番組審議会

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第502回 番組審議会議事録概要

1.開催日時

2020年 11月18日(水)午後0時より

2.開催場所

東京都港区台場2-4-8 フジテレビ本社

3.出席者

  • 委員長
  • 但木敬一(リポート提出)
  • 副委員長
  • 毛利衛
  • 委員
  • 梓澤和幸、井上由美子、岡室美奈子、小山薫堂、最相葉月、三浦瑠麗
  • 局側
  • 遠藤社長、岸本専務、和賀井専務、松村常務、石原取締役、清水取締役、小林取締役、金光取締役・FMH社長、塚越執行役員編成制作局長、若生執行役員広報局長、矢延制作局長、山口報道局長、大野情報制作局長、齋藤編成部長、森本電波担当部長、齋藤考査・放送倫理部長、西村週刊フジテレビ批評担当、蓮沼チーフプロデューサー、黑﨑チーフディレクター、友岡局長、吉田豪室長、岡専任局次長、吉田博章部長、鎌瀬編成担当、柴崎執行役員番組審議室長、坪田番組審議室担当局長兼部長、熊谷番組審議室

4.議題

審議番組:スポーツニュース番組「S-PARK」
2020年11月8日(日)23:15~24:30放送
*ほかに報告事項として
(1)BPO放送倫理検証委員会:委員長談話「番組内容が広告放送と誤解される問題について」
(2)BPO放送人権委員会「大縄跳び禁止報道に対する申し立て」委員会決定

冒頭、井上由美子委員の紫綬褒章受章に関して、お祝いと花束贈呈があった。

各委員からは、審議番組に関して以下のような意見が出された。

  • 延期された東京オリンピックをスポーツ選手がモチベーションを維持しつつ、医療関係者や世間に遠慮しながら、「でも自分たちはやりたいんだ」との思いを、明るく適切に表現できる放送であったことは非常に素晴らしかった。
  • 新型コロナで患者数が増えたり、海外で騒乱のようなデモが起こると、オリンピックは大丈夫なのかといったニュースを扱うことが多いが、オリンピックを自分事として考える人が少ないのと、特定の政治家がどう思っているかに引きずられてしまいがちで、その場の雰囲気に引きずられた番組作りになってしまう場合が、他局を見ていても多い。
  • 土曜日曜の週末、スポーツを試合結果だけではなくて、じっくり楽しむ番組として、フジテレビの編成的にもスポーツ界にとっても、いい役割を果たしている番組ではないか。
  • 内村選手の試合後の率直なインタビューで、「コロナでもどうすれば五輪ができるのかを考えてほしい」と訴えたのを受けて、コロナ対策に照準を合わせた取材結果がとてもよく整理されていた。特に内村選手のインタビューとそれらにまつわる情報をカットバックしているところが無理なくて、インタビュー後の短い時間で作ったにしてはとても練られた構成だと感心した。
  • 全体的に、ニュース以上ドキュメンタリー未満の情報をテンポよく見られて、スポーツ情報番組としてちょっとお得感があって、成功している。
  • もうちょっとキャスターなりの感想を聞いてみたいし、番組を背負わせる感じがあってもいいのではないか。
  • スポーツニュースとしては、安心して見られる誠実な作りの番組。特に内村選手のインタビューは時代の機運を変えるような力があってよかった。
  • 欲を言うならば、『S-PARK』、『スポーツパーク』というタイトルがついているので、これまでのスポーツニュースを打ち破るような全く新しい考え方はないのかと。今、世の中はスポーツというものに非常に関心が高く、そこから人々の暮らしに展開させるライフスタイルに持っていくような作り方ができたら、スポーツニュースを超えた新しいジャンルの番組になる。
  • 昔の『プロ野球ニュース』の頃のように、放っておいてもみんながスポーツ番組を見る時代では既になくなって、如何にスポーツを面白く見せるか、如何に若い視聴者を獲得するかを追求していて、その努力が伝わってきた。
  • 私自身は、ワクチンが間に合わない限りオリンピック開催は難しいと思っているが、内村選手の誠実な言葉と効果的な演出で、オリンピックを応援しなくてはという気分にさせられたので、戦略としては成功したのではないか。
  • 国民の安全上、非常に毒性の高いウイルスが感染している地域からも人を受け入れることが、どういうことになるのか。選手に対しては仮に安全対策、感染防止対策ができるとしても、もし観客を外国から入れるとなると大変なことで、オリンピック開催が当然という考え方に対して、これでもいいのか?という懸念を取材して出すという観点も必要なのではないか。
  • 内村航平選手の発言は、選手やアスリートの思いは、オリンピックは4年に一遍であり、人生がかかっている、そういう思いを持っているのは当然のこと。その思いをメディアや政治がどのように位置づけて取り扱うかは、これはこれで別な問題で、もし、世間がこういう選手の発言でぐっと動くことがあっていいのかということに大きな懸念を持った。
  • 『S-PARK』を拝見して思ったのは、やっぱり野球コーナー強いということ。徹底深掘りで立浪が、「S-PARKカメラさん、セカンドとショートの守備位置にクローズアップしてください」と指示し、ダブルプレーが起こるかもしれないことを視聴者に注意喚起した。その瞬間スパンジェンバーグがエラーして、極限状態の選手というのは、一流の選手でもこんなミスをしてガタガタと崩れていく、でもそれもスポーツの醍醐味だと思うが、あれは非常に面白い瞬間。
  • 土曜日は早慶戦の早稲田の応援団にクローズアップしていた。応援団は学生席にいて声を上げ踊って観客の応援を喚起する役割があるが、コロナの影響で外野席にぽつんと応援団がいて、見ていて寂しそうで気の毒だった。応援もスポーツの一側面であるので、注目していただきたい。
  • メインキャスターも解説者も初々しさが感じられ、好感が持てた。トピックスによって凸凹はあるが、切り口や焦点の当て方が面白いものが多く、興味をそそられた。
  • 例えば、内村選手がアスリートとしては珍しく、80%の消極世論を前提としながら、「オリンピックやってほしいよね」という世論に変わってほしいと述べ、どうしたらできるかを考えるようになって欲しいと明確な要望を宣明した。これを言うために、国際大会の場であれだけ完璧に近い演技をしたのだと思うと、自分も「オリンピックやってほしいよね」と言い出してやらなければいけないのかなあと思えた。内村の「めちゃくちゃ楽しかった」という言葉の中に、アスリートたちが今置かれている立場の切なさが見事に滲み出ていて、深掘りに成功した企画だ。
  • 佐々木信也キャスターの『プロ野球ニュース』は楽しみで見ていたし、フジテレビがスポーツニュースに非常に優れて、その伝統が引き続き発揮されている感じがした。『S-PARK』は、視聴者は恐らく若者が多いと思うが、それに合わせて内容をシフトしつつ、洗練されているという伝統があるのは凄く強み。

委員の意見を受けて、制作サイドから以下の発言があった。

  • スポーツの結果はもちろん、魅力や面白さ、熱を伝えることを大事にしている。中でも大事にしているのは、なぜ勝てたのか、なぜ強いのかなど、「なぜ」に応えること。情報量をどこよりも多く、一歩踏み込んでいくこと。二つ目は、生の情報番組として旬な選手、旬なニュース、旬な企画に拘ること。最後は、ネットが台頭してくる中で、正確に適切に伝え正しい情報が得られる信頼を大事にすること。
  • 視聴ターゲットに関しては、まずはスポーツ好きを満足させるのが大前提。その一方で、近年は若年層やライト層に対する発信も課題となっているので、意識している。
  • どうしてもスポーツは技術論で満足しがちなところがあり、その人に迫る、人間に迫る、そういったものをもっと考える企画にしたい。
  • 内村選手のインタビューも、当初は、ブレットシュナイダーという新しい技に関して聞く予定だったが、試合後の場内インタビュー(アスリートとしての東京五輪開催への思い)が非常に印象的で、もうそこで全て構成を変えてオリンピックの開催に関して喋っている方にシフトしようと、当日の判断であのような構成にした。

その他の番組、放送に対するご意見。
「バイキングMORE」での学術会議メンバーの年金報道、その後について。

  • 前回申し上げた解説委員のコメントについて。比較的曖昧な修正が行われた件についての今後の方針であるとか、あるいは、報道とこういった情報的な番組での扱いでどのように連携があったのかとか、フジテレビのお考えを伺いたい。

これに関して、フジテレビサイドから以下の発言があった。

  • ネット上の情報の事実確認を怠っていたということで、その時点では口頭の注意をしている。
  • 実は、今月11日にも、同解説委員がFNNプライムオンラインで配信したコラム記事の中で、アメリカの有力世論調査サイトがペンシルベニア州のバイデン候補の当確を取り消した結果、バイデン候補が獲得した選挙人は過半数の270人を下回ったという内容を伝えた。この当該の世論調査サイトは、もともとバイデン候補にペンシルベニア州での当確を出しておらず、つまり、記事内容が間違っていた。FNNプライムオンラインは、その日の夕方に訂正文を付け加えた修正原稿に差し替えた後、6時間後の午前0時にその記事の配信を終了した。
  • 本人は間違いを認め反省しているが、日本学術会議の問題と間を置かずに、同じようにネット上の情報の確認を怠り、確認をできていないというような構造で誤った記事内容を出してしまっており、見過ごすことのできない事態だと考え、改めて厳重注意をした上で、当面の間、番組出演とオンライン記事の出稿を停止する処分とした。

委員からは、さらに以下の発言があった。

  • そもそもネット記事が出るようになってから、各社の記事の質というのは、ファクトチェックがきかない。一昨日は、ロイターがオーストリアの記事を、クルツ首相と明確に書いてあるのに、なぜかシドニーのオペラハウスの写真を使ったり。結構そういうことはフジテレビに限らずある。そもそも他の外部コメンテーター、外部執筆者はたくさん誤った情報を伝えていることにも目を向けるべき。なので、社員だけを処分するというよりも再発防止の方が適当な行動ではないか。
  • 報道でも情報でもいろんなテロップミスなどがあるが、それと同じ感覚でしっかりオンライン記事も修正していくということが必要ではないか。逆に言うと、修正ありきだ。ニューヨーク・タイムズが、次期副大統領になるカマラ・ハリスさんが初の女性副大統領候補であるとか、誤った記事を出した。そういう間違いは各社しているので、修正履歴がわかるようにした方がいいのではないか。何月何日何時訂正とかというやり方がインターネット時代には向いているのか。

これを受けて、フジテレビサイドからは以下の発言があった。

  • ご指摘のとおり、社員の解説委員と外部のコメンテーターの方と二つ重層的な問題だと思うが、まず、身内の者からしっかり引き締めていく。解説委員室のメンバーには、信頼性とか公平性とかいうことを地上波放送の報道機関としての立場と整合性のとれるようなことでやっていこうということを改めて話をした。その上で、ご指摘のようないろいろなオンライン上のことに応用編で対応していくというふうに考えている。
  • やはり事実を追求していくことに最大限の精力を傾注していく。それはネットニュースだろうが、地上波の報道番組だろうが変わらない。
報告事項

(1)BPO放送倫理検証委員会委員長談話
「番組内容が広告放送と誤解される問題について」、報告があった。

  • 放送倫理検証委員会は、10月30日、民放連加盟各社及び民放連に対する要望を含めてこの問題に関する委員の総意を委員長談話として公表した。
  • 3ページ半にわたる「番組内容が広告放送と誤解される問題について」と題する委員長談話は、「放送事業者や民放連が、委員会がこれまで示してきた基本的な考え方を参照し、自ら問題点を整理したうえで、自らの手で処方箋を出すことが望ましいものと考える。」また、「番組と広告の識別の意義を踏まえ、現場の声にも耳を傾けながら、『総合的に判断する』姿勢を深化させる取り組みを実行することを期待する。」と、自主自律の取り組みを見守るというような要望が述べられている。

この「委員長談話」について、局サイドから発言があった。

  • 大変難しい問題、そして大変重要な問題だと認識している。あらゆる番組で、その番組の内容を見て、視聴者がそれを広告だと思う可能性を絶えず秘めていると思う。つまり、それを情報として我々は出していても、それが広告というふうに受け取られてしまうというようなことが起こりえるということ。
  • このテーマに関しては、「委員長談話」にあったとおり、民放連の放送基準審議会の考え方と連携、そして共有しつつ、慎重に的確に議論を深めながら判断していきたいと考えている。

(2)BPO放送人権委員会「大縄跳び禁止報道に対する申し立て」委員会決定について、報告があった。

  • 申立人が訴えるような事実は認められない、問題はなしとの見解が示されたが、その上で、街頭インタビューの際には取材趣旨の説明など、より慎重な取材を行うことが望ましいという但し書きがあった。今後より一層慎重かつ丁寧な番組作りに励んでまいりたい。

  • 12月は休会
  • 次回は1月13日水曜日、詳細は後日連絡予定。
  • 審議テーマは、「テレビの役割、ネットの役割」。

以上。