠員のため、解答権のないエキストラを出場させ、視聴者との約束を裏切り、放送倫理違反はあった。
  • 一方、委員会からは、実現不可能に思える企画への挑戦こそ新しいものを生み出す原動力、そのためのリスクの十分な検討と挑戦をバックアップする体制づくりこそ、様々な経験を積んできた人たちの腕の見せどころだ。力のある人材が放送界に夢を抱いて参入してくるように、新しい才能を掘り起こす試みと、伸び伸び育てる体制の模索を続けてほしいという言葉もいただいている。
  • 現在、『99人の壁』は、先週もアニソン知識王決定戦など一つのテーマに絞るなど、企画内容の変更、それから99人に満たない場合は番組内で実数を申告、制作体制の変更など再発防止を徹底している。改めてこの委員会決定を真摯に受け止め、よりよい番組作りに努めてまいりたい。

(2)FNN・産経新聞合同世論調査の再開について

  • 再開した世論調査は、1月23日土曜日そして24日に調査を実施し、結果を翌25日月曜日の昼の『Live News days』そして夕方の『Live News イット!』などで放送した。
  • 調査当日は、コールセンターにフジテレビと産経新聞の担当者が開始から終了まで立ち会い、監督した。立ち会ったのは、世論調査担当部署を強化するために新設した選挙・世論分析本部のメンバー。
  • 今回は架電、電話をかけないと調査票に入力できないシステムを導入した。その上で、コールセンターでは、調査会社のスタッフが、回答どおりに入力されているかモニタリングし、また、コールセンターとは別に、調査会社の本社では、オンラインシステムを使って回答者の内容と入力の内容の照合をリアルタイムで同時に行っている。
  • 調査後、個人が特定できない形で電話記録、架電記録等回答データを調査会社から受け取り、フジテレビと産経新聞の担当者が全て突合、確認した。以上のような四重五重のチェックを経た後、世論調査結果を1月25日月曜日、昼ニュース以降放送した。なお、調査は、不正が発覚した2社とは別の調査会社だ。今後、この合同世論調査は、原則毎月1回実施する予定、不正防止策を徹底して、視聴者の信頼回復に努めていきたい。

番組審議会当日(2月10日)13時半に、『フジテレビ「架空データが含まれた一連の世論調査報道」に関する意見』が、BPO放送倫理検証委員会より、通知公表され、情報解禁の時間に報告が行われた。

  • フジテレビは、架空データが含まれた世論調査の結果を正しい世論調査として放送し、事実に反する情報を視聴者に伝えた。この点において、本件放送は、日本民間放送連盟とNHKが1996年に定めた放送倫理基本綱領の「報道は、事実を客観的かつ正確、公平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない」に反し、また、民放連の放送基準の冒頭に明記された「世論を尊び」および「正確で迅速な報道」に反し、さらに放送基準の第32条「ニュースは市民の知る権利へ奉仕するものであり、事実に基づいて報道し、公正でなければならない」に反している。
  • もとよりフジテレビは架空データ作成に関与しておらず、本件放送において意図的な作為もなかった。しかし、世論調査の業務を委託先の調査会社に任せたままにし、架空データが含まれた世論調査報道を1年余りにわたり、合計18本放送したものであり、市民の信頼を大きく裏切ったものである。また、他の報道機関による世論調査の信頼性に影響を及ぼしたことも否めない。
  • 以上のことから、委員会は、本件放送には重大な放送倫理違反があったと判断する。
  • 極めて重い決定が下された。我々にも、立ち会いをしなかったとか、再委託が見抜けなかったという重大な手抜かりがあったので、この意見を極めて重く受け止め、不正防止策を徹底して視聴者の信頼回復を図っていきたい。

6.その他

  • 次回の第505回番組審議会は3月10日(水)。11時からの開会。
  • 審議番組は、バラエティ番組『有吉ダマせたら10万円』
  • 開催方法については、後日決定の上連絡する。

以上。