番組審議会

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第495回 番組審議会議事録概要

1.開催日時

令和2年 3月11日(水)正午より

2.開催場所

東京都港区台場2-4-8 フジテレビ本社

3.出席者

  • 委員長
  • 但木敬一
  • 副委員長
  • 毛利衛
  • 委員
  • 梓澤和幸、井上由美子、岡室美奈子、小山薫堂、最相葉月、増田宗昭、三浦瑠麗
  • 局側
  • 遠藤社長、岸本専務、和賀井専務、松村常務、石原取締役、小林取締役、塚越執行役員編成制作局長、山口報道局長、大野情報制作局長、西村週刊フジテレビ批評担当、濱情報制作センター室長、渡邊チーフプロデューサー、宮﨑プロデューサー兼編集長、光安プロデューサー、柴崎執行役員番組審議室長、坪田番組審議室担当局長兼部長、熊谷番組審議室

4.議題

『とくダネ!』
2020年3月5日(木)8:00~9:50放送

各委員からは、審議番組に関して以下のような意見が出された。

  • 一部他局は、ずっとコロナをやり続けているが、あればかりを見ている気分が塞いでくる。一方で『とくダネ』では「コロナに負けるな!」シリーズで家庭での学校休校期間の過ごし方について工夫を取り入れてがんばる姿を伝えており、凄く大切だと感じた。
  • 疫学の専門家に、この数字はどういう調査で割り出されているもので、各国でカウントの仕方に違いがあるのであれば、どういう違いなのか。日本が少ないのはこういう背景があるからなんだと、きっちり説明していただきたい。
  • スペシャルキャスターの役割については、小倉さんの発言の中和、会話を引き戻すとか、上手くバランスを取れる関係性でやっている。今回、伊藤アナウンサーが連日次々と複雑な課題をこなされていて物凄く大変なので、もう少しスペシャルキャスターが前に出て話されてもいい。
  • コロナウイルスの電子顕微鏡の写真が出るときに必ずおどろおどろしいBGMが流れる。もっと違う見せ方を工夫していただきたい。
  • 「コロナに負けるな!」のコーナーは、ちょっと明るい話題、こういった取り組みもあるという前向きな紹介コーナー。ただ、そこにおいても困難を併せて報じて欲しい。子どもだけが、今抑圧され行動制限をかけられている。子どもは体を動かさないと辛いことを、情報番組で周知していただきたい。母親にあまり完璧主義にならないよう圧迫を与えない作りにしていただきたい。
  • トイレットペーパー騒ぎは、買い占める人が出たという報道によって起きた。メディアが騒ぎを拡大した。報道がもたらした影響について内部で常に話し合っていただきたい。
  • 専門家の目利きが一番大きな問題だ。何人かの感染症の専門家の方と共演したが、出演回数を重ねて他局にも飛び回っている内に言うことが変わってくる。どんどん過激になる。
  • メディアが今後も新型コロナウイルスで社会に対して悪影響を及ぼさないためには、検査に関してはしっかりとイタリアなどの失敗事例を研究して、どういった専門家のコメントを採用するのか、また人選においても気をつけて頂きたい。
  • 何年か前に、日本人の脚本家が脚本を書いて韓国の監督が撮るプロジェクトにおいて、「何で日本人はあんなにワイドショーが好きなのか?」と言われた。そこにいたアメリカ人も、「アメリカでもこういう形式のものは余りない。なぜならアメリカでも韓国でも自分の意見を持っているから」と。日本人は自分の意見を言うのが苦手なので、コメンテーターの意見を聞いた上で、物事をどう見たらいいかを考えるのではないか、との意見が多くあった。
  • 今ワイドショーの頭15分は朝ドラの裏になることを勘案しても、冒頭の芸能ネタは適当ではない。週刊文春の後追いというのは、視聴者にも見抜かれる。朝ドラを避けるのではなく、むしろ朝ドラにぶつけるネタ作りをやっていく構成方法もあるのでは。
  • これだけ毎日同じニュースをやっている中で独自の情報を出していくのは本当に難しく、重要になってくるのはスタジオの作り方であり、コメンテーターやゲストが同じ情報からどれだけ深い見方、紋切り型ではない考え方を提示できるかになっていくのではないか。
  • 昨今のムーブメントの種は、ネットで生まれてそれをテレビが拡散させているというスタイル。かつてはテレビからいろんなムーブメントが生まれていた。こういうときだからこそテレビ発で何かコロナの動き、皆さんのムーブメントを作れたらいいと思う。
  • スペシャルキャスターの古市さんが「Surprise」というコーナーをやっていたが、無理やり役割を作らされているという印象。本人がやりたいという企画をちゃんとやった方が良い。
  • この番組の財産は、『とくダネ!』というタイトルだ。全てのスタッフが特ダネを探そうという意識があるかどうかという点に尽きる。もし小さな特ダネを全てのスタッフがスクープしていくという気持ちで番組を作っていったら、きっと番組の色が出てくる。
  • 基本的に、既に起こった事象や現象を伝えているだけのように見えた。そういうことは、ネット配信ニュースなどでも簡単に見られる。今求められているのはコロナ対策の有益な情報であって、芸能ゴシップではない。
  • トップニュースが、芸能ネタというのはあり得ない。リアルタイムで最初から視聴していたが、3分ぐらいのところで我慢できなくなって、一旦チャンネルを変えた。本当にもったいないと感じた。
  • こういう緊急の時ほど、よく取材して厳選された確かな情報をテレビは発信してほしい。特に情報番組には、ネットで見られるような小ネタ的なニュースではなくて、正確かつ有益な情報を教えていただきたい。
  • 視聴者の深層心理の中に、極端に言えば「落ち着いたら風邪だったのではないか」「感染力はあるけど何でこんなに大騒ぎしているのか」等がどこかにある。そういう深層心理に対する答えをどの局も出していない。その深層心理に対して『とくダネ』的なファクトの提示やものの見方とか、スパッと切り口のある人、今モノ凄く日本人は求めていると思う。
  • ネットでもテレビでもいろんな情報が飛び交っているが、それをこうなるかもしれないからという仮説、終息に向かうにはこれが一番大事とか、この数字が一番恐ろしいといった仮説を持って数字を語る人が凄く少ない。
  • 編集、自己審査、取材という莫大な組織的力量を持ったマスメディアが、ユーチューブやTwitterなどのいわゆる市民メディアとどう違うのか。それは、取材力と広汎性だ。そういう意味で、テレビや新聞という大きなメディアの独自性を打ち出してほしい。
  • その意味で、全国一斉休校のプラスマイナスは、感染拡大防止という観点で、政治という観点だけでなく、本当に病を乗り越えるためにはどうなのかという観点から、メディアが監視機能を働かせ、力を発揮していただきたい。
  • 古市さんは、この間の番組では、特措法の改正のところで、政権が集団的自衛権を容認するぐらいの得意技があるんだったら、今の現行法でコロナに対応できないはずないじゃないですかと言って、田﨑さんが随分皮肉っぽいねと言った。あの味というか、古市さんという知性、知見を持った人の、独自の意見を言っているという味を生かさないで、全部どこのコーナーにも出てきてもったいない。彼の味をもっと掘り出していただきたい。
  • 国からのいろんな要請で今も現場が混乱している。そんな現場に、実際に取材に行って報道する、そういうときに他の工夫があり得るのか、あるいはどんな問題があるのかということを視聴者が自分に当てはめて、そしてそれをもとに、各個人が判断して行動できるようにしていくというのは、メディアの非常に大きな役割だ。
  • 小倉さんはメインキャスターとしてどんなことにも意見を言ったし、批判もしていたが、若い人たちがキャスティングされるようになって、もうズバズバと批判する立場じゃない。全体を俯瞰して何か新しい視点で何か提言するとかという年代だ。もっと高いところから見るぐらいな立場で、『とくダネ!』自身をガラッと変える時が今やってきたんじゃないか。
  • 最近のイタリアを見ていると、医療体制あるいは医療の順序を間違えると致死率が高くなってしまうんだということがわかった。これが風邪の一種であれば、暖かくなったらだんだん消えていくだが、本当にそうなのかというのは実は誰もわからない。
  • それでは今、何が頼りかといえば、やはり透明性だ。本当の実態が何なのかというのを、できれば全世界でやってもらいたい。中国が本当に押さえ込んだのなら、その過程は一体何だったのか、それを透明にしてもらいたい。
  • 日本においても、どれだけ透明性にあるのかがよくわからない。検査量が少ないので感染者数がこれだけ少ないが、検査が始まっていったら、感染者の数は増えるのかもしれないが、それもわからない。不透明な中では何事もできない。不透明にしておいたままでオリンピックをやりますよと言っても世界がついてこない。徹底的に透明にした上で本当にできるのかできないのかを判断すべき。この透明性の最後の保証がメディアだ。
  • メディアがどこまで透明性に迫れるのか、それがこれからの大課題だ。

これに対して番組サイド、フジテレビサイドからは以下のような発言があった。

  • 普段、番組が考えているのは、今日本で一番の問題点、ニュースは何だろう、一番のニュースをしっかり深く伝えるということが番組の方針。その中でこの問題にどう向き合うか。
  • 例えば、何がいけないという問題が、コロナに関してはなかなか絞り切れない、番組で伝える順番や何を取り上げるかを苦心しながらやっている状況。
  • 新型コロナ報道は、災害報道のレベルになっていて、正しい情報をどう忠実に伝えていくかを軸に置きたいと大方針としては思っている。
  • 国立感染症研究所などの取材をしてはどうかというご意見について、私たちは生活レベルに近いところで何が起きているのかというニュースを探しがちだが、情報の発表元がどういうふうに発表していて、情報のあり方などを確かに検証したこともなかった。どうやって情報が出ているのか取材しても良かった。
  • なぜ芸能ネタを頭でやったのかということだが、一斉休校が始まったタイミングで、ちょっと若い世代にも番組を見てもらいたいという思いで頭に置いてしまった。頭に持ってくるネタは大事だと改めて気づかされた。

その他の、フジテレビ、あるいは放送全般についてのご意見
<災害報道について>

  • きょうは3・11だ。数年に1回は大きな災害が起きている。その災害報道全般について今後こうあるべきだなど、ご意見をいただければ。
  • 決まり切った手順で注意喚起するだけでなくて、不断の見直しを通じて、前回の教訓を取り入れ、学んだ形での注意喚起がコロナに関しても台風に関しても第一だ。それに加えて、きょうのテーマとも通ずるところがあるが、付言するともう少しケーススタディをということだ。
  • イタリアの事例も、詳細な分析が出たらすぐに共有する、長い文章でもすぐにみらい翻訳にかければ日本語になる。部内で共有して、あらゆる人が読むということ、ロイターの短い記事だけではなくて。報道と情報が協力して、一元的にそういった記事を集めておいてみんなで読み回すということがどうしても必要だなと。
  • 東日本大震災からちょうど丸9年、昨日の段階できょうのゴールデンタイムの各局のテレビ欄を見てきたが、NHKを除いて全民放でスペシャル番組がない。それは大変残念。同じように実は終戦記念ドラマというのも影を潜めており、今年もNHKでドラマがあっただけ。風化させないというのもテレビの大きな役割だ。
  • 来年は東日本大震災、丸10年、良質な番組をぜひお作りいただきたい。

これに対して、フジテレビサイドからは以下のような発言があった。

  • ゴールデンの番組ではないが、今回、一つ大きな試み、現場発のNHKとフジテレビとYahoo!の3社が初めてタッグを組んで共同企画を展開した。Yahoo!にはホームページを立ち上げて情報収集、ビッグデータを提供してもらった。先週の日曜日にNHKで討論番組を放送した。伊藤アナウンサーが、NHKの井上あさひアナウンサーとともにMCを務めて、うちの社会部長も出演した。テーマとしては、死者をゼロにするための情報発信、メディアの役割は何なんだろうということで、当時の失敗、メディアとしての教訓、2日間で60分伝えた町もあれば1分しか伝えていなかった町もあったなどということを大テーマにして、議論を行った。
  • 本日、3時50分から、『わ・す・れ・な・い』という、3社の共同スペシャル検証番組をお伝えする予定だ。
  • 災害報道は、報道機関としてのテレビ局の最低限果たすべき責務、最も重要な案件と考えて取り組んでいる。当日あるいは発災後暫くの「速報」と、記憶を風化させないための「伝承」の、二本柱で考えている。
  • 緊急事態の場合にメディア各社がそれぞれ迷走することのないように、どうやって連携すべきか、という視点でこれから社会部長間あるいは局長間で連携を深めていこうと考えているところだ。
報告事項
  • 4月改編について、報告。
  • 次回の第496回は、4月8日の水曜日。
  • 審議番組は3月7日放送のバラエティ番組『出川・爆問田中・岡村のスモール3』。引き続き、「その他ご意見」も。